東京都が5年ごとに実施する「福祉保健基礎調査」で、年収が500万円未満の世帯で過半数を超え、81年度の調査開始以来、過去最多となったことが明らかに。さらに年収300万円未満だけでも27.2%を占めています。
福祉保健基礎調査:格差都市、東京 年収500万円未満、初の過半数――昨年度(毎日新聞)
福祉保健基礎調査:格差都市、東京 年収500万円未満、初の過半数――昨年度
[毎日新聞 2007年5月16日 東京夕刊]
東京都の世帯の年間収入 年間収入 % 300万円未満 27.2 300万〜500万円未満 23.7 500万〜1000万円未満 30.7 1000万〜2000万円未満 11.5 2000万円以上 1.6 無回答 5.3 ◇年金・生活保護、3割――都調査
東京都が5年ごとに実施する「福祉保健基礎調査」で、年収が500万円未満の世帯が昨年度、初めて5割を超え、81年度の調査開始以来、過去最多となったことが分かった。300万円未満の世帯も全体の3割近くで前回調査より約10ポイント増加していた。雇用機会や賃金で地方より恵まれている首都・東京でも低所得層の増加が顕著になっている実態が浮かんだ。【夫彰子】
調査は昨年11?12月、無作為に選んだ都内の計6000世帯を対象に実施、3775世帯から回答を得た(回答率63%)。
それによると、年収500万円未満の世帯は51%で、前回調査(01年)より13ポイント増えた。また、300万円未満の世帯も27%に達し、前回より9.3ポイント増加。2000万円以上は1.6%で前回より1.7ポイント減少、1000万円以上2000万円未満は11.5%で3.2ポイント減るなど、高所得者層は減少傾向だった。
また、収入源については、28%の世帯が「年金や生活保護」を挙げ、「仕事をしている人がいない」世帯も過去最高の22%に達するなど、厳しい生活実態が垣間見える。
今回初めて行った所得格差の意識調査(複数回答)では、所得を決める望ましい指標として「本人の努力・実績」を選んだのは79%と最も多く、能力主義への期待の強さが表れた。次いで「仕事の内容・職責」が54%で、「年齢・経験年数」は16%にとどまり、年功序列的な考え方には否定的である実態が浮かんだ。
所得格差の是正手段(複数回答)としては、「努力・実績が十分報われる環境整備」(53%)▽「中途採用など就労機会の拡大」(30%)――などが多かった。また、現在の社会状況についての問いには、「格差が固定化している」と感じる人は34%に上った。
28%が収入源は「年金や生活保護」と回答し、22%が世帯の中で「仕事をしている人がいない」と回答しているのは、全体として、高齢者だけの世帯が増えていることを反映しているのではないだろうか。
同時におこなわれた「所得格差についての意識調査」だけれど、これは、「福祉保健基礎調査」で低所得階層が増えていることが判明して社会保障充実を求める声が出ることをあらかじめ押さえつけようとするかのような魂胆丸見えの調査。所得を決める指標として何がよいかといえば、実際、大部分の人は「本人の努力」とjか「仕事の内容」と答えるでしょう。しかし問題は、いまの所得格差が「本人の努力」の結果かどうか、ということ。それを明らかにしないと、この意識調査は意味がありません。他方で、高齢者の生活をどうするかということに限定すれば、「本人の努力」79%という結果にならないということも明らかでしょう。
なんにせよ、「努力・実績が十分報われる環境整備」53%というのは、それだけたくさんの人が、いまは努力が十分報われる状態にないと考えているということです。そこにこそ、この意識調査の意味があると思います。
ちなみに、東京都の調査結果は↓こちらから。