シーファー米駐日大使、夏休みだというのに忙しいようです。13日、「朝日新聞」「毎日新聞」「日経新聞」、それにJNNのインタビューを受けて、テロ特措法延長問題で民主党の態度を批判。
写真=インタビューにこたえるシーファー駐日米大使=13日、東京・赤坂で(朝日新聞)
そのなかでシーファー米大使は、アフガニスタンでの米軍の行動は国連決議にもとづいていると発言していますが、その国連決議は今年3月に採択されたもの。しかし、テロ特措法は6年前に決められたもの。そのとき米軍の行動が国連決議にもとづいていなかったことは明らかです。
米駐日大使「国会議員に機密開示」 テロ特措法めぐり(朝日新聞)
アフガン機密情報、民主にも9月提示・米大使会見(NIKKEI NET)
駐日米大使:小沢氏にテロ特措法再考促す 毎日新聞と会見(毎日新聞)
米駐日大使「国会議員に機密開示」 テロ特措法めぐり
[asahi.com 2007年08月14日03時00分]シーファー米駐日大使は13日、東京都内の大使公邸で朝日新聞記者のインタビューに応じ、民主党の小沢代表が期限延長に反対の姿勢を示しているテロ特措法について、全国会議員を対象に作戦内容などに関する米側の機密情報を開示する考えを示した。秋の臨時国会で同法を延長できず、自衛隊がインド洋で給油活動をできなくなれば、「(日米同盟に)ネガティブ(否定的)な影響を与える」と懸念した。
シーファー氏は、先の小沢代表との会談で必要な情報提供に応じる意向を表明しており、「米国は(野党側の)決断に必要なあらゆる情報を提供する用意がある」としたうえで「9月ごろ、関心を持つ全国会議員を対象に大使館で機密情報に関する複数回の説明会(ブリーフィング)を計画している」と述べた。米政府が日本の与党以外の議員を対象に機密情報を開示するのは極めて異例だ。
アフガニスタンでの「テロとの戦い」について、シーファー氏は、小沢氏が主張する「米国の戦争」ではなく、「国際社会全体が参加すべき戦争だ」としたうえで、石油の約9割を中東に依存する日本にとって、(シーレーンに当たる)インド洋での作戦は国益に合致するとも主張した。
さらに、今年3月に全会一致で採択された国連安保理決議1746で、アフガン国内の治安維持、麻薬取引の防止、アフガンからのテロ拡散の抑止などの活動が認められていると主張。「これらの作戦が、国連に基づいていないという議論は不誠実だ」「事実関係については我々の方が正しい」などと述べ、小沢氏の見解を強く批判した。
参院の第1党になった民主党に対し、「いくつかの問題については、党派の利害を超えて決断してほしい」「日米同盟を政治のフットボールにすべきではない」と牽制(けんせい)した。
アフガン機密情報、民主にも9月提示・米大使会見
[NIKKEI NET 2007/08/14 07:02]シーファー駐日米大使は13日、都内の米大使公邸で日本経済新聞のインタビューに応じた。11月1日に期限切れとなるテロ対策特別措置法の延長問題を巡り、アフガニスタン情勢に関する機密情報を9月半ばにも政府・与党だけでなく民主党に提示する考えを表明した。米同時テロを支援した反政府組織・タリバンの活動状況などを詳細に説明することで、同法延長に反対する民主党の態度軟化を促す狙いだ。
シーファー大使は機密情報の開示時期について「9月の第2週か3週ごろ、機密扱いとなっている情報を自民党と民主党などの国会議員に開示する会合を開くべく、準備を進めている」と言明。これに先立ち9月初めに大使自らワシントンに戻り、ブッシュ大統領、ライス国務長官らと意見交換を重ね、米政府の対処方針を固める見通しだ。()
駐日米大使:小沢氏にテロ特措法再考促す 毎日新聞と会見
[毎日新聞 2007年8月14日 7時40分]シーファー駐日米大使は13日、毎日新聞との会見に応じ、11月1日に期限切れを迎えるテロ対策特別措置法を延長する法改正について「米国だけでなく国際社会にとって極めて重要だ」と述べ、同法の延長に反対している民主党の小沢一郎代表に再考を強く促した。また、民主党説得のため小沢氏ら同党関係者と再度、会談したい意向を表明し超党派での問題解決を要望する姿勢を示した。
大使は、テロ特措法に基づく海上自衛隊のインド洋での給油活動について「国際的な連合体の中で(日本の)旗を掲げているだけでなく、真に意味のある補足的な貢献をしている」と強調。仮に海上自衛隊による給油が途絶えた場合「私の理解では、米国にその能力はなく英国だけがある。英国の決断にかかっている」と述べた。
その上でテロ特措法が延長されなかった場合、「日本がテロとの戦いから身を引くと表明するようなもので、米国だけでなく国際社会に『ひどいメッセージ』を送ることになる」と語った。
今月8日に民主党の小沢代表と会談した際、小沢代表が特措法の延長に反対する姿勢を鮮明にしたことに対しては「従来通りの立場を表明したが、(延長を)明確に拒否したかどうか定かではない」と述べた。そして、機会があれば小沢代表だけでなく前原誠司前代表ら同党関係者と会談し、「特措法延長のため、機密情報を含む必要な情報を提供したい」と話した。
一方、参院選で自民党が惨敗し安倍晋三首相の求心力が低下していることに対し、大使は「(選挙で)国際的問題について意見の違いがあったとは思えない。選挙結果が日米同盟を台無しにするような事態は望ましくない」と語ったうえで「特措法のような問題は、党利党略を超えて行動することが重要だ」と強調した。【吉田弘之】