沖縄県うるま市で、米軍装甲車が無断で校庭に入り込み、方向転換していったという事件が発生。同じ日、宜野座村でも、村の直販センターに米軍装甲車が5台乗りつけていったという事件も起きていました。
誰だって、他人ん家に勝手に車を乗り入れてはダメなことは分かっているはず。米軍は、沖縄全体を占領地か何かのように思っているのでしょうか。
米車両、学校・直売所侵入 校内で方向転換 うるま・沖縄高等養護(沖縄タイムス)
知事、装甲車侵入に抗議/米軍に再発防止求める(沖縄タイムス)
社説[米軍装甲車侵入]実に傍若無人な行為だ(沖縄タイムス)
地位協定違反の可能性 米軍装甲車侵入(琉球新報)
米車両、学校・直売所侵入 校内で方向転換 うるま・沖縄高等養護
[沖縄タイムス 2007年7月20日(金) 朝刊 29面]【うるま】18日午後5時前、うるま市田場の県立沖縄高等養護学校(塩浜康男校長、生徒数124人)の校内に米軍車両とみられる装甲車が入り込み、方向転換して引き返していたことが19日に分かった。人身へ被害や施設の破損はない。同校では知的障害のある生徒が寄宿生活を送っており、同時間帯は部活動で校内をランニングする生徒も数多くいた。塩浜校長は「いつ事故が起こるか分からない。生徒たちも動揺している」と怒りを隠せない。
県外出張中の仲村守和県教育長は「教育の場である学校内に米軍車両が入ることはあってはならない。強く抗議する。このようなことが2度と起こらないよう関係機関に強く要請していきたい」とコメントを発表、週明け、23日にも仲村教育長が那覇防衛施設局などへ抗議する考えを示した。
車両が学校敷地内に入ったのは18日午後4時53分ごろ。付近を通行していた目撃者によると、車両は県道10号を与勝方面から学校のある県道224号に右折。その後左側にある校門に前方から入って車体を方向転換し、そのまま来た道を引き返したという。
同校では校門前で生徒が生産した野菜を無人販売しており、車で買い求める客がいることから門扉は開けた状態だった。
学校正面に設置された監視カメラが当時の様子をとらえており、片側4車輪の装甲車が約40秒間にわたり校内に入り込み、校内を走る生徒の前で転回している。
現場を目撃した高等部1年の男子生徒は「走っていると黒い車が目の前に来ていた。あんなに大きな車を見たのは初めて」と話している。◇ ◇ ◇
買い物客ら、不安げ 宜野座
【宜野座】宜野座村漢那の村加工直売センター「未来ぎのざ」の駐車場に18日夕方、米軍の装甲車両5台が乗りつけた。同村は、通行量が多い国道329号に面する同センターへの来客への影響などから、米軍車両の乗り入れを行わないよう、那覇防衛施設局を通して米軍に申し入れた。
同村によると、金武町方面から来た米軍の装甲車両が18日午後5時45分ごろに2台、午後6時ごろに3台、それぞれ同センター内の駐車場内に乗りつけ、5分ほど駐車していたという。乗っていた米兵が、車両を点検する姿も見られたという。村の特産品販売所などがある同センターには当時、買い物客や観光客もおり、不安そうな表情で見ていたという。
村企画課の担当者は「再び乗り入れられたら困る。今後乗り入れがないよう、米軍にはしっかりと指導してほしい」と話した。
知事、装甲車侵入に抗議/米軍に再発防止求める
[沖縄タイムス 2007年7月20日(金) 夕刊 1・7面]仲井真弘多知事は20日午前の定例記者会見で、うるま市の県立沖縄高等養護学校内に米軍車両とみられる装甲車が侵入した件について、「(日米)地位協定上読めるか読めないか以前の問題。養護学校に断りなく入ってUターンするのは常識以前の問題だ。地位協定を持ち出す以前にやるべきではない。理解不能だ」と述べ、強い抗議の意を示した。
この件を受け、県は19日午後、基地対策課長が外務省沖縄事務所と那覇防衛施設局に対し、再発防止と兵員の教育を米軍に申し入れるよう電話で要請。週明けに関係機関への要請行動を予定する県教育庁に同行する方向で調整している。
仲井真知事はまた、22日来県予定の小池百合子防衛相と会談したい意向を示し、「普天間移設などについて私の考えを申し上げ、いい形で再編の流れがセットできるようお願いしたい」と述べた。
ただ、政府や県、地元・名護市などでつくる移設協議会の早期開催については「選挙公約である(普天間飛行場の)3年をめどとした閉鎖状態の実現、沖合へ寄せたらどうかという名護市の人の意見をくみ入れてほしい。一ミリも動かさないというのは理解不能で、ここがセットできれば協議会を開く意味があると思う」と述べ、地元意向を棚上げしての協議会開催は困難との認識を示した。
沖縄戦の「集団自決(強制集団死)」をめぐる日本軍関与の記述を修正・削除した高校歴史教科書検定意見を撤回させるため、超党派による県民大会開催の動きが出ていることについては「テーマとしては県民大会にふさわしい。もっとも効果的なら当然やるべきだと思う」と賛意を示しつつ、「まだ、開くべきがどうか答えが出せていない。(県議会や市長会などの)団体の意向を踏まえて考えたい」と述べ、自身の参加も含めて現時点では態度を保留した。◇ ◇ ◇
「傍若無人」怒りの声/首長、米軍を批判
【うるま】うるま市の県立沖縄高等養護学校と宜野座村の直売所に米軍の装甲車が相次いで侵入した問題で20日、周辺首長や議会関係者から「傍若無人」「あってはならないこと」などと米軍の行動に怒りの声が上がった。この日、終業式を迎えた同養護学校では父母らから不安の声が聞かれた。うるま市議会では同日午前、基地対策委員会のメンバーが集まり、委員会開催の準備を進めるなど、動きが広がった。
うるま市議会の東浜光雄基地対策委員長は「施設間移動は公道を利用するもの。地位協定上、民間地に入り込むことは明らかにできないし、あってはならない。強く抗議したい」と述べ、近日中に特別委員会を開く考えだ。
同市の知念恒男市長は「詳細について現在調べているところ。責任の所在が確認でき次第、対応策を考えたい」と話した。同市は那覇防衛施設局の調査結果が判明した段階で対応を決めるとしている。
北谷町の野国昌春町長は「装甲車が学校に入ってUターンしないといけない理由はない」と強く批判。「傍若無人の行動で、自分勝手にやることは好ましくない。県なども厳重に申し入れるべきだ」と憤った。
また、嘉手納町の宮城篤実町長は一般論と断った上で、「米軍車両だろうが、民間車両だろうが自分の敷地でない所に許可なく立ち入ることは権利の侵害。どのような経緯でこうなったのか調べる必要がある」と指摘した。【宜野座】宜野座村漢那の村加工直売センター「未来ぎのざ」の駐車場に、米軍車両が乗り入れたことに、仲宗根勲副村長は20日、「民間地域への車両乗り入れは危険なのでやめてほしい」と話し不快感を示した。
仲宗根副村長は、米軍の運用で基地間の移動は認められているとした上で、「多くの住民が使う場所で、危険にさらされる可能性が高いので、車両の乗り入れはやめてほしい」と語った。今後の対応については、出張中の東肇村長が帰り次第検討するという。「あり得ぬ」父母ら動揺
【うるま】「あり得ない問題が起きて動揺している―」。米軍の装甲車が無断で侵入した県立沖縄高等養護学校では20日午前、終業式が行われ、参観した父母や関係者からは不安の声が聞かれた。
塩浜康男校長は全校生徒124人と父母らを前に、「学校に戦争に使う車が入ってきた。戦車のような物を実際に見た生徒5、6人はとても怖かったと思う。あってはならないことが起きてしまった」と、侵入の経緯を説明。生徒に対し「被害はないので、安心してください」と呼び掛けた。
関係者によると、装甲車が校内に侵入したのは18日の午後4時53分ごろから約40秒間。正門から突然侵入し、方向転換して引き返した。同時間帯は生徒たちが部活動で校内をランニングしていた最中だった。装甲車を目撃した生徒は「陸軍が入ってきた」と教師らに話していたという。
同校では20日午後2時からPTA評議委員会を開き、保護者に対して説明を行うほか、ビデオの確認を行うため午後1時に同校を訪れる那覇防衛施設局の職員にも説明する。
おいの終業式に参加した女性=那覇市=は「新聞報道を見てびっくりした。まさか学校に米軍が入ってくるなんて」と不安な表情で話した。
塩浜校長は「ビデオを見ただけでも大きな威圧感がある。養護学校には、大きな音や見慣れないものを見るとパニックを起こす生徒もおり、許せる問題ではない」と怒りをあらわにし、市の基地対策課を通して問題の事実確認を求めている。
社説[米軍装甲車侵入]実に傍若無人な行為だ
[沖縄タイムス 2007年7月21日朝刊]米軍は一体どういう感覚をしているのだろうか。
装甲車というのは、物資や兵士を運ぶトラックなどの車両とは異なり戦闘車両といっていい。そのような米海兵隊の異様な車が、うるま市にある県立沖縄高等養護学校の敷地内に侵入し、方向を転換して出て行った。
海兵隊は誤って進入したことを認めている。だが、生徒らの恐怖感をあおり、不安を与えたのは確かだ。米兵の傍若無人な行為には怒りを覚える。
防犯カメラには迷彩色を施した装甲車が正門から入り、しばらくして出て行くのが写っている。言うまでもないが、周辺の風景からそこが学校だということは容易に察しがつく。
しかも、装甲車がUターンした所は生徒らが日常の活動を行っている場所だ。実際、装甲車が入ってきたとき、生徒五、六人が近くを走っていた。
そのような場所に乗り入れ、40秒ほど後進や前進を繰り返したというのだから呆れ果てるしかない。兵士への教育はどうなっているのか、在沖海兵隊指導部の感覚を疑わざるを得ない。
同校の塩浜康男校長は、「養護学校には、大きな音や見慣れないものを見るとパニックを起こす生徒もおり、許せる問題ではない」と話している。
仲井真弘多県知事も「常識外というか、普通なら考えられない。あいさつも断りもなく(学校内に)入るなんて、日米地位協定以前の問題。非常識の極み」と述べている。
当然であり、今回の行為は絶対に許されるものではない。
海兵隊報道部は「日米地位協定に基づき、通常訓練から戻る途中だった。地域に不安を与えたとすれば残念だ」とコメントしている。
宜野座村漢那の村加工直売センター「未来ぎのざ」駐車場への乗り入れしかり。米軍は、事あるたびに地位協定を盾に弁明するが、もうそういうことをやめさせようではないか。
確かに地位協定は、基地や訓練施設間の移動の際の公道使用を認めている。だが、それは今回のように学校施設内にも及ぶのだろうか。
もし、そうであればそれこそおかしいのであり、地位協定を抜本的に改正していく必要がある。
外務省は「学校に無断で進入することは不安を与える行為であり、今後同じことが起きないよう米大使館に申し入れたい」と言うが、悠長に過ぎる。
私たちが求めるのは外務省による怒りの抗議であり、県民の憤りを県民の側に立って訴えることだ。申し入れるだけではなく、このようなことは二度としないと約束させることが大事だ。
地位協定違反の可能性 米軍装甲車侵入
[琉球新報 2007/7/21 9:42]【東京】うるま市の県立沖縄高等養護学校に米軍装甲車が無断侵入した問題で、防衛施設庁の渡部厚施設部長は20日午後の記者会見で「生徒をはじめ学校関係者に不安を与える行為だった」と述べ、同日、那覇防衛施設局を通じて在沖米四軍調整官事務所に再発防止を申し入れたことを明らかにした。 さらに「(地位協定で)施設区域間での移動は認められているが、学校敷地の中なのでそれがそのケースに当てはまるのか、という感じは持っている」と指摘、地位協定違反の可能性もあるとの認識を示した。その上で「事実関係をきちっと把握し地位協定上どういうふうに整理すべきか考えないといけない」と述べた。
米軍装甲車が宜野座村の特産品加工直売施設駐車場に無断で乗り付けた問題でも19日、施設局を通じて在沖米海兵隊基地司令部に事実関係の照会と再発防止を申し入れたことを説明。「(米軍側から)安全確認のため駐車したもので村民に迷惑を掛けることはなかったという点は理解してほしい、との回答があった」と述べた。
一方、在沖米海兵隊は20日午後、琉球新報の質問に対し、侵入車両が海兵隊所属であることを認めた上で「地域の方々、隊員の安全を最優先事項としている。県民の皆さまに不安をもたらす結果になったことを誠に残念に思う」と回答した。
回答によると車両は宜野座村の駐車場に乗り付けた車両7台のうちの1台で、キャンプ・シュワブに向かう途中「安全整備のため一時停車した」という。「途中で1台が方向を誤り、学校の駐車場に侵入した。しかし即刻方向転換し車列に戻った」と説明している。
その上で「(装甲車は)道路の通行を許可されており、安全整備のために一時停車することは標準実施要領の一環だ。交通の流れに支障が出ることも地域住民を危険にさらすこともなく安全整備は完了した。この安全停止は5分以内に完了した」と答えた。