原発の安全管理の自覚なし…

新潟県中越沖地震の直撃を受けた柏崎・刈羽原発で、地震直後の出火にたいし消火設備がちゃんと動かなかったり、放射能に汚染された水が漏れ出したりと事故続きの東京電力ですが、さらに、手抜かりな事態が次々と明らかになっています。

とくに本震の地震データを消してしまったというのは致命的。これまで、原発を地震が直撃したらどうなるかというのは、一種の“神学論争”でしたが、それがようやく実際のデータにもとづいて検証できる、と思った矢先に、そのデータそのものが消えてしまったのですから、東京電力にはあまりに僥倖、というべきでしょう。

地震データ消失、放射性物質まだ放出…原発ずさん対応続々(読売新聞)
放射性物質 18日まで漏れる(NHKニュース)
原因はマニュアル破りか排気筒の放射能検出(徳島新聞)
東電原発トラブル63件に 燃料プールの作業台落下(中日新聞)

地震データ消失、放射性物質まだ放出…原発ずさん対応続々
[2007年7月19日21時34分 読売新聞]

 新潟県中越沖地震に襲われた東京電力柏崎刈羽原子力発電所で、19日、地震計の記録消失や放射能漏れの継続などのトラブルが新たに判明した。
 一方、この日施設内を調査した政府の原子力安全委員会と経済産業省原子力安全・保安院は、消火活動など防災への備えと対応が不十分だったことを確認、他原発の過去のトラブルの情報を生かしていないことも問題視している。原子炉7基を抱える世界最大級の原子力発電施設は、大幅な防災体制の見直しを迫られそうだ。
 東京電力によると、柏崎刈羽原発の建屋や敷地内に設置した地震計97台のうち、旧式の63台のデータの一部を消失した。地震計は記録データを東京に随時、電話回線で伝送する仕組みになっていたが、地震直後は電話回線が混乱し、伝送を終える前に相次いだ余震でデータが上書きされた。本震発生後のデータが最長1時間半にわたって消えた。
 新型地震計には本震のデータが残っているが、貴重な生データを失ったことは、耐震安全性の検証作業に影響を与えかねない。同様のトラブルは、3月の能登半島地震の際、北陸電力志賀原発でも起きている。
 7号機の主排気筒からヨウ素などの放射性物質が大気中に放出された問題について、東京電力は、18日昼近くまで2日間、放出が続いていたと発表。原子炉の緊急停止後、運転マニュアルに反して発電用タービン関連の排風機を作動したままにしたため、放射能を含んだ空気がタービン内から外に吸い出されていた。排風機から主排気筒につながる経路には放射性物質を除去するフィルターが設置されていなかった。放射能は極微量で、周辺環境や住民の健康への影響はない。
 排風機は18日に停止させたが、本当にヨウ素の放出が止まったかどうかは、20日昼ごろに判明する。東電は、原発の敷地境界付近では、放射能は検出されていないとしているものの、念のため監視を強化した。
 また、1号機の原子炉複合建屋地下で見つかった消火用配管の破損部分から、再び水が漏れていることも確認された。
 一方、午前に現地を調査した原子力安全委員会の2委員が、東京で夕方開いた同委員会の臨時会議で結果を報告。3号機の変圧器の火災について、自主消火への備えと対応が甘かった点を指摘した。

放射性物質 18日まで漏れる
[NHKニュース 7月19日 21時25分]

 地震のあと、排気筒から放射性物質が検出された柏崎刈羽原子力発電所で、18日になっても放射性物質のヨウ素が漏れ続けていたことがわかりました。東京電力は、本来止めなければならない排気用のファンを、作業員が止め忘れたのが原因とみて調べています。
 柏崎刈羽原発では、地震のあと7号機の排気筒から放射性物質のヨウ素やコバルトなどが検出され、東京電力では、漏れた原因を調べるとともに、排気筒の放射性物質の監視を1週間に一度から毎日に切り替えて調べていました。その結果、18日になっても放射性物質のヨウ素が排気筒から検出され、放射性物質が漏れ続けていたことがわかりました。東京電力によりますと、ヨウ素はタービンを回したあとに蒸気を水に戻す復水器にたまっていたものが、本来、止めなければならない排気用のファンを作業員が止め忘れたため、排気筒から放出された可能性が高いとしています。
 東京電力では、問題のファンを止めるとともに、放射性物質の漏えいが止まったか確認を急いでいます。国や東京電力によりますと、これまでに漏れた放射性物質の量は基準以下で、環境への影響はないということです。

原因はマニュアル破りか 排気筒の放射能検出
[徳島新聞 2007/07/19 22:26]

 新潟県中越沖地震で自動停止した柏崎刈羽原発7号機の主排気筒から、ヨウ素などの放射性物質が検出された問題で、東京電力は19日、マニュアルでは原子炉停止後に止めることになっている排風機を動かし続けたことが原因とみられると、発表した。
 排風機で排気を続けたため、復水器内にたまっていたヨウ素を含む気体が吸い出され、排気筒に放出されたとみられる。東電は地震発生から丸2日間、マニュアル違反に気付かず、排風機を動かし続けていた。
 排風機は、通常運転中はタービン建屋内の機器で使用した蒸気を外に出す働きがあるが、原子炉が止まった場合は排気をやめる必要がある。他の原子炉では手順が守られていた。

東電原発トラブル63件に 燃料プールの作業台落下
[中日新聞 2007年7月19日 22時16分]

 新潟県中越沖地震で東京電力柏崎刈羽原発に発生したトラブルが、10件増えて計63件になったと19日、同電力が発表した。
 同電力によると、使用済み燃料プール内で水中作業台が、使用済み燃料を入れたラック上に落ちているのが4号機と7号機で見つかった。東電によると、この作業台は重さ約200キロ、長さ3?5メートル、奥行きが0・7メートル。
 これが地震で落下した例はこれまでなかったという。プール水の分析の結果、燃料は傷ついていないとみられるという。
 また1号機の原子炉建屋で消火系配管が損傷し、地下5階に約1670トンの水がたまっていたが、この水が放射能を帯びていることが新たに判明した。(共同)

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