今日の「朝日新聞」29面には、「気がつけば…『無年金』」と題して、この年金受給のための最低加入期間の問題が取上げられています。
現在、日本の国民年金は、最低25年以上保険料を払い続けなければ、年金を受け取ることができません。もし1カ月でも足りなければ、24年11カ月払った保険料がまるまる「掛け捨て」になってしまいます。これこそ「消える年金」です。
この問題、日本共産党が参院選の公約として、最低加入期間を10年に短縮すると提案したことから、にわかに注目を集め、重要な争点になりつつあります。
朝日新聞の記事を見ると、たとえば諸外国では、イギリスが男性11年、女性9.75年、アメリカは10年、ドイツ5年、フランスやスウェーデンはなしとのこと(厚労省国際年金課調べ)。
しかも、もともと1959年にいまの国民年金制度が導入されたときにも、25年という期間の長さが大きな問題となったそうです。もともと当時の審議会は、最低加入期間は「5年」と答申していました。国会でも「25年は長すぎる」と議論になったけれども、政府側は、<1>英国は16歳から65歳まで50年間保険料を納めることになっている、<2>先に導入した厚生年金の最低加入期間20年とのバランス、という理由でつっぱねて、25年に決まったそうです。
しかし、イギリスがお手本だというなら、現在は上記のとおり男性11年になっているのですから、日本政府もぜひこれを見習って、共産党の要求するように、最低加入期間をせめて10年にしてもらいたいものです。
米10年、独は5年で権利―諸外国の加入期間は?
[朝日新聞 2007年7月19日付]諸外国の年金制度はどうだろうか。年金の受給権に必要な最低加入期間は、英国が男性11年、女性9.75年、米国10年、ドイツ5年、フランスやスウェーデンはなし(厚労省国際年金課調べ)だ。
実は日本でも、政府の社会保障制度審議会は国民年金導入の際、「5年」を答申した。1959年当時の国会議事録をみると、国会でも「25年は長過ぎる」と議論になったが、政府側は<1>英国は16歳から65歳まで50年間保険料を納めることになっている<2>先に導入した厚生年金の最低加入期間20年とのバランスが必要――などと主張。原案どおり25年に決まった。
その後も「25年問題」は国会で何度か取上げられ、98年には総務庁(当時)が行政監察で「特例的に保険料納付期間に応じた減額年金を支給する制度の検討」を勧告している。だが厚生省(同)は、受給権を得ようと保険料を納めている人たちの意欲が低下して未納が増え、額が少ない「低年金」の人も増える恐れがあると説明。今でもその姿勢を崩していない。
……(中略)……
ただ「宙に浮いた5千万件」をきっかけに、25年を満たずに「掛け捨て」になった保険料の存在が改めてクローズアップ。参院選でも、共産党が10年への引き下げを提案しているほか、民主、社民両党も見直しに前向きだ。
与党側は基本的に、追納制度の拡充など保険料を納めやすい環境整備が大事との立場だが、「ちょっと長過ぎる。期間を短くすることも検討の余地がある」(太田公明党代表)という声も出始めている。