世界的な指揮者ワレリー・ゲルギエフが東京交響楽団を振るというので、参院選挙の忙しい最中にチケットを確保し、いらい首を長??くして待っていたコンサート。満員の東海道線にのって、ミューザ川崎まで行ってきました。
プログラムは、前半がモーツァルト交響曲第41番“ジュピター”、後半がベルリオーズ幻想交響曲という贅沢な組み合わせです。
前半の“ジュピター”は、12-10-8-6-4の編成。「ぐいぐい引っ張る」印象のあるゲルギエフですが、この曲はいたって端正。揺らしたり盛り上げようとあれこれするようなことなく、どちらかといえば、あっさりめの演奏。しかし、けっして軽い訳でなく、細部にまできちんと気持ちを行き届かせ、東響の弦の音がきれいに響いていたのが印象的でした。
後半の幻想交響曲は、うって変わって、ゲルギエフのエネルギー溢れる演奏でした。編成も16-14-12-10-8と、一挙に大型化。
第1楽章、第2楽章では、ゲルギエフが一生懸命躍動させようとするのに、都響がそれについて行けず、やや空回りしたところもあったように思いましたが、第4楽章あたりからだんだんと噛み合うようになってきて、第5楽章はパワー炸裂! という感じ。お客さんも大盛り上がりで、ゲルギエフは6度も呼び戻される始末。最後は、もうお終いにしましょう、というポーズをするほど。(^_^;) でも、この興奮をかかえて、会場去りがたく…という気持ちは僕も同じでした。
といっても、今回の座席が2階のLA。いちおう舞台にむかって左側の席ということなんですが、実際には、ほとんど舞台の左奥すみから前を向いているような場所でした。だから、僕の席からは、第1ヴァイオリンが右手に聞こえ、手前に第2ヴァイオリン、向こうにヴィオラ、左手にチェロ、コントラバスといういつもとは反対の並び。そのうえ、弦の手前に木管、金管がいて、いつもなら弦の音に埋没するような木管の音がよく聞こえてくるし、ホルンがその手前に陣取り、これはもうびんびん響いてきます。
そして、そのど真ん中に、ゲルギエフさんがいて、これがまた演奏中に、息を強く吐いたり、うなったり、けっこううるさい?! そんな生ゲルギエフを、落ちてくる前髪を書き上げる仕草を含め、たっぷり堪能させていただきました。m(_’_)m
演奏が終わった後、後ろの座席に座っていたご夫婦が、「定期のときと全然音が違う」と感心されていましたが、本当にゲルギエフの強烈なエネルギーが乗り移ったような東響の演奏でした。