参院で改憲手続法案の審議が始まりました。
国民投票について、成立のための最低投票率を定めることについて、自民党・公明党は「憲法上疑義がある」と答弁しています。
しかし、低い投票率で、国民の1割、2割の賛成で憲法が改正されることの方が「憲法上疑義がある」のではないでしょうか。
そもそも、憲法改正の国民投票は、主権者である日本国民が、国会の発議を「承認」するかどうかを明らかにするためのものです。有権者の20%、30%しか投票しなかったような国民投票で、国民が「承認した」と言えないことは明らかです。国会で法律を採決するのにも、議員の最低出席人数が決められています。それなのに、もっと大事な憲法改正に、最低投票率を決めることが、どうして、問題なのでしょうか?
最低投票率を決めたくないのは、自民党、公明党が、国民の意見を恐れているからではないでしょうか。
国民投票法案、参院特別委で審議入り(読売新聞)
最低投票率めぐり意見対立 投票法案、24日に公聴会(北海道新聞)
国民投票法案、参院特別委で審議入り
(2007年4月17日22時0分 読売新聞)憲法改正の手続きを定める国民投票法案は17日、参院憲法調査特別委員会での審議に入り、与党案の趣旨説明と質疑が行われた。
質疑では、与野党で主張が異なる〈1〉国民投票の成立に一定の投票率を満たすことを条件にする最低投票率制度の導入〈2〉団体や個人によるテレビ・ラジオの有料広告の放送禁止期間――が焦点となった。
最低投票率の導入について、与党案提出者の赤松正雄・公明党衆院議員が「憲法で規定する以上の要件を設けることは、憲法上の疑義がある」と述べ、否定的な考えを示した。
有料広告については、自民党の船田元衆院議員が「放送メディアの広告は国民の感情に訴えたり、扇情的なものとなる可能性があり、何らかの規制が必要だ。(民主党などが主張する)全面禁止は行き過ぎではないか」と述べ、「投票日前14日間を禁止」と定めた与党案の妥当性を強調した。
一方、民主党は、国民投票法案の対案の提出を検討している。
最低投票率めぐり意見対立 投票法案、24日に公聴会
[北海道新聞 2007/04/19 19:50]参院憲法調査特別委員会は19日、憲法改正手続きを定める与党提出の国民投票法案を審議した。野党側から一定の投票率に達しない場合は投票を無効とする最低投票率の規定を盛り込むべきではないかとの意見が相次いだが、与党側は導入に否定的な考えを重ねて示した。
審議後の理事懇談会では、23日に参考人質疑、24日には仙台、名古屋両市で地方公聴会を開くことで一致。野党側はさらに全国数カ所で公聴会を実施するなど慎重に審議を求めた。
19日の審議では、共産党の仁比聡平氏が「わずかな有権者の賛成だけで憲法改正が実現されていいのか」と批判。
法案提出者の保岡興治元法相は、憲法96条が改正の承認には国民投票の「過半数を必要とする」としていることを挙げ、「憲法に明文がなく、総合的に判断して(最低投票率を)制度化しなかった。専門性の高いテーマでは(投票率が低くなる可能性があり、規定があると)改正の機会がなくなってしまう」と説明。
憲法改正のための国民投票について、憲法上の規定は以下のとおりです。改正を発議するだけでも、「各議院の総議員の3分の2以上の賛成」が必要なのに、どうして1割、2割の賛成で「国民の承認が得られた」と言えるのでしょうか?
第96条 この憲法の改正は、各議院の総議員の3分の2以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。