読売新聞の世論調査。福田、麻生両氏のどちらが人気かはどうでもよい。面白いのは、62%が安倍路線からの転換を求め、58%が安倍元首相の辞任は当然と考え、51%が解散・総選挙をできるだけ早く行うべきだと考えていること。小泉・安倍と続いた政治路線の破綻は明らか。
もう1つ、面白かったのは、今朝の毎日新聞「発信箱」での与良正男記者のコメント。福田・麻生のあらそいに目を奪われ、いつの間にか安倍首相の突然の辞任劇は過去の話になってしまっているが、それが自民党の狙いだという指摘。しかし考えてみれば、福田を支持している派閥の領袖たちは7月末に、麻生と一緒に安倍続投を決めた人たち。こんなことで、安倍政権の失政と政権投げだしの責任をなかったことにされては困る。
「自民党総裁にふさわしい」福田氏58%麻生氏22%(読売新聞)
発信箱:作戦に乗ってなるものか(毎日新聞)
福田氏、閣僚人事「小幅に」 話し合い解散にも言及(朝日新聞)
「自民党総裁にふさわしい」福田氏58%麻生氏22%
[2007年9月16日21時35分 読売新聞]読売新聞社は15、16の両日、自民党総裁選に関する緊急全国世論調査(電話方式)を実施した。
福田康夫・元官房長官と麻生太郎幹事長の、どちらが総裁にふさわしいかでは、福田氏を挙げた人が58%にのぼり、麻生氏の22%を大きく上回った。自民支持層で見ると、福田氏61%、麻生氏27%だった。
国会議員票で優位に立つ福田陣営に対し、麻生陣営は都道府県連の党員投票に期待しているが、国民の人気も福田氏の方が高かった。
男女別では、男性は福田氏53%、麻生氏27%、女性は福田氏62%、麻生氏18%で、女性の福田氏支持が目立った。年代別、地域別でもすべて福田氏の方が多かったが、麻生氏の地元「九州」では、福田氏50%、麻生氏28%と他と比べて差は小さかった。
安倍首相の政治路線を引き継ぐ方がよいかどうかでは、「そうは思わない」が62%、「そう思う」は26%で、安倍路線の転換を求める人が多かった。
次の首相に必要な資質、能力(複数回答)については、「指導力」89%、「国民への説明能力」86%が上位だった。閣僚の不祥事などで指導力や説明不足を指摘された安倍首相への批判が背景にあると見られる。
今回の総裁選は、福田氏を自民党内の8派閥が支持するなど、派閥の動きが目立っているが、派閥中心で候補者選定が進んだことには、70%が「好ましくない」と答えた。「好ましい」は15%だった。
安倍首相の退陣については、「当然だ」という人が58%、「(退陣の)必要はなかった」は33%だった。臨時国会の代表質問直前の退陣表明については、無責任だと思う人が69%に上った。
衆院の解散・総選挙の時期については、「できるだけ早く行う」が51%、「急ぐ必要はない」が41%だった。「できるだけ早く」は、参院選直後(7月30、31日)と内閣改造直後(8月27、28日)に行った緊急調査(電話方式)では4割前後だったが、今回は「急ぐ必要はない」を上回った。【調査方法】9月15日午後?16日実施。全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に作成した番号に電話をかけるRDD方式。有権者在住世帯判明数1672件、有効回答1047人、回答率63%。
発信箱:作戦に乗ってなるものか 与良正男
[毎日新聞 2007年9月17日 0時24分]私たちメディアはどうしても先に先にと関心が向かいがちになる。自民党総裁選が正式に始まる前から福田康夫元官房長官が圧勝だとか。さらには、では「福田内閣」になったらその顔ぶれはとか……。そうこうしているうちに安倍晋三首相の突然の辞任表明が随分と過去の話のようになっていく。
それが自民党の作戦だということは忘れてはいけない。「次の首相」に世間の関心を引き付けることで、あの無責任な退陣劇を忘れてもらおうとしているのである。
そもそも昨秋、党内が雪崩を打って安倍さん支持に傾いて、未熟な内閣を作ったのは誰だったのか。先の参院選で大敗し、国民がノーと言ったのは明らかだったのに、安倍さんの続投を許したのは誰だったのか。
あるいは「11月1日に期限が来る。インド洋での自衛隊活動が中断しては国益を損なう」と大騒ぎしていたテロ対策特別措置法の延長問題はどこへ行ってしまったのか。新総裁が決まるまでは国会は開店休業。いつの間にか期限切れが前提になっている。
確かに、この局面で福田さんというのは絶妙な策だとは思う。でも、冷静に考えれば参院選直後に交代していればよかった話。7月末から今まで時間を浪費した揚げ句に勝手に首相が辞めて、勝手に代わるという自民党の都合だけの話と言い換えてもいい。
早く政治を国民の手に取り戻そう。それには、首相交代後、一定の国会論戦を終え、速やかに衆院を解散して、有権者の審判を仰いでもらうしかない。私はしつこく解散・総選挙を求めていくつもりだ。(論説室)
↓で、それを裏づけるようなニュースがこれ。福田氏は、世間的には、小泉・安倍路線から一番遠いと「期待」されているのだろうが、ご本人は、首相になっても閣僚の大幅入れ替えは難しいと発言。考えてみれば、福田支持を表明した町村氏などが閣僚として座っているのだから、勝手にクビは切れない。大多数の派閥の総支援というのは、こういうことか。変わったように見せて、着実にアメリカ言いなり、国民負担増の政治を続ける――それが福田氏の「人柄」なのかも知れない。
福田氏、閣僚人事「小幅に」 話し合い解散にも言及
[asahi.com 2007年09月17日01時23分]自民党総裁選に立候補している福田康夫氏は16日のテレビ番組で、首相に選出された場合の閣僚人事について、「国会の最中なので、すぐ(閣僚が)討論しないといけない。あまり変わったことはできないんじゃないか」と語った。臨時国会の会期中で、組閣後ただちに衆参本会議の代表質問や予算委員会の審議が控えていることから、現在の閣僚を大幅に入れ替えるのは難しいとの考えを示したものだ。
また、次の解散・総選挙の時期について、福田氏は「問題意識を共有できれば野党との話し合いもある。解散権は首相の特権だが、いま状況は違う」と指摘。場合によっては話し合い解散もあり得るとの見方を示した。