「駆けつけ警護」と言われているのは、海外に派遣された自衛隊が共に活動する外国軍が襲われた際に、その場に駆けつけて応戦・援護するというもの。しかし、ここには重大な混同がふくまれています。
国連PKOの場合、PKOに派遣された部隊がどのように応戦・戦闘するかどうかは、日本政府の指揮する問題ではありません。
しかし、国連PKOでなく、イラク派兵の場合のように、多国籍軍に自衛隊が出て行った場合、自衛隊が外国軍隊の「駆けつけ警護」をするかどうかは、文字通り、「国権の発動」としての武力行使。相手が米軍だけを攻撃しているときに、自衛隊が応戦に入れば、当然、日本は、相手国との戦闘状態に突入します。このようなことを「警護」の名目でやろうというのが、姑息だというのです。
駆けつけ警護に容認論 集団的自衛権、有識者懇で大勢(asahi.com)
駆けつけ警護に容認論 集団的自衛権、有識者懇で大勢
[asahi.com 2007年08月11日07時17分]政府が憲法解釈で禁じる集団的自衛権の行使について議論する有識者の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(座長・柳井俊二前駐米大使)が10日、首相官邸で開かれた。海外に派遣された自衛隊が、共に活動する外国軍が襲われた際に援護に向かう「駆けつけ警護」について、国際的常識で容認すべきとの意見が大勢を占めた。
駆けつけ警護は、安倍首相が同懇談会に「憲法との関係の整理」を諮問した4類型の一つ。首相はあいさつで「国際的な平和活動に一層積極的に関与することが必要だ。他国と共通の基準をふまえないと効果的な活動を行えない」と述べ、必要性を強調した。
政府は国連平和維持活動(PKO)協力法やテロ特措法、イラク特措法で、武器使用を自身や同じ場所の隊員、宿営地を訪れた他国部隊や国連関係者などの防護に限定。離れた所への「駆けつけ警護」は集団的自衛権の行使と関係はないが、憲法が禁じた海外での武力行使につながりかねないとして認めていない。
これに対し委員からは「憲法解釈と国際社会の現状の整合性をとるべきだ」「国際平和活動では他国軍との信頼関係が不可欠。自衛隊に自己防衛しか認めないのは非常識だ」などの発言が出た。
政府は自衛隊の海外活動に関する一般法(恒久法)を検討中で、自民党からは「駆けつけ警護」を盛り込むべきだとの提言も昨年に出ている。
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