沖縄に行ってきたという先輩から聞いた話なのですが、沖縄駐留米軍がナパーム弾を使った実弾演習を沖縄で実施しているということで、沖縄では大きな反対世論がわき起こっているそうです。
しかも、ナパーム弾を落として訓練しているのは、岩国に駐留する米軍。「岩国では落とせない爆弾を沖縄なら落とせるから」というのがその理由。その「岩国では落とせない爆弾」というのが、どうやらナパーム弾(の改良弾)らしいのです。
ということで、インターネットで調べたところ、沖縄では琉球新報が社説を掲げるほどの大問題。どうして、本土のメディアはこういう問題を全然報道しないのでしょうか?
米軍、ナパーム類似弾使用/沖縄周辺訓練区域で(沖縄タイムス)
ナパーム弾改良型使用 実弾、沖縄周辺で訓練(琉球新報)
社説:焼夷弾MK77 国連決議反する暴挙だ(琉球新報)
岩国基地所属機も利用/沖縄近海射爆撃場(沖縄タイムス)
1カ月に爆弾90トン 県外の米軍機、沖縄近海訓練(琉球新報)
米軍、ナパーム類似弾使用/沖縄周辺訓練区域で
[沖縄タイムス 2007年9月21日(金) 朝刊 27面]【嘉手納】大規模な火災を引き起こし非人道的な兵器として国際的な非難を浴びているナパーム弾と同様の威力を持つ「焼夷弾MK77」を在沖米海兵隊が沖縄に貯蔵し、沖縄周辺の訓練区域で使用していることが二十日までに分かった。米軍はナパーム弾に使用されている混合物の種類が異なると説明しているが、専門家は「目的は一緒で、効果に違いはない」と指摘した。
十三日に嘉手納基地を離陸した岩国基地(山口県)所属のFA18戦闘攻撃機が、焼夷弾MK77四発を沖縄周辺で使用したことを二十日、米軍は認めた。
在沖米海兵隊は焼夷弾MK77の存在と使用を認めた上で「訓練は、海兵隊のパイロットや乗組員が日米同盟に基づく責任を遂行する態勢を維持するため必要不可欠」としている。
米軍嘉手納基地では、今月中旬ごろからFA18やAV8ハリアー垂直離着陸攻撃機がナパーム弾同様、非人道的兵器として国連人権小委員会で製造・使用の禁止が決議されているクラスター爆弾を使用するなど、同基地を拠点とした実弾訓練が活発化している。
軍事評論家の青木謙知氏は「混合物の違いはあっても、広範囲を焼き尽くすという目的は(ナパーム弾と)一緒だ」と説明する。
ナパーム弾改良型使用 実弾、沖縄周辺で訓練
[琉球新報 2007/9/20 9:43]【嘉手納】国連の人権小委員会が劣化ウラン弾やクラスター爆弾などと同列に製造・使用の禁止を求める決議を採択したナパーム弾は非人道的兵器として国際的な非難を浴びているが、その改良型の焼夷(しょうい)弾MK77を在沖米海兵隊が沖縄に貯蔵し、沖縄周辺の提供訓練区域で実弾訓練に使用していることが19日までに分かった。
琉球新報の質問に在沖米海兵隊はMK77の貯蔵、訓練使用を認めた上で「MK77はナパーム弾と化学的に異なる」としてナパーム弾より環境への影響が低いと強調しているが、専門家はナパーム弾と同様に非人道的な破壊力を持った兵器と指摘している。
13日に米空軍嘉手納基地で、海兵隊岩国基地(山口)所属のFA18戦闘機がMK77を搭載し、離陸するのが確認された。目撃者によるとFA18は4発のMK77を装着して午後2時36分、嘉手納基地を離陸した。約1時間後に戻ってきた際に爆弾はなかった。機体は迷彩色で、尾翼には隊長機を示す「00」の記号が付いていた。
同日、クラスター爆弾を装着した岩国基地所属のハリアー戦闘攻撃機の離陸も確認されている。クラスター爆弾、焼夷弾MK77など「人道的に問題がある」との批判がある兵器を使用した訓練が沖縄近海で恒常的に行われている実態が浮き彫りになった。
在沖米海兵隊報道部は「沖縄周辺の認められた提供区域で実弾演習を実施するためMK77焼夷弾を搭載していた。海兵隊のパイロットや乗組員らが日米安全保障条約の下での責務を果たす準備のため必要である。地域の平和と安全に貢献している」と回答した。
軍事評論家の野木恵一氏は「広範囲に燃料をぶちまけて火災を起こさせるもので、ファイアーボム(焼夷弾)であることは確か。効果としては(ナパーム弾と)変わりない」と指摘する。イラク戦争でもナパーム弾使用についての報道があり、当初米軍は否定し、その後MK77の使用を認めた。野木氏は「大量殺りくの残虐性から米軍としても大っぴらに認めたくない兵器だろう」と分析している。(国吉美千代)
社説:焼夷弾MK77 国連決議反する暴挙だ
[琉球新報 2007-9-21 9:50:00]国連の禁止決議を無視し、在沖米軍が高性能焼夷(しょうい)弾MK77を貯蔵、訓練に使用している事実が判明した。国連が製造と使用禁止を決議した非人道的兵器の一種だ。県民を危険にさらす暴挙であり、米軍は即刻、訓練使用をやめ、破棄すべきである。
MK77という名前にピンとこなくても「ナパーム弾(油脂焼夷弾)」といえば分かるであろう。ベトナム、湾岸戦争などで使われた大量殺りく兵器である。その改良型がMK77だ。
国連の人権小委員会は、劣化ウラン弾やクラスター爆弾などとともにナパーム弾も製造・使用禁止を求めている。米軍は1988年以降、ナパーム弾の廃棄を進めてきた。今回、沖縄周辺の提供訓練区域での訓練でMK77の使用を認めた在沖米海兵隊は、「MK77はナパーム弾と科学的に異なる」と釈明している。だが、ナパーム弾の燃料がガソリン、MK77が灯油の違いだ。一線の米兵らはMK77を「ナパーム」と呼んでいる。頭隠して尻隠さずの弁明にすぎない。
国際的にも「非人道的」と非難される兵器を訓練で使い続ける。米国が国連や国際世論をいかに軽視しているか。その証左であろう。MK77ナパーム弾の殺傷能力は、すさまじい。使用された湾岸戦争での報告では、広範な地域が一瞬にして炎の海となり、炎にのみ込まれた人間や建物は徹底的に燃やし尽くされたという。
化学剤が使用されているため消火は困難を極め、少量の焼夷剤の飛沫(ひまつ)を皮膚に浴びても「骨まで溶かす」ほど焼き尽くし、生き残っても重篤な後遺症を与える。
その危険な兵器を米軍が訓練で使う。事故の絶えない在沖米軍である。訓練でミサイルの発射装置が故障する事故もあった。緊急着陸も多い。誤射も懸念される。人口密集地の上空を飛ぶ訓練機が事故を起こせば、戦場の悲劇は県民の上に降り注ぐことになる。
米軍は、MK77に加えクラスター弾の訓練使用も認めている。国連が禁ずる兵器を自衛隊も保有している。あきれた話だ。日米両政府は国連決議を順守し、即刻、使用をやめ廃棄すべきだ。
岩国基地所属機も利用/沖縄近海射爆撃場
米軍紙報道2月爆弾90トン使用
[沖縄タイムス 2007年9月27日(木) 夕刊 5面]【中部】沖縄近海の射爆撃場を「理想的な訓練場所」とし、岩国基地(山口県)などの外来機が頻繁に利用していることが二十七日、分かった。在沖米海兵隊機関紙「オキナワマリン」が報じた。
訓練は米軍嘉手納基地を拠点に行われており、同基地が外来機の駐留基地としての機能を果たしている実態が改めて浮き彫りになった。
同紙によると、今年二月、岩国基地所属のFA18戦闘攻撃機を中心とした米海兵隊第二一二戦闘攻撃中隊が複数の種類の爆弾を使用した訓練を沖縄南方の無人島で行った。米軍嘉手納基地に駐留していた約一カ月間で、九十?以上の爆弾を使用した、という。同中隊は、期間中にキャンプ・ハンセンの部隊とも共同訓練を行った。
同中隊は年間約三回、沖縄に飛来しているという。
操縦士、ジョンHヘルム・ジュニア大尉は「岩国で投下できない兵器が沖縄では認められているので、沖縄で訓練する」と沖縄の射爆撃場の有益性を指摘している。
また、九月中旬には、岩国基地所属のFA18が多数、嘉手納基地に飛来。非人道的兵器として国際的に非難を受けているクラスター爆弾や焼夷弾MK77を使用した訓練を実施していることが明らかになっている。
1カ月に爆弾90トン 県外の米軍機、沖縄近海訓練
[琉球新報 2007/9/27 9:39]【中部】沖縄近海の射爆場が、県外米軍基地所属戦闘機部隊の実弾訓練場として頻繁に利用されている実態が26日、在沖米海兵隊の機関紙「オキナワ・マリン」で明らかになった。米海兵隊は同紙で、沖縄の射爆場を「理想的な訓練場所」と説明し、定期的に嘉手納基地に展開している岩国基地所属のFA18ホーネット戦闘攻撃機を中心とした米海兵隊第212戦闘攻撃中隊が嘉手納基地に一時駐留中の1カ月で90トン以上の爆弾を訓練で使用したとしている。
岩国所属の別中隊のFA18は非人道的とされるクラスター爆弾や焼夷(しょうい)弾MK77を用いて沖縄近海で実弾訓練を実施していることが分かっており、これとは別中隊の訓練を報じた同紙報道によって、嘉手納基地が空軍だけでなく、海兵隊の複数中隊の外来機による実弾訓練を実施するための駐留基地として使用されている実態があらためて浮き彫りとなった。
「オキナワ・マリン」によると212中隊は年間約3回、沖縄に飛来している。今年2月15日までの1カ月、嘉手納基地に駐留し、レーザーやGPS(衛星利用測位システム)による誘導兵器など複数の種類の爆弾を使った訓練を沖縄南方の無人島で行ったとしている。
記事中、同中隊操縦士のジョン・ヘルム・ジュニア大尉は「岩国基地では落とすことのできない兵器を沖縄の射爆場で使用することができるので、われわれは沖縄で訓練する」と述べ、沖縄を絶好の射爆場との見解を示している。
航空評論家の青木謙知氏は「断言し難いが、他地域と比べるとやはり実弾の訓練量は多いと思う。青森の三沢基地などでも実弾訓練はできるが、射爆場が海洋の無人島など制限の少ない沖縄の方が米軍にとって訓練しやすいのだろう」と分析した。
↓このほかにも、沖縄では米軍の傲慢な態度が次々に明らかになっています。嘉手納基地の未明離陸に抗議した住民に対し、司令官が「基地がある限り未明離陸は継続する」「抗議があるのは沖縄だけ」と開き直ったという事件。
「軍の論理」に憤り/嘉手納司令官発言
[沖縄タイムス 2007年9月22日(土) 朝刊 27面]【中部】米軍嘉手納基地司令官のブレット・ウィリアムズ准将は二十一日、嘉手納飛行場に関する三市町連絡協議会(三連協、会長・野国昌春北谷町長)が十一日の未明離陸に抗議したことに対し、改善の姿勢を示さず、「基地がある限り未明離陸は継続する」と突き放した。同准将は「何度も抗議や要請を受けている」「抗議があるのは沖縄だけ。(未明離陸は)十年後も続くだろう」と発言、継続して実施する姿勢を示した。
発言を受け、同飛行場に隣接する自治体の首長や住民から「高飛車な発言で、軍は絶対という感覚の発言だ」と怒りの声が上がった。
三連協の抗議に初めて応対した同准将について、野国町長は「住民の実害を軽減するよう求めても、『運用上の理由や経費的な問題がある』と話がかみ合わない。むなしさを感じた」と語気を強めた。
沖縄市の東門美津子市長は「沖縄の実態を分かっていない。軍は絶対的だという感覚の発言だ」と憤る。一方で「ここで引き下がるわけにはいかない。騒音に対する抗議行動を粘り強く続けていく」と話した。
長年、未明離陸の解決に取り組んできた嘉手納町の宮城篤実町長は「現地の司令官で改善できないのは分かっている。抜本的な解決には日米両政府が真剣に取り組む必要がある」と指摘した。
同基地に隣接する嘉手納町屋良地区に住む宮城巳知子さん(81)は「終戦直後から、嘉手納(基地)は米軍の都合で運用され、住民は騒音や事件、事故の危険性と隣り合わせだった。この我慢はいつまで続くのか」。騒音が県内で最も激しい地区の一つ、北谷町砂辺地区に住む松田静造さん(78)は「爆音から逃げたくても、簡単に引っ越せない人もいる。住民の気持ちは米軍へ届いていない」と憤った。
ヘリの騒音を避け、宜野湾市から沖縄市へ移り住んだという幸地幸広さん(38)。「いったいどこへ引っ越せばいいのか。同じ人間として怒りを覚える。飛行機の真下で暮らしたら分かる」と怒りをにじませた。FA18また緊急着陸/ロケット弾残し
【嘉手納】二十一日午前十時四十分ごろ、米海兵隊岩国基地(山口県)所属のFA18戦闘攻撃機一機が嘉手納基地を離陸前に装着したロケット弾一発を残したまま、同基地に緊急着陸した。
目撃者によると、着陸後、数台の消防車が機体を取り囲み、一時騒然とした。兵器を担当する兵士が、左翼下のロケット弾装着部分を入念に点検していた。同機は着陸から約二十分後、自走して駐機場に戻った。
FA18は今月十九日にも、別の機体がロケット弾一発を残し、嘉手納基地に緊急着陸した。
↓こっちは、キャンプ・ハンセンの米軍都市型戦闘訓練施設の移転で、射撃距離を現在の2倍にする基地強化がはかられようとしているというニュース。
射撃距離2倍400メートル ハンセンの都市型施設(琉球新報)
伊芸区「住民意向どうなる」 射撃場建設、施設局に抗議(琉球新報)
射撃距離2倍400メートル ハンセンの都市型施設
[琉球新報 2007/9/12 16:02]米軍キャンプ・ハンセン内のレンジ(射撃場)4からレンジ16付近に移設される米陸軍都市型戦闘訓練施設の建設について、既存の施設で約200メートルあるライフル射撃塔から射撃用建物までの実弾射撃距離を、新施設では延伸する方向で日米両政府が調整している。延伸距離は複数案を検討中だが、最大で2倍の400メートルとなる可能性もある。
沖縄防衛局は「移転により地形が変化するため、新施設の配置は既存施設と同一とならない」と説明している。
ライフル実弾射撃については長距離射撃で弾がそれる恐れなどから、住民が懸念している。射撃距離の延伸については、基地機能の強化につながるとの声も上がりそうだ。
現在の都市型戦闘訓練施設は2005年7月から訓練が開始されたが、地元の強い反対を受けて同年9月に日米がレンジ4からレンジ16への移転を合意。既存施設は今後、実弾を使用せずに使用されるとしている。
伊芸区「住民意向どうなる」 射撃場建設、施設局に抗議
[琉球新報 2007/8/30 9:37]金武町の米軍キャンプ・ハンセン内のレンジ3付近に米陸軍のライフル射撃場が建設される問題で、伊芸区の池原政文区長らは29日午前、那覇防衛施設局を訪れ、射撃場の建設に抗議し、即時中止を求めた。
那覇防衛施設局の岡田康弘施設部長は「これからも住民の負担軽減に努めたいが、今回の施設に関しては米側からどうしても必要な施設だと聞いている」と述べ、建設中止には応じられない考えを示した。
池原区長は「必要な軍事施設なら、借りた小さな土地に何でも造っていいのか。住民の意向はどうなるのか」と追及した。「これ以上の軍事施設建設に断固反対し、満身の怒りを込めて抗議する」と述べた。
抗議には登川松栄伊芸区行政委員会議長ら、住民11人が参加した。
池原区長らは引き続き県議会に同様の要請をした。