学校現場に「派遣の先生」が増えているというニュース。人件費抑制のためというけれど、ホントにこれでいいんでしょうか?
「ハケン先生」浸透中 人件費抑制や受験対策
[東京新聞 2007年8月24日 夕刊]人材派遣会社からの派遣教員が、教育現場に浸透しつつある。少子化で学校間競争が激化する中、学校側には人件費の抑制とともに、予備校出身講師による受験対策授業など特色を出すねらいも。今のところ私立高校が中心だが、公立学校にも広がる兆しがある。2009年度から始まる教員免許更新制度の対象者は、現職教員とともに、臨時採用の可能性がある人を、教育委員会や学校法人がリスト化する方向で検討が進められており、派遣会社の登録者は宙に浮く可能性もある。(社会部・早川由紀美)
教員派遣業は1990年代末の労働者派遣法緩和の中で始まった。最初は教育関連企業が派遣会社をつくる事例が主だったが、大手の人材派遣会社も参入し始めている。
大手学習塾などを運営する栄光グループの「エデュケーショナルネットワーク」(東京都中央区)には約1万6000人が登録。首都圏の私立高校を中心に約440校が会員となっている。「必要に応じて、派遣を受けることで人件費を流動化させるとともに、大量退職時代に入り、幅広いルートで優秀な人材を確保したいという事情が学校側にはある」と担当者は説明する。
2005年から参入した人材派遣大手「テンプスタッフ」(東京都渋谷区)の学校法人ソリューション室の笠松健太郎マネージャーは「これだけ少子化が進むと、学校は何か付加価値をつけなくてはいけないという競争意識を強く感じる」と話す。予備校出身の講師が進学校数校をかけもちする事例もあるという。
東京都台東区は本年度、学力向上策として全小中学校で放課後の補習などにあたる講師について、初めて人材派遣会社を利用する。「6月の補正予算で事業化し、年度途中からになるため、区が直接募集しても決まらないと考えた」と言う。
人材派遣会社の登録者には、子育てなどの事情で退職した元教員などもいる。文部科学省教職員課は「派遣先が決まった時点で、講習を受ければいい」とするが、私立学校側からは「派遣を利用するのは明日からでも来てほしいという緊急事態のとき」との声も上がっている。教員免許更新制 教員の資質向上を目的に6月に教員免許法を改正。2009年4月以降の免許には10年間の有効期間が定められ、更新には30時間以上の講習が必要となる。施行前に授与された免許も講習を受けなければ失効する。教壇に立っていない「ペーパーティーチャー」は受講対象とはならず、採用が決まった場合に講習が必要。講習の内容や修了認定の基準などは、年度内に省令で定める。同省は不定期の採用も視野に、いつでも受講できる短期集中講習の開設も検討している。