以前紹介した大杉一雄氏の『日中十五年戦争史』(中公新書、1996年刊)が、『日中戦争への道――満蒙華北問題と衝突への分岐点』と改題して、講談社学術文庫から新刊されました。
文庫本化にあたって、小見出しがふやされているほか、あらたに「学術文庫版へのあとがき」が付され、親本刊行後のこの分野の研究成果について書かれています。そのなかでは、ここでも取り上げた加藤陽子『満州事変から日中戦争へ』(岩波新書、日本近現代史シリーズ<3>)にふれ、かなり詳しく論及されています。対象とする時代やテーマの取り上げ方が似通っているだけに、大杉氏の考え方がよく分かるし、加藤陽子氏の本についてもかなりつっこんだ書評になっていて、これだけ読んでもなかなか面白いものがあります。
目次
I 満州事変とは何であったのか
1、ポスト満州事変
2、満蒙問題とその「解決」
3、満蒙問題の総括
4、石原莞爾批判
II 日中戦争への道
1、戦争前史<1935年>
2、戦争前史<1936年>
3、戦争前史<1937年>
III 日中戦争の拡大は防げなかったか
1、日中戦争の勃発と拡大
2、人々はどのように戦争をみたか
【書誌情報】
著者:大杉一雄(おおすぎ・かずお)/書名:日中戦争への道――満蒙華北問題と衝突への分岐点/出版社:講談社(学術文庫1846)/発行:2007年11月10日/定価:本体1250円(税別)/ISBN978-4-06-159846-1