金大中事件、再調査ためらう日本政府

1973年の金大中事件について、韓国政府の「過去事件の真相究明委員会」が調査報告書を公表。委員長の安炳旭は、記者会見で、日本政府が再調査に圧力をかけていたことを批判。

事件は韓国のKCIAによる日本の主権侵害行為。本来なら、日本は、事件の真相解明を望んで当然なはず。それを嫌がるのは、2度にわたって「政治決着」と称して、主権侵害をうやむやにしてきたから。あらためて日本政府の姿勢と責任が問われる。

金大中事件 日本側、調査中止要請か 究明委員長「間接に圧力」(東京新聞)
再調査に日本側が難色と究明委=金大中事件報告書?韓国(時事通信)
金大中事件 日本も再調査を(NHKニュース)

金大中事件 日本側、調査中止要請か 究明委員長「間接に圧力」
[東京新聞 2007年10月26日 夕刊]

 【ソウル=中村清】1973年に韓国の野党指導者だった金大中(キム・デジュン)前大統領が拉致された金大中事件の調査報告書をまとめた韓国政府の「過去事件の真相究明委員会」の安炳旭(アン・ビョンウク)委員長は26日、ソウルで記者会見し、日本側から調査を中断するよう間接的に圧力をかけられたとの認識を明らかにした。
 同事件をめぐっては73年と75年の2回にわたり日韓両政府が政治決着を図り、事件の捜査を幕引きした経緯がある。
 安委員長は「調査開始前は日本政府の協力を期待したが、日本は『調査結果を公表すれば捜査を再開するしかない』などと間接的に意思表示してきた」と述べ、日本側が圧力をかけたために調査の終了が遅れた、との見方を示した。
 日本への謝罪の必要性について、安委員長は「韓国政府が考えるべきこと」とした上で「日本政府は事件当時、韓国政府の介入を十分に理解しながら外交的に決着させた」と日本側の責任も指摘。
 調査内容を日本の捜査当局に提供するかどうかについては「私たちの調査に日本が協力をしなかったということは考慮をしなければならない」と消極姿勢を示した。

再調査に日本側が難色と究明委=金大中事件報告書?韓国
[時事通信 2007/10/26-12:51]

 【ソウル26日時事】1973年の「金大中事件」などの調査報告書を公表した韓国国家情報院の過去事件真実究明委員会は26日、記者会見し、同委員会による金大中事件の再調査に日本政府が難色を示したため、同事件の報告公表が遅れたと主張した。
 同委員会の安炳旭委員長は「(韓国側が)再調査すれば日本政府も調査しなければならないということだった。こうしたことが結果的に金大中事件の発表が遅れる要因となった」と強調した。またある委員は同事件をめぐる日韓政府の政治決着を「密室の野合」と主張し、日本側にも責任があるとの批判を展開した。

金大中事件 日本も再調査を
[NHKニュース 10月26日 20時38分]

 34年前、韓国のキム・デジュン氏が東京で拉致された「金大中事件」について、韓国政府の事件への関与を初めて公式に認めた調査委員会は26日、日本政府も、事件の真相を究明するための再調査に乗り出すべきだという考えを示しました。
 金大中事件は、韓国の前の大統領キム・デジュン氏が民主化運動の指導者だった34年前、東京のホテルから拉致されたものです。韓国のノ・ムヒョン政権が設置した調査委員会は、韓国政府の事件への関与を初めて公式に認める報告書を24日に発表したのに続いて、26日に記者会見を行いました。この中で、アン・ビョンウク委員長は「日本側から、調査を中断したほうがよいという意向が何度か間接的に伝えられ、調査結果の公表が遅れる要因になった」と述べ、日本政府の対応を批判しました。そのうえで、「日本は、この事件について再調査することが必要だ。あえて韓国政府から資料の提供を受けなくても十分できる」と指摘し、日本政府も、事件の真相を究明するための再調査に乗り出すべきだという考えを示しました。
 一方、アン委員長は、事件にかかわった当時の駐日大使館の1等書記官ら2人から「政府の指示だったとはいえ、キム・デジュン氏に危害を加えたことを謝罪する」という内容のキム・デジュン氏あての謝罪文を受け取ったことを明らかにしました。

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