さらに、まだまだ続くサブプライム問題

サブプライム問題は落ち着くどころか、次々と巨額な損失を計上する企業が現われています。FRB議長は、損失は全体で1500億ドル(約17兆円)にのぼる可能性があると指摘。

米証券大手のモルガン・スタンレーが37億ドル(約4200億円)の損失を計上。独保険最大手のアリアンツは約940億円。日本のあいおい損保は252億円。ベルギー・オランダ系の金融大手フォルティスは1億2000万ユーロ(約200億円)。米AIGは24億5000万ドル(約2800億円)。

モルガン・スタンレーも追加損失 サブプライム関連で
[asahi.com 2007年11月08日19時12分]

 米証券大手のモルガン・スタンレーは7日、米低所得者向け(サブプライム)住宅ローン関連で37億ドル(約4200億円)の追加損失が生じたと発表した。9?11月期決算で計上し、25億ドルの減益要因になる見込みという。米金融大手ではシティグループに続く追加損失の発表で、今後も大手各社に損失計上の動きが広がりそうだ。
 モルガン・スタンレーは9月に発表した6?8月期決算で、サブプライム関連の評価損約9億ドルを計上した。その後も証券化商品の買い手がつかず、時価が下落するなど市場の混乱が続いているため、10月末までの2カ月間で追加損失が発生したという。ただ、さらに損失が拡大する可能性もある。9?11月決算期の米大手証券はほかに3社ある。

独アリアンツ、傘下銀のサブプライム損失940億円・7?9月期
[NIKKEI NET 2007/11/09 21:00]

 【フランクフルト=石井一乗】独保険最大手のアリアンツは9日、傘下のドレスナー銀行が7?9月期に、米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に絡む損失を5億7500万ユーロ(約940億円)計上したと発表した。同銀行は同期で最終赤字に転落した。ただアリアンツグループ全体では生命保険や資産運用事業などが伸び、純利益は19億2100万ユーロと前年同期比で21%増益だった。
 ドレスナー銀行は保有していた資産担保証券(ABS)やファンド向け融資などの資産価値の目減りに対応して評価額を引き下げた。市場取引部門も2億ユーロ近い損失を計上した。この結果、同行の営業利益は78%減り、最終損益は前年同期の2億7800万ユーロの黒字から5200万ユーロの赤字に転落した。

評価損252億円を計上=あいおい、サブプライムで
[MSN産経ニュース 2007.11.9 20:39]

 あいおい損害保険は9日、平成19年9月中間連結決算で、米国の信用力が低い個人向け住宅ローン(サブプライムローン)を含む金融商品の評価損252億円を計上したと発表した。ただ、資産運用が全体的に好調だったことなどから、中間決算の純利益見通しは上方修正した。
 あいおい損保によると、9月末時点のサブプライムローン関連の投資残高は1154億円で、市場の急激な変化を受け、損失を計上した。
 しかし、有価証券の売却益などの資産運用収益が大幅に増加したほか、自然災害による保険金の支払いが当初予想を下回ったため、19年9月中間連結決算の純利益見通しを従来の75億円から102億円に、経常利益も55億円から102億円に上方修正した。20年3月期の利益予想は修正しない。

米サブプライム損失、17兆円の可能性…FRB議長が修正
[2007年11月9日14時7分 読売新聞]

 【ワシントン=矢田俊彦】米連邦準備制度理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長は8日、米低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付きで、金融機関などの損失が1500億ドル(約17兆円)に上る可能性があるとの見方を示した。
 米上下両院の合同経済委員会の公聴会で、議員の質問に答える形で認めた。
 バーナンキ議長は7月の議会証言で、サブプライム問題での損失額を「500億?1000億ドル」と見積もっていた。米大手銀の損失が拡大していることなどを受け、見積もりを修正した。
 一方、国際通貨基金(IMF)は9月の報告書で、「最大2000億ドル」との試算を示している。

フォルティス、サブプライム絡みで1.2億ユーロ損失の可能性
[asahi.com 2007年11月09日07時45分]

 [アムステルダム 8日 ロイター] ベルギー・オランダ系の金融大手フォルティスのギルベルト・ミトラー最高財務責任者(CFO)は8日、年末まで現在の市場環境が続けば、第4・四半期にサブプライム投資関連でネットで1億2000万ユーロ(1億7600万ドル)の損失を計上する可能性がある、と明らかにした。
 メディア向けのコンファレンスコールで述べたもので、これは6億ユーロに上る「メザニン・トランシェ」と呼ばれる通常のサブプライム投資から生まれる損失だという。

米AIG、評価損2800億円計上・サブプライム
[NIKKEI NET 2007/11/09 07:01]

 【ニューヨーク=松浦肇】米保険最大手のアメリカン・インターナショナル・グループ(AIG)が7?9月期決算で、信用力が低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)に関連した投資に関連して24億5000万ドル(約2800億円)の評価損を計上していたことが明らかになった。AIGはサブプライムローンを裏づけにした証券化商品を運用していたとみられ、住宅価格の低下や金融商品の格下げを受けて損失を抱えていた。
 AIGはサブプライム関連の金融商品をまだ抱えており、長期保有を目的に運用している。このため、他の米金融機関のように損益計算書の計算段階では今回明らかになった24億ドル余りの損失は計上せず、税引き後の影響額にサブプラムローン関連損失を盛り込んだだけにとどめ、同社の純利益には反映させなかった。

情報BOX:サブプライムで影響受けた世界の主要銀行
[ロイター 2007年11月06日16時05分]

 [5日 ロイター] 米シテイグループがサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)関連で多額の評価損を追加計上せざるを得ない見通しだと表明し、チャールズ・プリンス最高経営責任者(CEO)が辞任した。

 以下はサブプライム問題で影響を受けた欧米の銀行の状況。

◎2月8日─HSBC

 サブプライムローンの影響で初めて業績見通しを警告。9月21日にはサブプライムローンを手がける米子会社、デシジョン・ワン・モーゲージの閉鎖と約8億8000万ドルの評価損を発表した。

◎4月2日─米ニュー・センチュリー・フィナンシャル

 米破産法11条の適用による債権保全を申請。米住宅市場の低迷を受けた住宅ローン会社の破たんとしては過去最大。

◎7月─ドイツ産業銀行IKBとザクセン州立銀行

 米サブプライムローンへの投資による損失を発表。独銀行業界はIKBを救済、ザクセン州立銀行はバーデン・ビュルテンベルク銀行への売却が決定。

◎8月9日─仏BNPパリバ

 22億ドル相当の3ファンドの凍結を発表。サブプライム市場の混乱でファンドの評価額が算出できないとして。

◎8月9日─オランダの投資銀行NIBC

 米資産担保証券への投資で上半期に1億3700万ユーロ(1億8860万ドル)の損失を被ったと発表。上場計画を無期限延期。

◎9月13日─英ノーザン・ロック

 預金の取り付け騒ぎ。イングランド銀行(英中央銀行)が救済に動く。

◎10月1日─UBS

 40億スイスフラン(34億2000万ドルドル)の評価損計上と経営陣の刷新を発表。第3・四半期は6億─8億スイスフランの赤字となる見込み。同社が四半期決算で赤字を計上するのは過去9年間で初めて。投資銀行部門での1500人の人員削減も発表。

◎10月1日―クレディ・スイス

 第3・四半期決算について、市場の混乱の悪影響を受けるだろうが黒字は維持するとの見通し発表。

◎10月15日―シティグループ

 第3・四半期の純利益が、前年同期の55億1000万ドルから23億8000万ドルに57%減少したと発表。

◎10月19日―ワコビア

 第3・四半期の純利益が、前年同期の18億8000万ドルから16億9000万ドルに、10%減少したと発表。クレジット市場の混乱により、13億ドルの評価損を計上したことが打撃に。

◎10月24日―メリルリンチ

 第3・四半期決算で84億ドルの評価損を計上したことで損失が過去最大に達し、市場全体の動揺を招く。損失の大半は高リスクのサブプライム関連投資が原因。

◎10月26日―カントリーワイド・フィナンシャル

 第3・四半期決算が12億ドルの損失に。サブプライム融資関連で10億ドルの評価損を計上。

◎10月29日―三菱UFJフィナンシャル・グループ

 サブプライム関連投資で最大300億円の評価損を計上すると表明。それまで発表していた額の6倍。

◎10月30日―UBS

 第3・四半期の税引き前損失が7億2600万スイスフラン(6億2480万ドル)に達したと発表。債券投資でサブプライムに絡む42億スイスフランの損失を計上。

◎11月4日―シティグループ

 第3・四半期にサブプライム関連で65億ドルの評価損に加え、さらに80?110億ドルの評価損を計上する可能性があると表明。

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