人々は福田新総裁に何を期待するか

北海道巡りをしている間に、自民党・福田新総裁が決定。9派閥中、麻生派を除く8派閥の推薦を受け、福田勝利は分かっていたこと。メディアは、麻生氏が地方票を合わせて197票と、福田氏の3分の2を獲得したことに注目しているが、派閥として福田を推薦し、なおかつ福田圧勝がつたえられる中で、個人としては麻生氏に投票すれば、結果がどっちに転んでもいける訳で、そんな心理が透けて見えるような話。

問題は、福田新総裁が、国民の期待にこたえるような政治ができるかどうか。地方紙のインタビューを読むと、暮らし、年金、農業、若者の雇用、消費税増税反対、福祉の充実、等々、自民党政治そのもののあり方を問う声が多い。

格差是正に全力を?福田康夫新総裁に県民の声(四国新聞)
自民総裁に福田氏 期待?不安?東北・市民の声(河北新報)
「格差是正取り組んで」「年金問題にけじめを」 自民・福田新総裁 有権者 期待と注文(西日本新聞)
自民総裁に福田氏 育児支援や雇用創出を期待(中日新聞)
福田新総裁に期待の声 派閥的選考に批判も(佐賀新聞)
老練 手堅さ期待 自民総裁選県内の声(神戸新聞)

格差是正に全力を?福田康夫新総裁に県民の声
[四国新聞 2007/09/24 09:50]

 自民党の新総裁に福田康夫元官房長官が選ばれた23日、香川県民からは年金問題や格差是正など山積する課題への対応を求める要望が相次いだ。一方で「誰がなっても変わらない」との冷ややかな反応や、安倍首相の突然の退陣表明に端を発しただけに、「リーダーシップを発揮し、問題をきちんと解決してほしい」などの注文も目立った。
 多くの県民から、構造改革の“痛み”の解消を求める声が上がった。丸亀市飯野町の自営業田多博史さん(58)は「毎日の暮らしは苦しくなるばかり。庶民の気持ちをしっかり考え、とにかく格差是正に全力を注いでほしい」と強調。土庄町渕崎の自営業須佐美洋介さん(33)は「自民党は緊急事態。リーダーシップを発揮して党をまとめ、格差問題など日本の立て直しに取り組んでほしい」と訴えた。
 「何より自分たちの年金が大丈夫かが一番の心配」という三豊市仁尾町仁尾の農業中井智美さん(60)は、「社会保険庁に関する不安を一掃することを第一に考えてほしい」と要望。さぬき市志度の主婦秋友裕子さん(48)は「障害者自立支援法など社会的弱者に厳しい法律を改正してほしい」と注文を付けた。
 「誰がなっても政治は変わらない」と話すのは看護師を目指している高松市香川町の専門学校生古川絵未さん(20)。まんのう町新目の農業見間勤さん(76)は「減反政策など国の農政方針が数年ごとに変わり、やる気をなくした農家も多い」と訴え、「じっくりと腰を据え、長期的なビジョンを持って取り組んでほしい」と話した。

自民総裁に福田氏 期待?不安?東北・市民の声
[河北新報 2007年09月23日日曜日]

 23日の自民党総裁選で、330票を集め、選出された福田康夫さん。11月で期限が切れるテロ対策特別措置法の対応策や年金記録不備問題などの難題解決とともに、党の再生が待ったなし。福田さんの指導力や期待する政策について、東北の街角で聞いた。

<若い人いないの?>
 50代の安倍晋三首相でさえ若いと言っているような組織では支持できない。世間には20代、30代でも有能な人間がいるのに、自民党には頼もしい若い政治家がいない。70代の新総裁がフリーターやニートなどの問題を理解して解決できるだろうか。(福島市 会社員 須田拓也さん 20歳)

<消費税上げないで>
 これから家を買いたいと思っているので、消費税は上げないでほしい。毅然(きぜん)とした対応に定評があると思うが、どちらかというと裏方の仕事が多かったと思う。今後は魅力ある政策を打ち出していけるかどうかが問われるだろう。(仙台市泉区 公務員 河田忠義さん 31歳)

<派閥大事にしそう>
 福田さんの方が話が分かりやすく、総裁にふさわしいと思った。ただ、福田さんは派閥を大事にしているようにも見えるので、自民党は変わらないような気がする。政治資金を透明にし、政治に金がかからないようにしてほしい。(山形市 会社員 黒沼満生さん 31歳)

<安定した政治望む>
 この半年間、大臣の入れ替わりが激しすぎた。これでは諸外国の要人との信頼関係も築くことはできない。ストップした国会で、税金が浪費されているとも聞く。強いリーダーシップを発揮して、一刻も早く安定した政治を目指してほしい。(秋田市 会社員 高橋光夫さん 42歳)

<豊富な経験生かせ>
 福田さんの経験豊富で落ち着いた雰囲気がいいと思う。安倍首相はキャリアが足りなかった。見ていると「拉致家族」は本当に大変そうなので、北朝鮮問題は特に力を入れて進めてほしい。大きなことを考えていそうなので期待している。(仙台市青葉区 パート 高橋恵利さん 41歳)

<年金問題解決して>
 誰が総裁になっても自民党の政策の方向性が変わるとは思えない。福田さんにも特に期待していない。ただ、安倍政権が積み残した課題は多い。特に年金問題は早急に解決してほしい。国民生活の基盤をしっかりと守る政治を望む。(八幡平市 会社員 岡田了子さん 57歳)

<何にも変わらない>
 福田さんが自民党総裁になったからといって、何かが変わるとは思えない。演説を聞いても抽象的な言葉ばかりだし、そもそも少し前まで官房長官として政権の中枢にいた人だからだ。代わり映えのしない政治がずるずる続く気がしている。(青森市 無職 川村精一さん 61歳)

<介護保険の充実を>
 福田さんは温厚そうで信頼できる。望むのは介護保険制度の充実。患者負担を減らし安心して老後を過ごせる社会にしてほしい。麻生太郎さんは参院選期間中に「アルツハイマーの人でも分かる」と発言した。弱者への配慮が足りない。(仙台市太白区 主婦 工藤容子さん 70歳)

「格差是正取り組んで」「年金問題にけじめを」 自民・福田新総裁 有権者 期待と注文
[2007/09/24付 西日本新聞朝刊 2007年09月24日00時18分 長崎版]

 自民党総裁選で福田康夫元官房長官が麻生太郎幹事長を破り、新総裁に選出された23日、県内各地の市民から「都市と地方の格差是正に取り組んでほしい」などと期待と注文の声が聞かれた。
 松浦市の会社員中村美都里さん(30)は「地域格差を是正するような地方対策に期待したい。若者が地元で働けるような政策に取り組んでほしい」と期待。島原市の喫茶店経営渡辺やすえさん(56)は「政治資金の問題など、政治家の人間性が問われるようなことが次々起きている。もっとプライドを持って職務に専念してもらいたい」と注文を付けた。
 また長崎市のタクシー運転手藤原国勝さん(63)は「年金問題について国民が納得するようにきちんと説明して、けじめをつけてほしい」と指摘。佐世保市三川内町の口石慶治さん(72)は「経験の豊富さや慎重な人柄といった点で大いに期待している。ただ現状を考えると、自民党内をまとめ、野党との関係改善を図ることは容易ではないだろう。テロ特措法の延長は米国との関係を保つ上で重要だと思うが、実行できるか心配」と話した。
 原爆症認定基準見直しの動きに関して、元長崎大学長の土山秀夫さん(82)=長崎市=は「首相が交代して振り出しに戻れば被爆者をはじめ国民は不信感を抱くはず。福田氏は『基準見直し路線』を継承し、前に進めるしかない」と語った。

自民総裁に福田氏 育児支援や雇用創出を期待
[中日新聞(長野版)2007年9月24日]

 自民党の新しい総裁に福田康夫元官房長官が二十三日選出され、二十五日には第九十一代首相に指名される見通しとなった。子育て支援や雇用、都市と地方の格差解消など、県民からは新総裁への期待や注文の声が相次いだ。
 「子どもは思いがけない病気やけがをするけど、家計に余裕があるわけでもない。小学校卒業までの医療費負担を国にお願いしたい」。生後六カ月の長男を育てる飯田市の主婦佐伯久美子さん(35)は、子育て支援への要望が強い。
 一年前に名古屋市からIターンし、医療の地域格差も肌で感じる。「子どもはもっとほしい。けど、(この地域には)産科医や小児科医が少ないと聞き、不安がある。安心して産み育てられる環境を」と加えた。
 伊那市のショッピングセンターでは、買い物をしていた無職小池勝宏さん(69)も「上伊那では病院の医師不足が大きな問題。都会を整備するあまり田舎を手薄にしてもらっては困る」。地域格差の是正を求めた。
 コンピューターのプリント基板製造会社に勤務する長野市の宮岡俊昭さん(40)は、正社員が減って派遣社員が増える現実に疑問をもつ。「仕事を覚えても一定期間で辞める。技術が伝えられない」と嘆き、希望者が正社員として働ける場の創出などを要望。
 「サラリーマン経験のある福田さんは、庶民の気持ちが分かるんじゃないかと、ちょっと期待してます」。松本市の会社員高波恵子さん(52)は前向きに受け止めた。
 長野市の無職井出郁代さん(72)は、十年前から受給している年金が三回にわたって引き下げられた。「長男は四十五歳。家庭もあるし、年金はちゃんともらえるのか…」と不安。「無駄を省いた政治に臨んでほしい」とくぎを刺した。
 「福田さんは比較的好印象」という松本市の建築設計士宮島博さん(61)。それでも「票を投じた自民党員の意見を聞かなきゃいけないだろうし…。抜本的な政策転換は期待できないのでは」と冷静に話した。

福田新総裁に期待の声 派閥的選考に批判も
[佐賀新聞 2007年09月24日更新]

 安倍首相の突然の退陣表明を受け、自民党の新総裁に選出された福田康夫氏。テロ特措法や年金、格差是正など重要課題が山積する中、県内の有権者からは福田氏の穏やかな人柄、経験に期待の声が上がった。一方で、派閥の力で早々と大勢が決まった選考過程に「昔の古い体制に戻った感じ」と冷ややかな反応も。今夏の参院選で大敗した自民に「信任は得られていない」という意見もあり、「早期に解散すべき」との声も聞かれた。
 「人柄も穏やかで落ち着いた印象。難局を乗り切ってくれるのでは」。三養基郡基山町の自営業村山義明さん(47)は、官房長官を約3年半務めた福田氏の経験に期待を寄せた。安倍内閣は閣僚の失態が相次ぎ、わずか1年で“自壊”。今回のような政治空白は国際的信頼もなくしかねず、「大臣をしっかり選び、政局を安定させてほしい」と訴える。
 政策面では、今夏の参院選で争点となった年金問題や農業政策への期待、注文が上がった。
 杵島郡白石町の小野信子さん(64)は「社会保険庁の問題を見ていると、まじめに働いた人が損をするとしか受け止められない。一連の問題に早くけりをつけ、安心して老後が送れるようにしてほしい」。伊万里市の農業大久保俊朗さん(58)は「集落営農化や大規模農業を優遇する農業政策は地方の小規模農家を切り捨てる印象が強い。もっと末端の声に耳を傾け、実情に合った政策を打ち出して」と要望する。
 総裁選では改革路線をどう継承するかも論点の1つとなった。佐賀市の吉松哲士さん(81)は改革の継続を重視するとともに、「国際貢献など国益重視の政策に取り組んで」と注文。一方、神埼市の馬場崎京子さん(62)は「改革で格差社会が広がった。県内でもホームレスが増えている」と指摘し、改革より格差是正への取り組みを求めた。
 今後の焦点は、新しく誕生する福田内閣がどれくらいの支持を集めるかに移る。唐津市の会社員岡野史果さん(24)は「福田さんに、小泉さんのようなリーダーシップはなく、現状維持が精いっぱいだろう。派閥政治が復活したことで、国民からも海外からも支持は得られないと思う。近いうちに解散しなければならなくなるのでは」と話した。

老練 手堅さ期待 自民総裁選県内の声
[神戸新聞 2007/09/24]

 自民党の新しい顔は二十三日、福田康夫元官房長官に決まった。派閥のみこしに乗った「慎重居士」が、父と同じ七十一歳で首相の座に就く。安倍晋三首相の唐突な退陣表明を受け、麻生太郎幹事長と争った党総裁選。年金、格差、北朝鮮、テロ特措法…。「ねじれ国会」で正念場を迎える福田氏に、兵庫県内からは厳しい注文が相次いだ。
 就任会見で、福田新総裁は「国民の信頼を勝ち得たい」と繰り返した。しかし、年金記録不備や職員の着服などで、市民の政治不信は根深い。
 特定非営利活動法人(NPO法人)「阪神高齢者・障害者支援ネットワーク」(神戸市西区)の理事長は「うみは徹底的に出さなければならない」と強調。国民の負担を強いる消費税率アップの論議についても、政治不信の解消が大前提という。
 年金記録不備の問題では「総務省の第三者委員会の体制を強化し、柔軟に判断するなど、訂正や照合のスピードアップが求められている」。
 姫路市の食品メーカー社長(45)は「大企業優遇から、九割を占める日本の中小企業に目を向けた政策を」と話す。「(中小企業経営には)地方経済の発展が必要で、そのために、まず国の財政が潤わなければ」と、財政再建を要望した。
 篠山市の主婦(47)は「小泉改革で生じた都市と地方の格差に目を向けてほしい。医療対策はもちろん、子育てなど地方でも暮らしやすい環境をつくる具体的な施策を示して」と訴えた。
 福田氏が北朝鮮と対話重視を打ち出していることに拉致被害者、有本恵子さんの母、嘉代子さん(81)=神戸市長田区=は危機感を募らせる。「経済制裁は続けてもらわなければならない。これまで米を送ったりしても失敗してきた」
 二〇〇二年の小泉首相訪朝の際、恵子さんについて北朝鮮の「死亡」との申告を受けた福田氏(当時の官房長官)から「残念です」と一言だけ告げられた。嘉代子さんは「拉致被害者全員の帰国まで問題は解決しないということを頭に置いて交渉を」と注文した。
 インド洋での海上自衛隊の給油活動継続について、関西学院大法学部四年(23)=宝塚市=は「米国追従ではなく、日本独自でその必要性を十分議論した上で、継続の是非を国民に問うべきでは」と疑問を投げかけた。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください