日本フィルハーモニー交響楽団の7月の定期演奏会は、女性チェリストとして人気の趙静を迎えてのプロコフィエフ:チェロ協奏曲第2番。
昨日は選挙初日だったので、コンサートは完全に諦めていたのですが、ドタバタ仕事が夕方には無事終了。仕事帰りにオペラシティに行ってきました。
ハイドン:交響曲第104番 ニ長調《ロンドン》
モーツァルト:交響曲第38番 ニ長調《プラハ》K.504
休憩
プロコフィエフ:協奏交響曲(チェロ協奏曲第2番)
指揮は広上淳一氏。
さて、前半2曲ですが、オケの編成が1曲目が14-12-10-8-7にたいし、2曲目は10-10-8-6-4と、モーツァルトの方を小振りにするという、ちょっと意外な展開。まあ、ハイドンといっても最後の104番ですので、大きめの編成での重厚長大風な演奏もありえるかなと思って聞いていましたが、やっぱり展開がちょっと単調になるなぁ?というところ(仕事の疲れもあって、途中からは半分寝てしまいましたが…)。それにたいして、モーツァルトの方は、これまたまあ38番なら、あまり重くしないで、というところでしょうか。
しかし、この2曲とも、ともかく締まりがないというか緊迫感に欠けるというか、なんか落ち着きません。正直言って、ヴァイオリン、とくに第1ヴァイオリンの音が粗いというか、雑というか、しっくり来ませんでした。
で、「こんな演奏で、どうなるんだろう…」と思っていたら、後半、チェロの超絶技巧といわれるプロコフィエフのチェロ協奏曲第2番で、趙静さんが力強く、スキのない緊迫感ある演奏を始めると、みるみる演奏会が引き締まってゆきました。
この曲は、1932?38年に作曲されたチェロ協奏曲第1番が不評でお蔵入りになっていたのを、1947年にロストロポーヴィチが見事に復活再演させ、それに刺戟されてプロコフィエフがロストロポーヴィチのために大々的に改作したもの。技巧と表現力と、両方を要求される難曲です。
しかし作品としては難解ではなく、いろいろ楽しめるものになっていると思います。圧巻は第2楽章でしょう。管の諧謔的なメロディと掛け合いながら、チェロがそれを延々と展開してみせる、というあたりは、音楽表現の多様さ、豊富さに圧倒されます。また、第1バイオリン、チェロ、ヴィオラなどのトップ演奏者との合奏もあり、変化に富んでいます。第3楽章でも、ファゴットが演奏する第2主題が、ロシア民謡からとられていて、なんだか愉快になってきます。
この日の趙静さんはオレンジ色の鮮やかなドレス。それにしても彼女は背が高いですねぇ。指揮台の上に立った広上さんと、ほとんど同じ背丈…、などと書いたら、広上さんに叱られそうですが。でも、実際そうなものだから、思わず吹き出しそうになってしまいました。(^_^;)
なお、この日のプログラムに挟まれたお知らせによると、日フィルの次期主席指揮者にアレクサンドル・ラザレフ氏の就任が決定。任期は2008年9月?2011年8月までの3年間です。ラザレフ氏は、今年10月の定期演奏会でプロコフィエフのカンタータ:アレクサンドル・ネフスキー、名曲コンサートではショスタコーヴィチ:交響曲第5番などを演奏する予定。楽しみです。
<速報!>日本フィル首席指揮者にアレクサンドル・ラザレフ就任決定!
【演奏会情報】 日本フィルハーモニー交響楽団第592回定期演奏会
指揮:広上淳一/チェロ:趙静/ソロ・コンサートマスター:扇谷泰朋/会場:東京オペラシティコンサートホール/開演:2007年7月12日 午後7時
ピンバック: ブログ照る日曇る日