公明党が2003年に打ち出した定率減税の廃止。実は、定率減税を廃止して、その分を基礎年金の国庫負担分を3分の1から2分の1に引き上げるための財源にあてる、という理由でした。しかし、今年5月に財務省主計局が提出した資料では、基礎年金の国庫負担を増やすためにあてられた財源は、わずか5000億円。必要額の5分の1しかありません。
それどころか、こんどは安倍首相が「基礎年金の国庫負担分を2分の1に引き上げるためには、消費税引き上げもありうる」と言い出しました。
これって、なんか変じゃありません? 「基礎年金の国庫負担を引き上げるため」と言いさえすれば、何回でも増税できるとでもいうのでしょうか。まるで、1枚の借金証文で2度も、3度も借金の取り立てるようなものです。
定率減税全廃すすめた公明 口実の年金財源には2割弱(しんぶん赤旗)
定率減税廃止 増収分は年金財源へ(公明新聞)
定率減税全廃すすめた公明 口実の年金財源には2割弱
[2007年6月10日 しんぶん赤旗]自民・公明政権は、2005、06年度税制「改正」で所得税・住民税の定率減税を半減・廃止(半減は06年、廃止は07年実施)することを決めました。
口実のひとつは、年金財源の確保でした。
「(基礎年金の国庫負担割合を3分の1から2分の1へ引き上げるために)必要な約2兆7000億円は、定率減税を3段階で廃止し約2兆5000億円、一部の高額所得者への年金課税で約2000億円を確保します」(公明新聞03年10月号外)
増税だけは着実に実施されてきました。ところが、財務省が五月に財政制度等審議会に提出した資料によると、基礎年金の国庫負担を引き上げるために実際に充てられた額は約5000億円(07年度時点)にすぎません。定率減税全廃と年金課税強化で確保するとしていた約2兆7000億円のわずか2割にも達しません。
“残りは消費税増税で”という議論さえ与党内にあります。年金財源は不安定にしたまま、庶民に増税だけ押し付けるやり方では「百年安心の年金」(公明党)どころではありません。
↓ということで、公明党政調会長のこの演説は、真っ赤なウソです。
定率減税廃止 増収分は年金財源へ 広島市で斉藤政調会長
[公明新聞:2007年6月29日]公明党の斉藤鉄夫政務調査会長は28日、広島市内で開かれた街頭演説会に山本ひろし党市民活動局次長(参院選予定候補=比例区)とともに出席した。
斉藤政調会長は、国から地方への税源移譲による課税状況の変化について、「地方分権を進めるため、国税の所得税を今年(2007年)1月から減らした分、地方税の住民税を6月から増額させたもので、年間の合計納税額は同じ」と説明。一方、定率減税廃止による増収分については、「さらなる年金財政の安定化のため、年金財源に充てた」と強調した。さらに斉藤政調会長は、「公明党が勝ってこそ、日本の未来に責任を持てる」と訴えた。
山本氏は、「ドクターヘリ普及や医師不足対策など、国民の命を守る政治に全力で取り組む」と力強く語った。
ちなみに、財務省が提出した資料というのは、こちら↓。PDFファイルが開きます(1.81MB)。
http://www.mof.go.jp/singikai/zaiseseido/siryou/zaiseib190516/02-1e.pdf
この資料の5ページ目(資料のページ付では97ページ)には、次のように書かれています。
平成19年度には、定率減税の廃止に係わる平年度増収を踏まえ、国庫負担割合を1/3 + 32/1000に
つまり、定率減税の廃止で引き上げられる国庫負担割合は、たった3.2%。3分の1から2分の1に引き上げるには、16.7%必要なのに、これではその5分の1にも足りません。定率減税の全廃で3.3兆円あまりが増収になるはずなのですが…。