1995年から2005年までの10年間に、大企業製造業の役員報酬は約2倍になったにもかかわらず、従業員の給与は横ばいのまま――。2007年度『経済財政白書』には、このようなデータが載っています。
第1-1-15図左半分
さらに、こんなデータも↓。やはり95年から05年の間に、企業の経常利益および純利益も約2倍に、配当は3倍近くに伸びています。
第1-1-15図右半分
ということで、『経済財政白書』もこんなふうに指摘しています。
●従業員給与が横ばいで推移する中、配当・役員給与は増加
今回の景気回復局面では、労働分配率が低下する一方で役員報酬の増加や株主への配当が進められているのではないか、という指摘がみられる。2002年以降、大企業の企業収益が回復する中で、配当や役員報酬が増加する一方で、従業員給与が横ばいとなっている(第1-1-15図)。大企業の一人当たり従業員給与に対する一人当たり役員報酬の水準は、2005年度において約4.8 倍となっており、これは1968 年度と同じレベルである。また、配当性向の動きをみると、同期間中(2002?2005年)を通じて横ばいで推移していることから、利益増加が配当増につながっていると考えられる(第1-1-16図)。(同書20?21ページ)
【追記 2007/10/10】
「白書」をよく読んだら、配当、役員報酬の伸びと従業員給与の伸びなさとの対照について、「白書」自身にこんなふうに書かれていました。
財務省「法人企業統計年報」による大企業製造業の配当、役員給与、従業員給与の動きをみると、2002年から2005年の3年間に、経常利益が約1.7 倍、純利益が約3.4 倍とそれぞれ増加しており、同期間中、配当総額は約2.3倍、一人当たり役員給与・賞与は約1.7倍伸びている(役員給与は約1.5倍、役員賞与は約2.3倍)。これに対して、一人当たり従業員給与はほぼ横ばい状態となっている。(白書自身のページ数で20ページ、脚注6)
2007年度経済財政白書はこちらから。↓
2007年度年次経済財政報告書