厚生労働省の調査で、世帯単位の当初所得のジニ係数が過去最高隣り、初めて0.5を超えました。
「当初所得」というのは、年金などの受け取り、税金などの支払いを計算に入れる前の所得のこと。で、厚労省は、このようにジニ係数が拡大した理由の9割は、高齢者世帯の増加と世帯人数の減少(世帯人数が多い方が当然世帯全体の所得は大きくなる)だと言っています。
しかし、「再配分所得」の格差も拡大。ジニ係数は0.3873で、当然のことながら当初所得よりは小さくなっていますが、やっぱり過去最大だそうです。
ジニ係数0.5といってもピンと来ませんが、上位25%の人だけで所得全体の75%を占める状態だということ。そこまで格差が広がっているということです。
ジニ係数初の0.5超 所得格差拡大示す
[中日新聞 2007年8月24日 18時55分]厚生労働省が24日発表した2005年の「所得再分配調査報告書」によると、世帯単位の当初所得の「ジニ係数」は過去最大の0.5263で、初めて0.5を超えた。報告書は原則として3年に1度まとめられており、これまでは前回02年の0.4983が最大だった。
ジニ係数は所得分配の格差を示す代表的な指標。全世帯の所得が同額の場合を0(ゼロ)とし、1に近づくほど格差が大きいことを示す。
当初所得の平均は約466万円。前回から45万円減少している中、格差が拡大していることを示した。
ただ、当初所得には公的年金収入は含まれておらず、厚労省は今回の結果を「高齢者世帯の増加と、世帯の構成人数の減少による影響が約9割」と分析。若者を中心に非正規雇用が増加していることに関しては「詳しくは分析できない」としている。
一方、当初所得から税金と社会保険料負担額を差し引き、公的年金収入と医療、保育などの社会保障給付を加えた「再分配所得」のジニ係数は0.3873で過去最大。(共同)
もう1つ、この記事で見逃せないのは、当初所得の平均が3年前から45万円も減少していること。もちろんそのなかには、世帯構成人数の減少も反映しているでしょうが、そういう所得減少の中で格差が拡大しているということは、同じ格差の拡大といっても、全体的に所得が上向いているなかでの格差拡大と違って、より所得の少ない階層にとって深刻です。