学校校舎の耐震化が遅れていることは、以前から指摘をされていましたが、耐震診断の結果、「倒壊の恐れあり」とされた得に危険なものだけでも4300棟以上あることが判明。
公立小中学校校舎、4328棟が大地震で倒壊のおそれ(朝日新聞)
記事を読む限り、この「倒壊の恐れ」というのは、「ひょっとしたら倒壊するかもしれない」というよりも「倒壊する可能性が大きい」という感じです。
もちろん授業中に地震が襲ってきたときの、子どもたちの安全ということがありますが、さらに学校は地震など災害時に住民の避難場所となるところ。そこが「倒壊の恐れ」では、地震への備えも何もあったもんではありません。
公立小中学校校舎、4328棟が大地震で倒壊のおそれ
[asahi.com 2007年06月08日20時20分]全国の公立小中学校の校舎や体育館のうち、4328棟が「大規模な地震で倒壊、崩壊する危険性が高い」ことが8日、文部科学省の調査でわかった。耐震性がない校舎のうち、本格的な耐震診断を済ませた1万9343棟の22.4%にあたり、同省は「極めて深刻な実態」として、耐震診断の徹底や学校ごとの結果の公表、補強・改築を全国の教育委員会に改めて求めている。
文科省の耐震調査は、これまで「耐震性あり」「なし」で集計しており、倒壊の危険性まで分類したのは初めて。最も危険と分類された4328棟の耐震性は、耐震偽装事件で注目された耐震強度に換算すれば、マンションが使用禁止となった0.5未満に相当する。一方、診断結果を公表している教育委員会は22.2%にとどまる。学校は地域の防災拠点でもあるため、公表や改修をどう進めるのか、各地の教委は早急な対応を迫られそうだ。
4月1日現在で集計した調査によると、全国に約13万棟ある校舎や体育館のうち、耐震基準が新しくなった82年以降に建てられたり、改築や補強を済ませたりすることで「耐震性あり」と判断されたのは58.6%。前年から3.9ポイント上昇した。
一方、「耐震性なし」は4万5041棟で、このうち1万9343棟で日本建築防災協会の基準による本格的な「2次診断」が行われた。
その結果、構造耐震指標(Is値)が0.3(耐震強度0.5に相当)未満だったのは、4328棟(22.4%)。Is値0.3未満は国土交通省の基準で「大規模地震で倒壊、崩壊する可能性が高い」とされ、文科省の耐震化事業でも「補強」ではなく「改築」の申請対象となる。小中学校以外の公立では、Is値0.3未満が高校1442棟▽特別支援学校121棟▽幼稚園90棟――だった。
文科省はこれまで、耐震診断の実施率向上を優先してきた。このため、1棟につき10万?30万円の簡単な診断にとどめた教委も多く、「耐震性なし」のうち6割近い2万5698棟は、200万?300万円かかる2次診断に至っておらず、8595棟は簡単な診断もしていない。2次診断の実施率が上がれば、危険性の高い棟数はさらに増えそうだ。「07年度末までに、耐震診断を実施する予定もない」としている教委も依然として46あり、約7割の33が北海道に集中している。
しかし、4328棟という数字は、「耐震性がない」とされた校舎4万5041棟のうち、「2次診断」をした1万9343棟についての数字。「2次診断」未実施の2万5000棟あまりについても、同じ割合であるとしたら、あとまだ5700棟以上「倒壊の恐れあり」校舎がある計算になります。
また、文科省の調査は、1982年以降に新築された校舎は、新建築基準を満足しているので「倒壊の恐れなし」としていますが、昨今の「耐震偽装」や施工不良などを考えると、こうした校舎だって本当に安全かどうか、いささか心配になります。
あともう1つ。学校が避難所としてちゃんと機能するためには、他にもいろいろ必要なものがあると思います。たとえば、水道が断水しているときに、どうやって水を確保するかとか、緊急のトイレとか。また、地震にともなう火災の危険性にたいしても、きちんと対応しているかどうか。学校周辺にがけ崩れ、土砂崩れの危険はないか、などなど。耐震貯水槽を整備するとか、校庭に井戸を掘るとか、いろんな整備も計画的に進めたほうがいいと思います。
なんにせよ、「予算がないから」では困るわけで、こういうところにはしっかり予算を手当てする、そんな政治を望みます。