民主・小沢代表、アフガンISAF参加を表明

民主党の小沢代表が、民主党政権が誕生したら、自衛隊をアフガニスタンのISAF(国際治安支援部隊)に参加させるとの見解を表明。

しかし、ISAFの実態は、「伝統的なPKOと異なり、治安が悪化している南部では、ほとんど戦闘活動を行っている」(「毎日新聞」8月16日付)と言われています。ですから、もし自衛隊が派遣されれば、アフガニスタンで戦闘活動に直接くわわることになるのは確実です。

そもそも民主党は、憲法9条を変えて、自衛隊の海外派兵をすすめるという点では、自民党と同じ立場に立っています。違いは、自民党が米軍と一緒にどこまでもというのに対して、民主党は、国連決議を条件にしているだけ。小沢代表の見解は、民主党の危険な実態をあらためて示したものと言えます。

民主・小沢氏、アフガン治安維持で「ISAF参加を」(読売新聞)

そもそも、国連決議があったからといって、それに参加するかしないかは、各国が自主的に決定すべきもの。ISAFについても、それが本当にアフガニスタンの安定に役だっているのかどうか、アフガニスタンの復興に貢献するのにISAFに参加するのが一番よいのかどうか、そうしたことを日本が自主的に判断しなければダメなのです。

民主・小沢氏、アフガン治安維持で「ISAF参加を」
[2007年10月3日12時51分 読売新聞]

 民主党の小沢代表が5日付の党機関誌で、インド洋での海上自衛隊の給油活動に関連し、「国連の決議によってオーソライズされたISAF(国際治安支援部隊)は憲法に抵触しないので、政権を担い、外交・安保政策を決定する立場になれば、参加を実現したい」と語っていることが3日、わかった。
 小沢氏は、この中で、テロとの戦いに関する国際貢献について「積極的に参加すべきだ。国連の平和活動に積極的に参加することは、たとえ結果的に武力の行使を含むものであっても、むしろ憲法の理念に合致する」と指摘している。
 ISAFは、アフガニスタンのカブールとその周辺地域の治安維持を目的に、2001年12月の国連安保理決議に基づいて発足した多国籍部隊。06年10月から北大西洋条約機構(NATO)の指揮下でアフガン全土の治安維持指揮を担当している。

追記:

民主党メルマガ第322号に、この小沢代表へのQ&A式のインタビューが載っていました。

■代表が語る
<小沢一郎代表 テロとの戦い 疑問に答える>
民主党はなぜ自衛隊の給油活動継続に反対なのか

「民生支援こそ」「銃剣をもって人を治めることはできません」

Q そもそもテロ特別措置法とは何なのでしょうか。

A 「平成13年9月11日のアメリカ合衆国において発生したテロリストによる攻撃等に対応して行われる国際連合憲章の目的達成のための諸外国の活動に対して我が国が実施する措置及び関連する国際連合決議等に基づく人道的措置に関する特別措置法」。それが、法律の正式名称です。よくお読み下さい。「テロリストによる攻撃等に対応」として、6年間もアフガニスタンに対して、主に武力による鎮圧を行ってきましたが、それで何が変わったのでしょうか。アフガンに和平は訪れたのでしょうか。根本的に対応を考え直すべきときです。

現状の給油活動は憲法違反

Q なぜテロ特別措置法の延長に反対なのですか。

A ことの始まりは、2001年の9・11テロに対して米国が「自衛の戦争」と宣言してアフガニスタン政府(当時はタリバン政権)を武力攻撃したことです。米国の自衛権の行使に、日本が参加することは、集団的自衛権の行使をほぼ無制限に認めない限り、憲法上できません。ところが、日本国憲法は集団的自衛権を認めていないというのが、政府の解釈です。当時の小泉首相は、「国際常識論」、「憲法の隙間論」を振りかざして、憲法論議を封殺して、強引に特措法を制定したのです。無原則に軍を海外に派遣することほど危険なことはありません。しかも、その後、2年、1年、1年と延長を続けてきました。法制定当時、民主党は、自衛隊の派遣計画について国会の事前承認が必要だと主張し、党首会談も行いましたが、事前承認は受け入れられず反対しました。その後の特措法の延長にも反対してきました。
 憲法第9条は、国権の発動たる武力の行使を禁じています。国際紛争を解決する手段として、武力の行使を認めていません。私は、日本が自衛権の行使、つまり武力の行使ができるのは、我が国が直接攻撃を受けた場合、あるいは我が国周辺の事態で放置すれば日本が攻撃を受ける恐れがある場合に限る、と解釈しています。
 さらに、米国であれ他のどの国であれ、その国の自衛権の行使に日本が軍、自衛隊を派遣することは憲法上できないと解釈しています。だから、特措法延長には反対なのです。

Q 政府は海上自衛隊の給油活動は、集団的自衛権の行使ではないと言っていますが。

A 全くの詭弁です。後方支援であって、戦闘行為ではないというのがその理由ですが、後方支援、兵站線は、戦争の行方を決する最大の要素です。後方支援は武力の行使と一体というのが世界の常識なのです。

Q インド洋での自衛隊の給油活動は、外国からも感謝されているのでは。

A この9月19日の国連決議で「謝意」が盛り込まれたことについて、政府・与党は「自衛隊の活動が国連からお墨付きをもらった」と喧伝していますが、この決議はアフガンのISAF(国際治安支援部隊)延長のために採択されたものです。日本の活動を評価したものではありません。実際、決議文には、給油活動の文字もなければ、日本の文字もありません。NATOのリーダーシップ、ISAF、海上阻止行動、不朽の自由作戦(OEF)連合への数多くの国々の貢献について謝意を表しているだけです。

 日本の給油活動については、ほかならぬ米国の中東海軍副司令官が「日本が提供できなくなったとしたら、その損害は大きいかもしれないが、我々で何とか対応できる」(毎日新聞、9月20日付)と言っています。

国連の平和活動に積極参加

Q では、テロとの戦いで国際貢献、協力をやめるのですか。

A そんなことはありません。むしろ、積極的に参加すべきだと考えています。
 その際の原則をきちんとしようと言っているのです。国連の決議によってオーソライズされたもの、アフガンで言えば、ISAFは憲法に抵触しないので、政権を担い、外交・安保政策を決定する立場になれば、参加を実現したいと考えています。国連の平和活動に積極的に参加することは、たとえ結果的に武力の行使を含むものであっても憲法に抵触しない、むしろ憲法の理念に合致すると考えています。日本が参加するテロとの戦いの枠組みを、米軍中心の活動から国連活動に転換しよう、ということです。
 国連活動への参加と同時に、テロを根本的になくすために、テロの原因を取り除く民生支援を全面的に展開すべきだと考えています。つまり、貧困を克服し、生活を安定させることです。銃剣をもって人を治めることはできません。これこそが迂遠なようでも、テロとの本当の戦いだと確信しています。

※このインタビューは、民主党メルマガによれば「「プレス民主」2007年10月5日号より転載」となっています。

↑このなかで、小沢氏は、国連の平和活動であれば「結果的に武力の行使を含むものであっても憲法に抵触しない」と言っていますが、これは詭弁です。

国連決議に基づく国連PKO活動であっても、それに参加するかしないか、どのような形で参加するかは、各国が決めること。したがって、日本が派遣した自衛隊が武力行使に及べば、たとえそれがPKO部隊の一員としての武力行使であっても、やはり日本国家の主権的行為として武力行使を含むPKOに自衛隊という軍隊を派遣したのであり、「国権の発動」であることに変わりないと思います。

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