「大連立」は支持されず、自民も民主も支持減らす

日経、産経、NHKが世論調査を発表。「大連立」については、日経、産経の世論調査で「評価しない」「反対意見」が多数。そして、一度は辞任を言い出した小沢氏が辞任を撤回したことについては、厳しい評価。「大連立」騒ぎの結果、民主党だけが支持率を減らし、「一人負け」状態。

テロ特措新法については、NHK世論調査で「どちらともいえない」40%がトップだったように、まだ“綱引き”状態が続いている。

「大連立評価せず」55%、民主支持28%に低下・日経世論調査(NIKKEI NET)
二大政党制に期待感、党首会談評価は痛み分け 世論調査から(MSN産経ニュース)
NHK調査 内閣支持率54%(NHKニュース)

「大連立評価せず」55%、民主支持28%に低下・日経世論調査
[NIKKEI NET 2007/11/12 21:31]

 日本経済新聞社が10?12日に実施した世論調査で、福田康夫首相(自民党総裁)と民主党の小沢一郎代表の党首会談で浮上した両党の「大連立構想」について「評価する」は27%にとどまり「評価しない」が55%に上った。民主の政党支持率は28%と10月末の前回調査から4ポイント低下。小沢代表の辞任騒動も影響したとみられ、自民との差が再び拡大している。
 政党支持率は自民が42%へ4ポイント上昇し、逆に民主は7月の参院選前の水準まで落ち込んだ。民主への厳しい評価は、今後の国会審議や衆院解散・総選挙の時期などを巡る与野党攻防にも影響を与えるとみられる。
 大連立抗争への立場は自民支持層では「評価する」の39%と「評価しない」の43%がほぼ拮抗(きっこう)。民主支持層では「評価しない」が71%と圧倒的だった。今後の望ましい政権の枠組みでは「自民、民主が参加する連立政権」が前回より大きく低下したものの28%で首位を維持しており、大連立抗争が党首会談で唐突に浮上した経緯への批判もあるとみられる。
 一時は辞意を表明しながら慰留を受けて続投した小沢代表の判断に関しては「辞任すべきだった」が全体の52%に達し、「続けてよかった」の33%を引き離した。民主支持層では続投派が53%と半数を超えたが、辞任派も39%と厳しい反応が目立っている。
 福田内閣の支持率は55%と前回から横ばい。不支持率は33%で2ポイント上昇した。支持率は70歳以上は68%と高いが、30歳代では43%で、不支持の49%を下回っている。支持理由は「人柄が信頼できる」38%でトップ。次いで「安定感がある」の30%。不支持理由は「自民党の内閣だから」が38%と最多で、「指導力がない」が32%で続く。
 調査は日経リサーチが全国の成人男女を対象に乱数番号(RDD)方式により電話で実施。有権者のいる1514世帯から919件の回答を得た。回答率は60.7%。

インターネットには載っていないが、「日経」では、給油活動についても調査をしている。

給油再開 賛成44%、反対37% 3回連続で支持多数
[日経新聞 2007年11月13日]

 日本経済新聞社の世論調査では、インド洋での海上自衛隊による給油活動を「再開すべきだ」とする回答が44%と「再開すべきではない」の37%を上回った。給油活動に関する質問は4回目だが、11月1日いっぱいでテロ対策特別措置法が期限切れとなり海自が活動を停止して移行では初めて。2回目で活動を支持する意見が不支持を上回った後、3回連続で支持が多数を占めた。
 「再開すべきだ」と回答したのは自民支持層の60%、民主支持層の38%で、支持政党による違いが鮮明だ。ただ、前回との比較でみると活動への支持が自民支持層で8ポイント低下する一方、民主支持層で4ポイント上昇する結果になった。同様に不支持についても自民支持層で5ポイント上昇、民主支持層で8ポイント低下した。
支持政党なしの無党派層では「再開すべきではない」が19ポイント上昇し50%となった。「再開すべきだ」は15ポイント低下の23%だった。
 8月調査でテロ特措法延長反対が50%を超えていた状況と比べると、給油活動への理解は進んだことが読み取れるが、「再開支持」はなお過半数には届いていない。世論の動きは再議決するかどうかや、野党が提出を検討する問責決議案を巡る議論にも影響を与えそうだ。

日経は「3回連続で支持多数」を強調しているが、紙面に載ったグラフを見ると、10月に比べ「支持」は低下、「不支持」は増加している。「給油活動への理解は進んだ」というより、「給油活動への理解は広がっていない」というのが正確なところ。政党支持率(「支持または好意を持つ政党」)をみると、自民党が42%と前回調査の38%から4ポイント伸ばしているけれども、その自民支持層の中で、給油活動支持が8ポイント低下したということは、自民支持は増えても給油活動支持は増えなかった、ということ。

二大政党制に期待感、党首会談評価は痛み分け 世論調査から
[MSN産経ニュース 2007.11.12 23:40]

 産経新聞社とFNNが行った合同世論調査で、自民、民主両党の「大連立」には反対意見が多数だったものの、政策協議を求める声は9割を超え「ねじれ国会」でも必要な政策は与野党が協議して進めてほしいという国民の期待を示した。一方、福田康夫首相は支持率が急落、民主党の小沢一郎代表も辞意表明、撤回でダメージを受けた格好だ。今後、首相はねじれ国会の局面打開、小沢氏は党内の態勢立て直しと、それぞれ難しい課題を背負った。
 首相と小沢氏の党首会談で「得をしたのはどちらか」との問いには首相が64.9%だったのに対し、小沢氏は12.7%にとどまった。小沢氏の辞意表明、撤回という一連の言動には3分の2以上の人が「理解できない」と回答した。ただ、首相の内閣支持率も9月26、27両日に実施された前回調査から1カ月半の間に15ポイント近くも下げ、痛み分けの結果となった。
 首相と小沢氏の比較では首相が人柄や政策などの評価で上回ったが、指導力だけは小沢氏が48.1%と、首相の35.5%をしのいだ。小沢氏の代表続投を支持する意見は不支持を上回ったが、これは小沢氏の指導力への期待と党内に他の人材が見当たらないことによるものとみられる。民主党の鳩山由紀夫幹事長も12日、「小沢氏の強いリーダーシップは衆院選で党が一体となって戦うのに不可欠だ」と語った。
 一方、首相も今後の政権運営は難しいかじ取りを迫られる。政権の進め方では「評価する」が27.1%にとどまり、「評価しない」は40.2%に上った。政権運営に関する他の6項目でも、北朝鮮問題や防衛省不祥事への対応など4項目で「評価しない」が「評価する」を上回る厳しい結果となった。
 また、ねじれ国会における政権運営については「与野党が協議を通じて歩み寄るべきだ」と「早期に衆院選を行い、民意を問うべきだ」がともに41.3%、「今のままでよい」は13.9%にすぎなかった。首相は大連立が民主党に拒否された中、政策協議でどう打開を図るか、衆院解散・総選挙の時期を含めて難しい判断が続きそうだ。当面は今国会での新テロ対策特別措置法案の取り扱いが最大の焦点となる。
 次期衆院選後の政権の枠組みでは「民主党中心の政権」が32.1%と最も多く、「自民党中心の政権」は29.7%、「自民・民主両党の大連立」は29.3%だった。これは一部に大連立を求める声がまだあるものの、多くは「二大政党による政権交代可能な政治」を望んでいることを示したものといえそうだ。

NHKの世論調査では、福田首相が「大連立」をもちかけたことについても、民主党がそれを拒否したことについても、どちらについても「評価する」「評価しない」がほぼ拮抗。唯一はっきりしているのは、小沢代表が辞意を撤回したことが「納得できない」という回答だけ。

NHK調査 内閣支持率54%
[NHKニュース 11月12日 19時23分]

 NHKが行った世論調査によりますと、福田内閣を「支持する」と答えた人は、先月より4ポイント下がって54%でした。また、福田総理大臣が民主党の小沢代表に連立政権を組むことを打診したことについては、「評価する」、「評価しない」がともに40%台後半できっ抗した形となっています。
 NHKは、今月9日から3日間、全国の20歳以上の男女を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDDという方法で世論調査を行いました。調査の対象となったのは1714人で、このうち60%にあたる1029人から回答を得ました。それによりますと、福田内閣を「支持する」と答えた人は先月より4ポイント下がって54%だったのに対し、「支持しない」と答えた人は8ポイント上がって35%でした。
 また、さきに福田総理大臣が民主党の小沢代表との党首会談で連立政権を組むことを打診したことについて、「大いに評価する」が10%、「ある程度評価する」が36%だったのに対し、「あまり評価しない」が27%、「まったく評価しない」が21%でした。一方で、民主党が連立政権を組むことを拒否したことについて、「大いに評価する」が20%、「ある程度評価する」が29%だったのに対し、「あまり評価しない」が30%、「まったく評価しない」が14%でした。そして、小沢代表が辞意を撤回したことについて、「十分納得できる」が6%、「ある程度納得できる」が24%だったのに対し、「あまり納得できない」が33%、「まったく納得できない」が32%でした。
 また、民主党の今後の国会対応について質問したところ、「政府・与党と話し合いで一致点を探るべきだ」が71%、「対決姿勢を再び強めるべきだ」が20%となりました。さらに、衆議院と参議院で多数派が異なるねじれ国会の状況をどのように打開すべきか尋ねたところ、「与党と民主党とで政策協議を進めるべきだ」が45%で最も多く、次いで「衆議院の解散・総選挙で民意を問うべきだ」が37%、「大連立構想を進めるべきだ」が9%でした。
 そして、国会の最大の焦点となっている新テロ対策特別措置法案については、「賛成」が31%、「反対」が24%、「どちらともいえない」が40%でした。さらに、新テロ対策特別措置法案が参議院で否決された場合、与党が衆議院で3分の2以上の賛成で再可決して法案を成立させることについて、「適切だ」が18%、「どちらかといえば適切だ」が26%だったのに対し、「どちらかといえば適切でない」が25%、「適切でない」が20%でした。
 また、衆議院の解散・総選挙の時期については、「平成20年度予算案が成立したあと、来年春ごろには行うべきだ」が26%で最も多く、次いで「来年の早い時期に行うべきだ」が19%、「再来年の任期満了まで行う必要はない」が17%などとなりました。

こっち↓は、小沢辞任表明前のものですが、「朝日」11月5日付に載った世論調査

連立提案「評価せぬ」48% 本社世論調査
[asahi.com 2007年11月05日02時09分]

 朝日新聞社が3、4の両日実施した全国世論調査(電話)によると、福田首相が民主党の小沢代表との党首会談で、連立政権に向けた協議を提案したことを「評価する」人は36%、「評価しない」人は48%だった。一方、民主党がこの提案を受け入れなかったことを「評価する」は53%、「評価しない」は29%と対照的な結果になった。自民党と民主党の2大政党の連立については否定的な世論がうかがえる。
 連立の提案について、自民、公明両支持層は「評価する」が50%を超え、比較的好意的なのに対し、民主、共産、社民の各支持層は10?20%台にとどまる。逆に民主党が受け入れなかったことについては、「評価する」が民主支持層で78%に達したが、自民支持層は34%と低かった。
 インド洋で米軍の艦隊などを支援した自衛隊の活動が特別措置法の期限切れで停止した問題で、活動の再開が必要かどうかを聞くと、「必要だ」が43%、「必要ではない」が41%と拮抗(きっこう)した。活動停止前の10月13、14日の前回調査では、活動の継続を目指す政府の方針に「賛成」39%、「反対」44%で、反対がやや多かった。
 新しい補給支援特措法案への「賛成」は35%、「反対」は43%。法案が国会に提出される直前の前回調査(賛成28%、反対48%)と比べて賛成が少し増えたものの、なお反対が上回る。自衛隊の活動再開が「必要」という人でも「賛成」は62%で、活動内容について国会承認を必要としないなど、法案自体には懸念があるとみられる。
 自衛隊の活動停止で日本の国際的立場に「悪い影響がある」と思う人は50%と多数で「そうは思わない」は37%だった。
 福田内閣の支持率は45%(前回47%)、不支持率は34%(同30%)で大きな変化はなかった。政党支持率は自民31%(同32%)、民主24%(同24%)などだった。

 《調査方法》 3、4の両日、全国の有権者を対象にコンピューターで無作為に電話番号を作る「朝日RDD」方式で調査した。対象者の選び方は無作為3段抽出法。有効回答は2088人、回答率は59%。

さらに、11月5、6日に共同通信が実施した世論調査(「中国新聞」から)

大連立望ましくない56% 緊急電話世論調査
[中国新聞 2007/11/6]

 福田康夫首相(自民党総裁)と民主党の小沢一郎代表の党首会談で「大連立構想」が持ち上がったことなどに関し、共同通信社は5、6両日に全国緊急電話世論調査を実施した。首相が小沢氏に提案した自民・民主両党の連立政権構想について、「望ましくない」が56.4%を占め、「望ましい」の25.8%を大きく上回った。
 民主党が連立提案を拒否したことに関しても、「受け入れなくてよかった」が55.9%と半数を超え、世論は連立構想に否定的なことが明らかになった。「よくなかった」は23.5%だった。
 福田内閣の支持率は10月27、28両日の前回調査に比べ3.2ポイント減の47.0%に低下。「支持しない」は7.0ポイント増え36.6%。男女別にみると男性は「不支持」が45.2%と「支持」の41.0%を抑えた。
 小沢氏が代表辞任を表明したことは「適切ではなかった」が58.4%で、「適切だった」は30.5%にとどまった。
 前回調査では「民主党中心」が多かった政権像は「自民党中心」が40.7%と、「民主党中心」の35.5%を5.2ポイント上回り、再び逆転した。
 インド洋での海上自衛隊の給油活動については「再開すべきだ」が46.1%ある一方で、「再開すべきでない」も43.9%と、二分された。
 次期衆院選の実施時期は「来年前半までに」が45.5%。「来年後半までに」20.6%、「再来年」12.1%、「年内」11.0%だった。
 各党支持率は、自民党が38.2%と前回より2.7ポイント増えたのに対し、民主党は27.5%と3.6ポイント低下。連立構想をめぐる党内の混乱で支持が離れたとみられる。公明党は3.6%(前回比0.5ポイント増)、共産党3.3%(0.9ポイント増)、社民党1.9%(0.1ポイント減)、国民新党0.4%(0.4ポイント減)、新党日本0.1%(0.3ポイント減)。支持政党なしは23.5%(0.4ポイント減)。
 小沢氏が代表を辞任した場合、誰が次の代表にふさわしいか聞くと、最も多かったのは菅直人代表代行(26.2%)で、岡田克也副代表(18.1%)が次ぎ、鳩山由紀夫幹事長(17.3%)は三位。続いて前原誠司副代表(9.6%)、野田佳彦広報委員長(1.6%)、枝野幸男元政調会長(0.9%)の順。

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