学力テスト実施中に、校長が指差しして誤答を生徒に指示していた足立区ですが、実は、区教委が学力テストの問題用紙を事前に校長会で配布していたことが明らかに。
足立区は、前年の東京都の学力テストで23区中最下位だったとか。区教委がこんなことを考えるんだから、校長がテスト中に不正をやるのも当たり前ですな。文字通りの「反面教師」。
学力テスト 足立区教委、事前に配布 問題一部 校長会で「扱い任せる」(東京新聞)
学力テスト 足立区教委、事前に配布 問題一部 校長会で「扱い任せる」
[東京新聞 2007年9月11日 夕刊]東京都が2005年1月に都内の公立小中学校を対象に行った学力テストで、足立区教育委員会が、事前に区立小中学校111校の校長に一部の問題を配布していたことが11日、分かった。同区では都や区が実施した3回の学力テストで区立小学校1校の教員が児童の誤った回答を指し示し、正解を誘導していた不正が今年7月に発覚。都教委が校長を更迭し、減給1カ月の処分を出しているが、区教委自体が学力テストの成績アップを狙って不正を働いた疑惑が浮上した。
区教委によると、問題が配布されたのは04年12月21日の校長会。小学校5年生用の4教科中の国語と算数、中学校2年生用の5教科中の国語と数学、英語の問題をそれぞれ、受付で区教委教育指導室側が校長らに配布した。
区教委は問題配布をした意図について「都の学力テストを受けるのは、小学校は初めてで、中学校も2回目だったので、地区番号や学校番号などの記入など円滑に実施されるため」と説明した。
配布の経緯に関して区教委は「当時の人に聞き取りはしているが記憶があいまい」「(だれが配布を決めたか)分からない」などと述べ、明確な説明ができなかった。
11日に記者会見した区教委の斎藤幸枝教育長は、区教委ぐるみで不正を行ったと疑われる点について「事前に配布することは誤解を招く恐れがあり、すべきではなかった」と説明。「足立区は都が実施した中学校の1回目のテストで23区中最下位で、学力向上に力を入れるのは当たり前だと思うが、行き過ぎがあった」と話した。
区教委は問題配布の当日、事実関係を都教委に報告。この時点で都教委からは「秘密保持に十分気をつけるように」との指導があったという。◇
校長会に出席した校長らによると、教委はテストの約1カ月前に開かれた会議の会場入り口で、問題用紙をまとめた冊子を各校長に配布。その上で担当者が「取り扱いは校長にお任せします」と発言した。校長から「事前に内容を見ておけということか」「対策問題を作れという指示か」などと質問が出たが、教委はこの場では否定せず黙認する姿勢を示した。
会議の終了後、一部の校長が担当者と別室で協議。「教育者として容認できない」などと強く抗議したところ、教委はこの日夕方になって各校に電話をかけ、問題用紙を金庫に入れて管理するよう指示した。
会議の終了後に「容認できない」と抗議した校長先生がいたというのは、せめてもの救いだけれども、「地区番号や学校番号などの記入など円滑に実施されるため」なら、問題部分を消したものでもよいはず。また、「当時の人に聞き取りはしているが記憶があいまい」「(だれが配布を決めたか)分からない」などというのもありえない話で、要するに言を左右にして責任をまぬかれようとしているだけ。
「過ちては則(すなわち)ち改むるに憚(はばか)ること勿(なかれ)れ」という点でも、見事な「反面教師」です。