masanoriさんの最賃 – 慢性疲労、ふらふら日記で紹介されていたのですが、↓この論文、面白いです。
新美一正「わが国の最低賃金制度についての一考察?最低賃金は厳格な運用が必要?」(Japan Research Review 2002年11月号 OPINION)
で、何が面白いかというと、「最低賃金の存在がかえって低賃金労働者の厚生を引き下げる」という、マクロ経済学ではおなじみの命題について、代表的な教科書の1つ、グレゴリ?・マンキュー教授の『マクロエコノミクス』(邦訳は第2版)が、第5版で、この命題についての記述が全面的に書き換えられているというのだ。その根拠になったのは、アメリカの労働経済学の研究者たちが、最低賃金を引き上げたニュージャージー州と隣接するペンシルバニア州とのファーストフード店についておこなった雇用の実態調査。なんと、最低賃金を引き上げたニュージャージー州のほうが雇用が増えていた、そうだ。
新美氏は、最低賃金の引き上げにたいする雇用の弾力性が限りなくゼロに近い(つまり、最低賃金を引き上げても、雇用には影響しない)という研究も紹介されている。
なんにせよ、「最低賃金の引き上げは雇用を減らす」というマクロ経済学のおなじみの命題は、どうやら「すでに証明済みの命題」ではないようだ。「最低賃金を引き上げると、雇用が減る」とご主張の方々、どうかまずその命題を証明してから、主張されるようにお願いしたい。