偽装請負に対する指導、告発が絶えません。この間、ニュースで流れたものをピックアップしてみました。
労災死亡事故で偽装請負が発覚 TOTO滋賀工場(朝日新聞)
NTTコムウェア西に立ち入り 偽装請負で大阪労働局(朝日新聞)
労災死亡事故で偽装請負が発覚 TOTO滋賀工場
[asahi.com 2007年09月20日]衛生陶器最大手「TOTO」(本社・北九州市)の滋賀工場(滋賀県湖南市)で5月、業務請負会社の男性社員(39)が機械に頭を挟まれ死亡した労災事故を調べていた東近江労基署は20日、この男性を含む7人がTOTO側から直接指揮命令を受けており、「偽装請負」の状態だったとして、同社に改善を求めたことを明らかにした。
同労基署によると、死亡した男性は同県湖南市の業務請負会社の社員で、93年から同工場で働き、業務全般についてTOTO側から直接指示を受けていたという。同社は20日、「労基署から指摘を受けた点について適正化を進めており、是正に努める」との談話を出した。
同労基署は同日、安全管理を怠ったとして、同社と現場責任者(34)を労働安全衛生法違反の疑いで大津地検に書類送検した。
NTTコムウェア西に立ち入り 偽装請負で大阪労働局
[asahi.com 2007年09月19日]NTTグループの情報通信ソフトウエア開発・運用会社「NTTコムウェア西日本」(大阪市)がグループ内の総合人材派遣会社「テルウェル西日本」(同)に委託した業務をめぐり、コム社が委託先の労働者を直接指揮監督する偽装請負をしていたとして、大阪労働局が2社を立ち入り調査していたことがわかった。労働者は、別の人材派遣会社からテル社を通じて派遣されていた二重派遣の疑いもあり、同労働局は、労働者派遣法と職業安定法に違反するとして近く2社に是正指導をする方針だ。
関係者によると、コム社は95年から法人顧客の電話料金のコンピューターシステムなどについての管理業務をテル社に委託。テル社はオペレーター12人を別の人材派遣会社3社から派遣を受けてコム社で勤務させていた。
テル社は管理者を1人置いているが常駐しておらず、オペレーターはモニター監視や異常時の修復作業についてコム社の指揮命令下にあったという。
大阪労働局によると、委託契約なのに、委託元が指揮命令して働かせることは偽装請負となり、労働者派遣法に違反する。また、事実上指揮命令関係にある労働者を別の会社に派遣することは二重派遣になり、職業安定法に違反するという。
コム社は「指示はテル社にしており、オペレーターへ直接していない」と偽装請負などを否定。一方、テル社は「コム社が指示することもあった。指導があれば従いたい」としている。
↓これは事件の報道ではありませんが、九州・沖縄全体では偽装請負の是正指導が前年度の2.05倍になったと報じられています。
「偽装請負」21社を是正指導 06年度県内
[熊本日日新聞 2007年10月1日 06:33]県内で2006年度、実態は労働者派遣なのに請負契約と偽る違法な「偽装請負」が発覚し、是正指導を受けた事業所が21社あったことが、熊本労働局のまとめで分かった。前年度の43社に比べると半減したものの、同局が定期監督などで調べた98社のうち、およそ5社に1社と高い割合を占めた。
同局を含む九州・沖縄の八労働局が是正指導した事業所は合計314社と、前年度の2.05倍に上った。各労働局は10月1日から1カ月間、「九州・沖縄ブロック派遣・業務請負適正化キャンペーン」を展開。熊本労働局でも、発注者や派遣先事業主などを対象にしたセミナーを22日午後1時半から上益城郡益城町のグランメッセ熊本で開くほか、製造業を中心に指導・監督を強化する。
請負は本来、請負業者が発注者のメーカーと業務請負契約を結び、独立して商品を生産する。これに対し偽装請負は、メーカーの工場などに送り込まれた労働者が現場の指揮命令下で作業に従事する仕組みで、労働者派遣法や職業安定法に抵触する。
派遣ではなく請負を装うことで、発注者は労働者に対する使用者責任や安全管理義務などを回避。さらに派遣法は、派遣期間を原則一年(製造業は最長3年)に制限し、それを超える場合は労働者の直接雇用を義務付けているため、偽装請負により人件費削減を狙うケースが発生している。
厚生労働省は今年六月、請負事業主と発注者向けのガイドラインと自主点検票(チェックシート)を作成。請負と労働者派遣を明確に区分するなど、コンプライアンス(法令順守)の徹底を呼び掛けている。
熊本労働局需給調整事業室は「偽装請負は、労災事故が発生した場合、使用者責任があいまいになるなどの問題がある。今年3月から製造業への派遣が最長3年まで可能になったこともあり、さらに法の周知・啓発を強めたい」としている。(森紀子)