雑誌『経済』6月号の新藤通弘さんの論文を読むと、ベネズエラではすでに社会主義の実現をめざす実践が始まっているという感じですね。社会主義をめぐる議論が始まったと思っていたら、事態はもっと先まですすんでいるようです。
とくに、チャベス大統領が呼びかけた「ベネズエラ統一社会主義党」(PSUV)の結成がどうなるか。人口2600万人の国で、すでに530万人が入党申込をすませているのだから、本当にこの党が組織されたら、5人に1人以上が革命に組織されるということになります。しばらくベネズエラから目が離せません。
社会主義新党に530万人申し込み ベネズエラ(しんぶん赤旗)
不要な私財提供を=支持者に呼び掛け?ベネズエラ大統領(時事通信)
ベネズエラチャベス大統領、農村改革へ(IBTimes)
社会主義新党に530万人申し込み ベネズエラ
2007年6月15日(金)「しんぶん赤旗」【メキシコ市=松島良尚】ベネズエラのチャベス大統領が「21世紀の社会主義」をめざす党として昨年結成を呼びかけた新党「ベネズエラ統一社会主義党」(PSUV)への入党申し込みが536万人以上に達していることが8日までに明らかになりました。
同大統領は10日のテレビ番組で、党員の条件として「利己的であってはならない」とし、「誠実さ、物質的財産への無欲、連帯、奉仕労働の準備」をあげ、「私は真の社会主義者と歩みをともにしたい」と強調しました。
同大統領は、資産階級でも党員になることができるとして、そのためには「社会主義者になりたいということを示さなければならない」と指摘。その例として、貧しい人たちに資するため、「使用していない冷蔵庫を持っている人はボリバル広場(首都カラカス中心部の広場)に持っていってほしい。トラック、扇風機、調理器でも、必要でないものは寄付すべきだ」と強調しました。
模範を示すためとして、大統領は自らが預金25万ドル(約3000万円)を提供すると表明しました。
PSUV結党は、社会主義建設のために統一した強大な党が必要だという見地から呼びかけられました。地方大会を経て8月半ばから約3カ月の予定で結党大会が開かれる見通しです。
不要な私財提供を=支持者に呼び掛け?ベネズエラ大統領
[時事通信 2007/06/12-06:16]【サンパウロ11日時事】ベネズエラのチャベス大統領は10日のテレビ番組で、同大統領が各政党に結成を呼び掛けている親チャベス派統一政党「ベネズエラ統一社会党」の参加希望者に対し、「真の社会主義者」であることを示すため、不要な私財を提供するよう呼び掛けた。
同大統領は「使っていない冷蔵庫を持っている者はボリバル広場(カラカス中心部の広場)に持って行ってほしい。トラック、扇風機、ストーブでも何でも、必要でなければ寄付すべきだ。利己的になってはならない」と強調。「わたしは純粋な社会主義者と行動を共にしたい」と述べた。
また、模範を示すため、自らの預金25万ドル(約3000万円)を提供すると宣言。後に続くよう求めた。
集まった物資の行き先は明確にされていないが、大統領の支持基盤である貧困層の人々に分け与える意向とみられる。
ベネズエラチャベス大統領、農村改革へ
[IBTimes 2007年06月11日 12:47更新]ベネズエラチャベス大統領は9日、同国農村地域を訪問し、地方農民らの熱烈な歓迎を受けた。チャベス大統領は同日、6時間に及ぶAP通信とのインタビューにも応じ「私の心を傷つける要素の大部分は貧困問題だ。そのために国際社会で私は反逆者のような行動を起こしている」と語った。
チャベス大統領はAP通信との取材に応じつつ、同国地方農村地域を訪れ、近寄って来る貧困層の農民すべてと会話やスキンシップを行った。その際、農民らの多くはチャベス大統領に住宅建設、医療品支援を懇願した。チャベす大統領は農民らの懇願に対し「社会主義改革を継続して行って行くことで、支援することができる」と答えた。
ベネズエラ政府統計によると、チャベス大統領が就任して8年間で貧困層の割合が減少してきたという。 チャベス大統領自身も、就任以来貧困問題克服のために多くのことをなしてきたことに満足の意を示したが、それでもまだ「私はまだ勝利を獲得していない。道は長い」と述べた。
一方でチャベス大統領は同国内の憲法を修正して、同氏が2012年に再度大統領に就任できるようにしようとしており、反対者らからは、チャベス大統領は生涯大統領の座に居続けようとしているとの批判も生じている。
また米国政府はチャベス大統領を民主主義に敵対しているとして非難している。一方でベネズエラは米国を「帝国主義だ」として非難している。チャベス大統領は、同政権のあり方について「少なくとも私は交渉可能な政府、意見の相違を議論することができる政府のあり方が望ましいと考えている」と述べた。
現在チャベス政権は十分に活用しきれていない同国農業地帯の改革に取り組もうとしている。チャベス大統領は農村地帯を実際訪れ、現状を把握した上で、さらなる住宅建設、家畜、農産物生産のための改革を行って行く予定であると話した。