日本経団連の肝煎で、この4月1日から体制を一新した21世紀政策研究所の2007年度プロジェクトが決まりました。
21世紀政策研究所 2007年度事業計画について(日本経団連 2007年3月30日)
21 世紀政策研究所 2007 年度プロジェクト概要(2007年3月30日現在)
- I. 公的部門の生産性向上策
- 各省庁の業務内容を、国・地方の関係を含めて、局単位で分析し、生産性向上に向けた具体策を提案する(独立行政法人化や民営化の推進、業務の廃止、政策の変更等)。その際、<1>インプット(人員、予算等)、<2>アウトプット(業務の状況等)、<3>アウトカム(民間部門への影響等)の3 つの観点から検討を行う。必要に応じ、省庁設置法の改正等に踏み込む。
これらにより、「簡素で効率的な政府」の具体像を明らかにする。
(研究主幹) 上山信一 慶應義塾大学教授- II. 地域経済圏の確立に向けた道州制の導入と行政改革
- 自立した地域経済圏の確立に向け、海外の施策・制度などを踏まえつつ、わが国の実態に即した道州制の具体的な姿を探る。国・道州・基礎自治体の役割分担やあるべき行財政システムなどについて研究する。モデル事例として九州を取り上げ、道州制の実現による経済波及効果を推計する。
また、道州制導入後の中央省庁再編案、公務員削減と雇用対策、選挙制度のあり方についても検討する。
(研究主幹) 林 宜嗣 関西学院大学教授- III. 税制改革の国際的動向調査と抜本改革のあり方
- 企業の国際競争力強化と経済成長の加速に向けて、税制体系の抜本的な改革案を提案する。具体的には、欧米、アジア諸国の最近の税制改革の動向とその背景、理念を調査するとともに、その経済効果等を分析する。併せて、法人税、消費税の実質的な負担の帰着について、各国の状況も踏まえて経済分析を行う。
加えて、このような国際的な動向を踏まえつつ、法人税をはじめとする抜本改革の具体策を提案する。
(税制改革動向調査 研究主幹)森信茂樹 中央大学教授
(税制の抜本改革案策定 研究主幹)朝長英樹 日本租税総合研究所法人税法等基本問題委員長- IV. 技術の国際標準化に関する各国の戦略分析
- 技術の国際標準化に優位な地位を確保することは、国際競争力強化の重要要素となっている。欧米諸国においては、戦略的な対応を行っているとされるが、その実態は必ずしも明確になっていない。
そこで、米欧中韓における国際標準戦略を知的財産の視点を含め体系的に把握・分析するとともに、日本としての戦略的な対応を提案する。
(研究主幹) 平松幸男 大阪工業大学教授- V. デジタル・コンバージェンスのあり方
- 通信・放送のあり方に関する政府与党合意(2006年6月20日)により、2010 年までに総合的な融合法体系についての結論を得ることとなっている。これを踏まえ、日米欧の専門家の参画を得、通信・放送融合領域における技術・市場の動向、欧米における融合法制の検討状況を調査・分析し、世界に先駆けてIP 時代の通信・放送融合法制のオプションを提示する。
(研究体制) 慶應義塾大学SFC研究所(國領二郎所長)との共同研究- VI. 労働市場改革―日本人の新たな働き方
- 就労意識が多様化し人口の減少が見込まれる中、経済社会の活力を維持・向上させるためには、多様で柔軟な働き方を実現し、産業の壁を越えた労働市場の流動性を高める必要がある。これにより、個々人がその能力を最大限に発揮できる環境を整備することが可能となる。
このような観点から、内外の実態を踏まえ、職務給・役割給の導入を軸に、公務員制度の改革を含めた労働市場の改革について、具体的な方策と課題を提示する。
(研究主幹) 小嶌典明 大阪大学教授【準備中のプロジェクト】
- 日本経済の潜在成長率向上策
- 「ポスト京都議定書」に向けた日本の戦略と国際協力策
以 上
21世紀政策研究所の再編については、日本経団連の次の見解を参照のこと。