参院選では、「格差と貧困」も大きな争点となりましたが、共産党はもちろん、民主党も選挙公約で「3年をメドに最低賃金を全国平均で時給1000円に引き上げていきます」と要求しています。それだけに、選挙後この問題が真剣に取り組まれることを望みたい。
参院選、自民大敗 最低賃金 労組が引き上げ攻勢、議論紛糾(FujiSankei Business i.)
最低賃金引き上げ協議、結論先送り 厚労省審議会(朝日新聞)
参院選、自民大敗 最低賃金 労組が引き上げ攻勢、議論紛糾
FujiSankei Business i. 2007/8/131日に開かれた中央最低賃金審議会の「目安に関する小委員会」では、10月から適用する2007年度の最低賃金引き上げ幅について議論が行われた。これまで自民党は、企業の競争力の低下や中小企業の経営悪化を招く大幅な引き上げに慎重な姿勢を示してきたが、参院選で大勝した民主党の支持基盤である労働組合側が大幅な引き上げを求め、攻勢を強めており、議論は紛糾した。
厚生労働省は小委の決定を受け、3日の審議会で正式に引き上げ幅を決めたい考えだが、先送りとなる可能性も出ている。
小委には、経営側、労組側、有識者の代表が出席した。現在、全国平均の最低賃金は時給673円。昨年は4つのランク区分ごとに2?4円の引き上げで決着した。
これまで2回の小委では労組側が平均50円の大幅な引き上げを要求。経営側は「労働コストの上昇を抑えたい」との判断から、小規模企業の賃金上昇率を基に例年並みの5円程度の引き上げを主張している。
これに対し、厚労省は、労働生産性伸び率などに基づき、13?34円程度の4種類の案を提示した。
厚労省案は、安倍政権が掲げる「成長戦略」の賃金底上げ方針に基づき、経営側の示す例年水準を大幅に上回っている。政府は、賃金改善が遅れている現状を重視し、一定の引き上げ幅は容認する方針だった。
しかし、労組側は参院選で民主党が「最低賃金を全国平均で1000円にする」との公約を示していることもあり、厚労省案よりもさらに高い水準を勝ち取ろうと、一歩も引かぬ構えだ。
厚労省でも、「提示した案の中で最も高い水準での決着はやむを得ない」との声が出ているが、経営側との隔たりは大きいだけに、決着は一筋縄ではいきそうもない。
毎年、小委での議論が徹夜で続くなど難航を繰り返してきたこともあり、31日中の決着は困難。
最低賃金は、審議会での目安の設定を受け、都道府県ごとに決め、10月から導入する仕組みになっているが、決定がずれ込めば、民間企業の経営に大きな影響が及ぶ懸念もある。
最低賃金引き上げ協議、結論先送り 厚労省審議会
[asahi.com 2007年08月01日10時56分]07年度の最低賃金(最賃)の引き上げ額を労使代表らが議論する厚生労働省の中央最低賃金審議会の小委員会は1日、引き上げ額の目安について合意に至らないまま閉会した。次回日程も調整中で、目安を正式決定するはずだった3日の同審議会の開催は見送る。この影響で、最賃の実際の引き上げ時期は例年の10月1日ごろより遅れることがほぼ確実で、労働者からの批判も招きそうだ。
小委員会は7月31日夕から最終協議に入り、1日早朝まで12時間以上にわたって交渉を続けた。だが、労使代表が主張する引き上げ額の開きが最後まで縮まらなかった。
最賃の引き上げは、中央審議会が決めた目安をもとに、地方の審議会で協議をして都道府県ごとの引き上げ額を決め、公示期間などを経る必要がある。例年通りの時期に実施するにはこの日程がぎりぎりだった。
今年度の最賃改定をめぐっては、政府と労使代表らでつくる円卓会議が先月、賃金を底上げするため、例年(昨年は平均で時給5円)以上の引き上げを目指すよう同審議会に要請。政府主導で引き上げを図る動きに対し、中小企業団体を中心に審議会の使用者側委員が猛反発し、例年以上の交渉の難航が予想されていた。