アメリカも、安倍首相も、口を開くと「国際社会の信頼にこたえる」とか「国際社会の足並みが乱れる」とかいうけれど、そんな「国際社会」、いったいどこにあるんでしょう?
↓このNHKのニュース。動画では、「国際社会の要請」と言いつつ、実際にはアメリカ・ブッシュ政権の都合ということを裏づけるインタビューが登場します。しかし、文字では、そこのところがカットされてしまっています。これって意図的?
米 防衛相にテロ特別法で要請
[NHKニュース 8月8日 7時15分]アメリカ政府は、参議院で第一党となった民主党が、11月1日で期限が切れるテロ対策特別法の延長に反対を表明していることに懸念を強めており、8日からワシントンを訪れる小池防衛大臣に法律の延長に努力するよう直接、要請することにしています。
テロ対策特別法は、海上自衛隊がインド洋でアメリカ軍の艦船などに給油活動を行う際の根拠となっている法律です。参議院選挙で大勝し、第一党となった民主党が、この法律の延長に反対を表明していることについて、国務省のケーシー副報道官が、「日本もまた潜在的なテロの対象であり、これまでも脅威にさらされてきたことを、日本政府は十分に理解しているはずだ」と述べて、民主党の対応をけん制するなど、アメリカ政府は率直に懸念を示しています。アメリカ政府は、これまで日本への内政干渉と受け取られるような言動を控えるのが常だっただけに、こうした懸念の表明は異例のことです。この背景には、アフガニスタンでタリバンやアルカイダが攻勢を強める中、同盟国の日本が活動を中止すれば、「テロとの戦い」に臨む国際社会の足並みが乱れると、アメリカが懸念していることがあります。(*)
このため8日からワシントンを訪れる小池防衛大臣に対し、ゲーツ国防長官はもとより、チェイニー副大統領やライス国務長官ら、アメリカ政府の主要閣僚がそろって法律の延長に努力するよう直接、要請することにしています。
実際の映像では、*の部分で、ケント・カルグー元駐日米大使特別補佐官が登場し、インタビューに答えて次のように語っている旨のテロップが流れます。
多くの国が米主導の有志連合から脱退し、イギリスさえも徐々に部隊を減らしている。こうした中、日本が撤退すればブッシュ政権にとって大きなダメージになる。
要するに、「テロとの戦いに臨む国際社会の足並みが乱れる」というけれど、いまや、アメリカと一緒にはやらないというのが「国際社会」の流れだということです。
もう1つ。↑このニュース、「率直」という言葉の使い方、おかしくないですか? 「率直に懸念を表明」というけれど、これって、「率直」なんていう上等なものじゃなくて、「露骨に表明」というべきではないでしょうか。