人材派遣最大手の「スタッフサービス」のグループ会社が、派遣期限の切れた労働者を、派遣契約を偽造することで、継続して製造工場に派遣し続けていたことが判明。
スタッフサービス系の会社が契約書を偽造し、派遣を継続(asahi.com)
このケースも、契約書を偽造した理由は、1年間という期限を超えた場合には、受け入れ先企業が労働者に直接雇用の申し入れをしなければならないという義務を回避するというもの。もともと派遣は一時的なものという原則を踏みにじる乱暴狼藉です。
スタッフサービス系の会社が契約書を偽造し、派遣を継続
[asahi.com 2007年08月06日]人材派遣最大手の「スタッフサービスグループ」(東京)の傘下会社が、熊本県内の電子部品製造工場で働く数十人の派遣労働者の派遣契約書を偽造し、違法に長く同じ業務に就かせていたことが朝日新聞の調べでわかった。同社は工場側と示し合わせ、派遣期間満了を迎えた数十人が新たに別の業務に就いたように装っていた。労働者派遣法は製造業務への派遣について当時最長1年と定めており、熊本労働局は6日に同工場などを立ち入り検査する。
傘下会社と同工場をめぐっては、熊本労働局が05年秋までに、実態は派遣なのに業務請負契約の形を取る「偽装請負」と指摘。両者は契約形態を派遣に切り替えたが、期間満了を迎えた労働者への直接雇用申し込み義務を免れるため、別の仕事に就いたように偽装したとみられる。偽装請負が各地で解消されつつある中、こうした「偽装契約」が横行している可能性もある。
傘下会社は同グループの製造業務派遣部門「テクノサービス九州」(熊本市)、工場は「中央電子工業」(東京)。
関係者によると、テクノ社と中央電子工業は05年12月?06年3月、数十人の派遣社員が携帯電話に使われる半導体の検査などに1年間就くとする内容の派遣契約を結んだ。契約期間満了が差し迫った際、これまでとは別の業務に就くとするうその契約書を新たに作って両社間で交わしていたとされる。
製造業務への派遣期間について、当時の労働者派遣法は最長1年(今年3月以降は3年)と制限していた。期間満了後は3カ月の猶予が過ぎなければ、同じ業務への派遣労働者の受け入れはできなかった。派遣労働者の不安定な待遇に歯止めをかけるためだが、一方で同じ会社(工場)内でも業務の内容が違えば改めて派遣契約を結ぶことができるとされてきた。
このため、テクノ社と中央電子工業側は昨年11月下旬、数十人が携わっている業務を名目上、40項目から160項目に分けたうえで、新たに作った業務名を契約書に記載。ある係は4項目あった工程が20項目以上になったが、実際の業務内容はまったく変わらなかったという。
スタッフサービスグループで派遣契約の管理を担う「テクノサービス関東」(東京)も、こうした経緯を把握していたとされる。
朝日新聞の取材に対し、スタッフサービス・ホールディングス広報部は契約書の偽造を認めたうえで、「直接雇用の形をとらず不適切だとわかっていたが、見過ごしてきた理由は確認中だ。今後、行政の指導を受けながら誠意を持って対応したい」と話している。