日本会議の別働隊の1つとして、「美しい日本をつくる会」というのが今年2月に発足している。
この会の特徴は、これが、いわゆる「ジェンダー・フリー」攻撃にとどまらず、自民党なども賛成して成立したはずの男女共同参画社会基本法を攻撃の的にしていること。
設立趣意書(昨年10月)では、「社会や学校の乱れの原因は、共産主義的フェミニズムに根ざした男女共同参画社会基本法」「個人の人格を破綻させ家庭を壊す男女共同参画社会基本法を廃棄しなければ、遠からずわが国は亡国の危機に直面する」などとしている。
さらにホームページによると、「今日のフェミニズムのルーツは、男女や夫婦を対立関係で捉えるマルクス・レーニン主義にそのルーツがあります」などとトンチンカンな攻撃をしている(こんなことを言われたら、マルクス主義を批判しているフェミニズムの論客諸子は、自分たちを無視するな、と怒り出すにちがいない)。
驚くのは、「フェミニズム第1波は、女性参政権を得るための運動で、第2波はウーマンリブ運動、そして現在が第3波といえます」という主張。彼ら(彼女ら?)のいう「美しい日本」が、女性参政権を否定するような、超アナクロ、ウルトラ反動の社会であることを自ら示したものだと言える。
「美しい日本をつくる会」設立趣意書
皆様におかれましては、益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
さて、わたくしたちは、悠久なる歴史と伝統と美しき山紫水明の恵みに溢れた日本に生を享け、今日まで過ごしてまいりました。
これは先人たちの営々たる労苦の賜でございます。
ところが、昨今のわが国の状況をみますと、援助交際や中絶の権利を声高に叫び、学校では青少年の性の淪落を勧める内容が教育という名のもとで行われております。
その一方では、男らしさ・女らしさを否定し、伝統的な結婚を少子化の原因として敵視するような風潮さえ見られるようになってまいりました。
こうした社会や学校の乱れの原因は、共産主義的フェミニズムに根ざした男女共同参画社会基本法でございます。
個人の人格を破綻させ家庭を壊す男女共同参画社会基本法を廃棄しなければ、遠からずわが国は亡国の危機に直面することになりましょう。
わたくしたちには、先人たちから受け継いだ伝統と文化を次代の子供たちへと伝承し、次代の子供たちを心身ともに健全に育成する責務がございます。
わが国の伝統と文化を守り、次世代の心を育むために、「美しい日本をつくる会」を発足させることといたしました。
この国を再生させるには、国民一人一人の立ち上がりとその結集が不可欠であると存じます。
ここに、皆様のご理解とご協力を、衷心よりお願い申し上げます。平成十八年十月吉日
共同代表 前鎌倉市議会議員 伊藤 玲子
ジャーナリスト 桜井 裕子
二期会会員ソプラノ歌手 森 敬惠
ちなみに、伊藤玲子氏は、2005年4月まで4期16年鎌倉市議をやり、「立て直そう日本・女性塾」を立ち上げ、現在、その幹事長という肩書きになっている(塾長は、山谷えり子・自民党参議院議員)。ネットを検索してみると、「女性塾」なるものをはじめた理由については、「左翼思想、戦後の教育をよしとした、バカな女が今国を滅ぼしかけてるんですよ」(話の花束)とか、「女性で議員になっている人は、左翼系が圧倒的に多く、家庭を大切にする保守的な女性は政治の場にほとんど出てこない。そのため、政治の上では、左よりの女性の意見が女性の意見の代表のようにして反映されていく。この悪循環を断ち切るには、保守系の女性議員を育てるしかない」「発言力のあるバカな女性が日本を亡ぼすのではないか」(西尾幹二のインターネット日録)とか紹介されている。
桜井裕子氏は、「新しい歴史教科書をつくる会」の理事(2006年7月02日現在)。1957年、東京生まれ、慶應義塾大学文学部英文学科卒業。PHP研究所、PHPエディターズグループ勤務を経て、現在フリーとして活動、なのだそうだ。