安倍内閣の支持率急落

毎日新聞の世論調査によると、安倍内閣の支持率は32%で、4月の43%から11ポイントもの急落。不支持率は44%で、はっきりと不支持が支持を上回りました。記事によれば、支持率急落の理由は、自民党支持層と無党派層のなかでの支持が減ったことに。なかなか面白い動きです。

しかし、安倍自公政権のやっていることの、どこをどう変えるかではなく、世論調査と称しながら、参院選で勝ってほしい政党は?なんていう質問で、自民か民主かという既成の枠組みのなかでの政党選択に押し込もうという魂胆も見え見え。

毎日世論調査:内閣支持率32%に急落 不支持率は44%
[毎日新聞 2007年5月28日 3時00分]

 毎日新聞は26、27両日、電話による全国世論調査を実施した。安倍晋三内閣の支持率は32%で、4月の前回調査比11ポイント下落、昨年9月の政権発足以来最低となった。不支持率は44%で最高となり、2、3月の調査と同様に支持を上回った。夏の参院選で自民、民主のどちらに勝ってほしいかを尋ねた質問では民主が初めてリード。選挙が今あった場合の投票先を問うた質問も比例代表、選挙区ともに民主が自民を抑えた。年金保険料納付記録5095万件が不明になっている問題に有権者が厳しい目を向けていることをうかがわせた。【西田進一郎、大場伸也】

 支持率を支持政党別に見ると、自民支持層が11ポイント減の66%。前回初上昇した「支持政党はない」と答えた無党派層が10ポイント減の20%で、この二つの層が大幅下落の要因になった。公明支持層は8ポイント増の60%だった。
 男女別では男性の下落が顕著。支持が13ポイント減の29%にまで落ち込んだのに対し、不支持は13ポイント増の53%に上った。年代別では70代以上を除く全年代で不支持が支持を上回り、前回大きく上昇した20?40代の支持は11?17ポイント減で、全体の支持率が35%だった3月調査の水準並みになった。

◇参院選で勝ってほしい政党=「民主」が逆転

 夏の参院選で勝ってほしい政党を聞く質問は昨年12月から4回目。民主が前回比6ポイント増の42%、自民が5ポイント減の33%、その他の政党が同2ポイント増の20%だった。過去3回はいずれも自民が民主より2ポイント多かったが、今回初めて逆転した。
 参院選が今行われるとして、比例代表でどの政党、あるいはどの政党の候補者に投票するかを尋ねたところ、民主35%、自民28%、公明6%、共産4%、社民3%、国民新1%など。選挙区では(1)民主30%(2)自民26%(3)無所属15%??の順で、いずれも民主が自民を抑える結果となった。
 参院選で最も重視する政策については七つの選択肢を用意して質問。年金問題が28%で最多で、教育問題19%、憲法問題14%、格差問題13%、「政治とカネ」の問題12%と続いた。参院選に関心があるかどうかは「関心がある」との回答が68%で、「関心がない」の31%を大きく上回った。

社説:内閣支持率急落 年金不安に首相の説明足りぬ
[毎日新聞 2007年5月28日 0時19分]

 毎日新聞社が行った世論調査で安倍晋三内閣の支持率は前月比で11ポイントと大幅ダウンし、過去最低の32%に。逆に「支持しない」は44%と急増した。その結果、再び支持率が不支持率を下回ることになった。
 その大きな要因としては、年金問題での政府の対応不備が指摘できよう。夏の参院選で投票の際、「最重視する政策」の調査で、年金問題が28%と第1位で、教育問題(19%)、憲法問題(14%)を大きく上回っていることからも読み取れる。記録漏れを含む年金問題が参院選での争点になる可能性が高い。
 安倍内閣の支持率は昨年9月の発足時をピークに下落傾向にあり、一時は不支持が支持を上回っていた。ようやく4月の調査で逆転したものの、再び支持が下回ることとなった。自民党は回復した「安倍人気」を頼りに、夏の参院選を乗り切る作戦を展開し始めたところだった。
 今回の調査でも、支持政党の1位は自民党だが、民主党が差を詰めている。さらに、「参院選で勝ってほしい政党」のトップは、これまでの自民党に代わって民主党になった。比例代表、選挙区で投票する政党、候補者が属する政党を聞いたところ、いずれも民主党が自民党を上回っている。
 参院選、特に政党名でも投票できる比例代表の結果は、直前の政党支持率が先行指標になるといわれている。それだけに、自民党には「想像を絶する数字」(青木幹雄参院議員会長)で、一段と深刻さを増している。
 発足直後の高い支持率当時から、安倍内閣の支持理由のトップは「若くて清新なイメージがあるから」だった。逆に「指導力に期待」は終始1割台で、「政策に期待」も2割前後だ。その一方で、不支持の要因として「指導力に期待できない」が、今年になってからは急増。「首相の政策に反対」と並ぶ2大理由になっている。
 こうしたことから、「安倍人気」は、イメージ重視が特徴といえる。4月の支持率アップには、中国の温家宝首相来日がプラスとなったが、「改憲」路線とのギャップも目立ってきた。
 少子高齢社会では、年金への関心が高く、3年前の参院選では有力政治家の年金未納問題を契機に、年金が一大争点になった。今回、安倍首相は憲法改正問題を掲げ、民主党など野党が主張する「格差問題」に対抗する方針だった。
 だが、社会保険庁が保管する5000万を超す公的年金の保険料納付記録が払い主不明という実態が明らかになり、当初の政府の対応にも不備が目立った。
 その上に、社保庁を非公務員の特殊法人「日本年金機構」に改組する法案の今国会での成立を目指し、与党は野党の反対を押し切り、委員会で採決した。
 年金への国民の不安が、安倍内閣への反発を招いたようだ。安倍首相は十分な対策を指示した上で、国民の納得できる説明をすべきだ。それが、参院選での結果に直結することはいうまでもない。

【追記】日経の世論調査でも、やっぱり急落してますね。

内閣支持率41%に急落、仕事ぶり「評価せず」49%・日経調査(日経新聞)

内閣支持率41%に急落、仕事ぶり「評価せず」49%・日経調査
[NIKKEI NET 2007/05/27 21:44]

 日本経済新聞社が25―27日に実施した世論調査で、安倍内閣の支持率は4月の前回調査から12ポイント急落し、政権発足後最低の41%となった。不支持率は44%と7ポイント上昇し、2カ月ぶりに「不支持」が「支持」を上回った。安倍内閣の仕事ぶりも「評価しない」が49%となり、「評価する」の33%を引き離している。
 内閣支持率は昨年9月の政権発足から低下傾向が続いていたが前回調査で10ポイント上昇し、下落に歯止めがかかったとの見方があった。今回の急低下の背景には、公的年金保険料の納付記録漏れが参院選の争点に浮上してきたことや「政治とカネ」の問題を巡る対応への不満などが影響しているとみられる。
 男性の内閣支持率は39%と前回から12ポイント下落、女性も43%に10ポイント下落した。年代別では40―60歳代の支持率がいずれも10ポイント以上下落して不支持を下回り、特に40歳代は17ポイントの大幅な下落だった。

日経新聞の世論調査では、「参院選で重視する政策」 ((年金・福祉などの社会保障政策、「政治とカネ」の問題、教育改革、格差問題、行政改革、外交・安全保障政策、憲法改正、農業政策、消費税率の引き上げ、の9項目から選択。複数回答可))についても調べている。第1位は「年金・福祉などの社会保障」でダントツの56%。2位は「政治と金の問題」30%、3位「教育改革」29%、以下、4位「格差問題」、5位「行政改革」、6位「外交・安保保障政策」と続き、「憲法改正」は15%で第7位。「消費税率の引き上げ」は再開の13%だったそうである。

安倍首相は、憲法改正を参院選の争点にするといっているが、自民党支持層でも「憲法改正」を重視するというのは16%しかなく、「憲法改正」が重要争点になると思っている人は少ない。他方で、共産党支持層では43%が「重視する」と答えており、こちらは受けてたつつもり満々、ということだろう。

参院選の投票先では、自民33%にたいし民主22%と自民が上回っているが、「与野党の政権交代」については「あった方がいい」が57%で多数。また、参院選後の政権については、現在と同じ「自民、公明の連立政権」は19%なのにたいして、自民党単独政権は10%しかない。しかし、「自民、民主の一部が参加する連立政権」30%、「民主中心の非自民連立政権」24%ということで、このあたりは見方が分かれている。それにしても、投票先では自民党が多いのに政権交代があった方がいいと言い、しかし、その政権はというと、「民主中心の非自民連立」よりも「自民+民主の一部」という方が多い、というのは、結局、民主党にたいする見方(期待?)がまだまだ非常に流動的というか、ようするに民主党がどんなものか有権者も諮りかねている、ということの反映ではないだろうか。

ところで、日経新聞は、集団的自衛権にたいする調査も同時におこなっている。そこでは、「集団的自衛権の行使を禁じた憲法解釈」について「現在のままでよい」が39%でトップ。これにたいし、「憲法を改正せず、解釈を変えて使えるようにすべきだ」は25%、「憲法を改正して、使えるようにすべきだ」は22%という結果になっている。こういう調査の場合は、前にも書いたように、解答する側が「集団的自衛権」とは何か、あるいは政府が現在やろうとしていることが本当に「集団的自衛権」の範疇に該当するのかどうか、といったことを正しく理解しているかどうか、ということが、当然前提問題として、明らかにされなければならない。それなしに、ただ「使えるようにすべきだ」が多数を占めたといっても意味がない。

しかし、これだけ集団的自衛権を使えるようにすべきだ、といわれいてるときに、あえて「現在のままでよい」と39%もの人が答えたというのは、非常に大事なこと。すくなくとも、これらの人たちは、「集団的自衛権」というものがどういうものか、そして、それによって安倍政権が何をやろうとしているのかを正しく理解している、ということになるから。

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