グッドウィルが二重派遣で違法業務に日雇い派遣

日雇い派遣のグッドウィルが、違法な二重派遣をおこない、労働者派遣法で禁止されている港湾での荷降ろし作業に派遣していたことが明らかに。

形の上では、業務請負会社にグッドウィルから派遣したことになっていますが、実態は、「偽装請負」で、違法な二重派遣状態。さらに、二重派遣先では禁止業務である港湾荷役作業をやっていた、というものです。グッドウィルは、以前にも、禁止業務である「警備」業務に派遣して摘発を受けたことがあります。この会社には、法律を守るという意識がないようです。

グッドウィル日雇い 二重派遣で禁止業務 厚労省調査へ(朝日新聞)

現在は、二重派遣は禁止されていますが、業務請負会社への派遣そのものは禁止されていません。しかし、派遣先の業務請負会社で「偽装請負」が横行している以上、業務請負会社への派遣も禁止すべきです。

グッドウィル日雇い 二重派遣で禁止業務 厚労省調査へ
[asahi.com 2007年07月03日06時02分]

 グッドウィル・グループの子会社で日雇い派遣大手グッドウィル(東京都港区)から派遣された男性スタッフ(27)が、職業安定法に違反する二重派遣の状態で、労働者派遣法で禁止された港湾での荷物の積み下ろし作業をしていたことがわかった。男性が三井倉庫(同)の構内で労災事故にあったことで明るみに出た。グッドウィルが労災を適切に報告しなかった疑いもある。同じ状態で働く人は多数いるとみられ、厚生労働省はグッドウィルが違法派遣にかかわった可能性があるとみて調査し、違法性が確認されれば行政処分を検討する。
 関係者によると男性は今年2月9日、東京都江東区の港湾地区にある三井倉庫の構内で、同社下請けの笹田組(横浜市中区)の指示のもと、25キロの粉袋を荷台に積む作業中に荷崩れに巻き込まれ、左ひざが折れるなど全治3カ月の重傷を負った。
 男性はグッドウィルの藤沢支店(神奈川県藤沢市)から東和リース(東京都港区)に派遣されていた。東和リースは笹田組と請負契約を結んでいたが、男性は笹田組の指示で働く偽装請負の状態で、実態は派遣だった。これは二重派遣となり、職業安定法(労働者供給事業の禁止)に抵触する。また、港湾業務は安全面の問題などから労働者派遣が禁止されている。
 派遣労働者の労災は、派遣元と派遣先企業の双方が労働基準監督署に報告する義務があるが、笹田組は報告しなかった。グッドウィルは藤沢労基署に報告したが、派遣先の事業場名を形式的な派遣先の東和リースとし、事故時の作業も「倉庫内での仕分け業務」と実際と異なっており、労働安全衛生法違反の可能性もある。
 日雇い派遣業界では、港湾や建設、警備といった禁止業務への派遣や、二重、多重派遣の横行が指摘されてきた。東和リースはグッドウィルのスタッフを三井倉庫を含む複数の会社に長年送り出しており、多数の労働者が違法状態で働いていた可能性が高い。男性が加入するグッドウィルユニオンの関根秀一郎書記長は「ほかにもグッドウィルの日雇い派遣労働者から、建設現場で働いたなどの相談が多数ある」と話す。
 グッドウィルは05年6月、建設業務への派遣を繰り返し、東京労働局から事業改善命令を受けており、厚労省はこの事実を重視。違法な派遣への関与が確認され、悪質と判断されれば、事業改善命令や事業停止命令が出される可能性がある。
 グッドウィル・グループ広報IR部は「東和リースと笹田組は請負契約で二重派遣ではない。事故時の作業は港湾業務ではなく、労基署への報告にも問題はない」としつつ、東和リースが二重派遣や港湾業務に従事させた「疑義がぬぐえない」として、当面同社との取引をやめるという。

労働者派遣法では、第2条で、「労働者派遣」とは「自己の雇用する労働者を、当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」と定めています。つまり、他社から派遣された労働者を、別の会社に派遣するのは、「事故の雇用する労働者」という定めに違反するわけです。

また、第2章第1節「業務の範囲」の第4条で、<1>港湾運送業務<2>建設業務<3>警備業法で定める業務、については「労働者派遣事業を行ってはならない」と定めています。法律の条文には、もちろん理由は書かれていませんが、素人がいきなり働いたのでは危険だ、あるいは安全管理上きちんとした専門性が要求されるからだということは明らかです。

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