厚生労働省が、現在「個人請負」とされているバイク便ドライバーについて、<1>時間や場所を指定され、仕事を拒否できない、<2>仕事のやり方の指揮命令を受ける、などの条件を満たす場合、労働者として労災や雇用保険の対象とすることを通達。
請負契約のバイク便ドライバーも労働者 厚労省通達(朝日新聞)
バイク便:「労働者性ある」 労災適用可能に――厚労省方針(毎日新聞)
請負契約のバイク便ドライバーも労働者 厚労省通達
[asahi.com 2007年09月28日]バイク便会社と個人で請負契約を結んで働くバイク便ドライバーについて、厚生労働省は28日、一定の条件のもとに労働者と認める通達を全国の労働局に出した。バイク便ドライバーは労働者ではないとして労災保険が適用されない事例が相次いでいたが、労働者なら労働法令が適用され、労災保険や雇用保険の対象にもなる。厚労省はバイク便会社にも、条件を満たすドライバーに労災保険などを適用するよう指導していく。
常に交通事故の危険にさらされるバイク便ドライバーが、仕事でけがをしても労災が出ないのは問題だとして、連合東京が厚労省に労働者かどうかの判断を求めていた。
厚労省は、バイク便ドライバーの実態を調査。<1>時間・場所を拘束され、仕事の依頼を拒否できない<2>仕事のやり方の指揮命令を受ける<3>勤務場所や時間を出勤簿で管理されている<4>仕事を他の人に委託できない――などの条件に当てはまれば労働者とみなすべきだと判断した。
個人請負の問題に詳しい鎌田耕一・東洋大教授によると、90年代から、企業が社会保険料の負担などをきらい、労働契約を請負や委託に切り替える例が目立ち始めたという。「実態は労働者と同様で『偽装雇用』と言わざるを得ないケースも多く、きちんと労働法を適用する必要がある」と鎌田教授は話している。
バイク便:「労働者性ある」 労災適用可能に――厚労省方針
[毎日新聞 2007年9月28日 東京朝刊]自転車やバイクで書類などを運ぶメッセンジャー(バイク便運転者)について、厚生労働省は27日、「労働者性がある」とする見解をまとめ、全国の労働局に通達を出す方針を決めた。メッセンジャーは、会社と運送請負契約を結ぶ個人事業主として働いているケースがほとんどのため、事故にあった際に労災保険も適用されていない。企業の間では、一般事務の仕事でも個人請負契約が広がっており、今回の通達はそうした状況にも影響を及ぼしそうだ。
厚労省は、メッセンジャーについて、事務所や集合時間などがあることから(1)時間的・場所的な拘束を受け仕事の依頼を拒否できない(2)業務のやり方に指揮監督が行われている(3)勤務日、勤務時間が指定され、出勤簿で管理されている(拘束性がある)――などと認定。「労働者性がある」と判断した。
個人事業主は、土建関連の業務に多い就業形態で、技術や道具を持ち個人で仕事を請け負う働き方で、仕事の進め方の判断などを個人の裁量で行う。労災は適用されず、共済組合をつくるなどして事故などに対応している。【東海林智】