2007年4-6月期のGDPの伸び率が0.5%増(年率換算)に。プラス成長は2年半連続とはいえ、前期の3.2%増(年率換算)から大きく減速。
GDP減速0.5%増 4-6月実質年率 消費と輸出低迷(東京新聞)
GDP減速0.5%増 4-6月実質年率 消費と輸出低迷
[東京新聞 2007年8月13日 夕刊]内閣府が13日発表した2007年4-6月期の国内総生産(GDP)速報値は、物価の変動を除いた実質で前期(07年1?3月期)比0.1%増、年率換算で0.5%増となった。プラス成長は10・四半期連続。しかし、個人消費と輸出の低迷で、経済成長のペースは年率換算で3.2%増だった前期より大きく減速した。
物価の変動を含んだ名目GDPは前期比0.3%増と3・四半期連続でプラス。物価の下落により名目成長率が実質を下回る「名実逆転」現象は2期ぶりに解消された。伸び率は鈍化したが、実質経済成長率がプラスを維持したことから大田弘子経済財政担当相は「景気回復の基調に大きな変化はなく、回復が持続している」との認識を示した。
4?6月期の実質GDPを需要項目別でみると、GDPの5割を占める個人消費が前期比0.4%増と3期連続のプラスとなったが、長梅雨や大型台風上陸の影響によるレジャー支出の減少や、宝石や時計など貴金属の消費が落ち込み、前期(0.8%増)より伸び率が鈍化した。
輸出は、高い経済成長を続けるアジアや、東欧など市場が拡大した欧州向けが伸びて前期比0.9%増とプラスを確保したものの、信用力の低い低所得者向け住宅ローン(サブプライムローン)問題で景気が減速傾向にある米国向けが落ち込み、前期(3.4%増)を大幅に下回った。
一方、前期は伸び率が大幅に下がった設備投資が前期比1.2%と、再び伸び率が上昇した。ソフトウエアやカーナビなどの電子・通信機器などが好調だった。このため実質GDPに対する寄与度は内需が0.1%、輸出から輸入を差し引いた外需が0.0%となった。
総合的な物価動向を示すGDPデフレーターは前年同期比で0.3%の下落となり、前期と下落幅は同じだった。解説 賃金伸び悩みなど影響 低成長率続く可能性
2007年4-6月期の国内総生産(GDP)は、前期が個人消費の下支えで成長率を維持したのに対し、1人当たりの賃金の伸び悩みを背景に個人消費が力強さを失ったうえ、対米輸出の落ち込みもあり、低い成長率にとどまった。プラス成長は何とか維持したが、成長率の鈍化傾向が鮮明になった。
個人消費が弱い理由は賃金の伸び悩みのほか、前期に比べ大型台風の上陸や悪天候でレジャー支出が減ったこともある。今後は6月の住民税引き上げの影響拡大が見込まれ、消費が力強さを取り戻すにはまだ時間がかかりそうだ。
対米輸出落ち込みは、原油高の影響が自動車販売などに広がっていることが原因とみられる。日本の輸出先は高度成長が続くアジアや、東欧などの市場が拡大した欧州などに広がっているが、金額の大きい米国向けを補うまでには至っていないようだ。
設備投資は伸びたが、六月の機械受注統計は下落しており先行きに不透明な部分も残る。サブプライムローン問題が消費者心理に影響を与えかねない米国への輸出は、回復が期待しにくい。個人消費に力強さが戻ってこなければ、今後も低い成長率が続く可能性がある。(経済部・川上義則)