サブプライム・ローン問題、日本への影響も段々と明らかになってきた。
住友信託銀、サブプライム損失190億円…3月期見通し(読売新聞)
イーバンク銀、サブプライム損失18億円(朝日新聞)
サブプライム 見通し甘く(読売新聞)
住友信託銀、サブプライム損失190億円…3月期見通し
[2007年11月15日22時44分 読売新聞]住友信託銀行は15日発表した2007年9月中間連結決算で、米低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」関連損失が90億円にのぼり、08年3月期通期では190億円に達するとの見通しを明らかにした。
インターネット専業銀行、イーバンク銀行も同日、07年9月中間期に18億円のサブプライム関連損失を計上し、税引き後利益が52億円の赤字になった。
サブプライム関連損失の拡大によって、住友信託の07年9月中間期の税引き後利益は前年同期比41.0%減の377億円と大幅な減益となった。08年3月期の税引き後利益も5月時点で予想した1200億円から900億円に引き下げた。
住友信託の森田豊社長は「証券化商品の評価損は広がってきているが、リスク管理の高度化で取り組む」と強調した。
イーバンク銀、サブプライム損失18億円
[asahi.com 2007年11月15日19時40分]ネット専業銀行のイーバンク銀行が15日発表した9月中間決算は、当期損失が53億円で、中間期として2期連続の赤字となった。米国の低所得者向け(サブプライム)住宅ローン関連の証券化商品の損失が18億円出るなど、運用面などの損失拡大が響いた。
サブプライム関連の証券化商品の保有残高は39億円。経営の健全度を示す自己資本比率は9.87%(前年同期は旧基準で16.19%)になった。同日会見した松尾泰一社長は「筆頭株主の日本政策投資銀行と協力して、運用管理態勢の見直しを図りたい」と述べた。
サブプライム 見通し甘く
[2007年11月15日 読売新聞]みずほ1000億円下方修正――邦銀への影響じわり
米国の低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き問題の影響が、日本の金融機関にもじわりと広がっている。みずほフィナンシャルグループ(FG)が14日、2008年3月期決算の連結税引き後利益を1000億円下方修正するなど、邦銀も「影響はほとんどない」という見通しの修正を迫られてきた。国内金融機関のサブプライム関連の損失計上額は、判明しただけで3000億円を超えた。金融市場の混乱は続いており、損失はさらに拡大する恐れがある。(是枝智、森田将孝)
■あきらめ顔
みずほFGが14日発表した9月中間連結決算は、本業のもうけを示す業務純益が前年同期比5.4%増の4142億円と好調だったが、サブプライム関連の損失が計約700億円出たことなどから、税引き後利益は16.6%減の3270億円にとどまった。08年3月期では、傘下のみずほ証券の損失が、他の証券化商品の分も含めさらに1000億円程度増えると想定している。
10月に渡米し、米銀関係者らと意見交換したみずほFGの前田晃伸社長は記者会見で、「米銀トップからもこれだけ市場が悪くなるとは感じられなかった。余波がストレートに来た」と甘い見通しを悔やんだ。
あおぞら銀行も14日、08年3月期決算の業績予想について、連結税引き後利益を当初見込みの845億円から626億円に下方修正した。能見公一会長は「下期も40-60億円の追加損失を見込んでいる。収束には時間を要するだろう」とあきらめ顔だ。
損失が予想以上に増えた最大の理由は「(サブプライム関連商品の)市場がクラッシュ(崩壊)した」(前田みずほ社長)ことだ。
サブプライムローン関連の国内金融機関の損失計上額(9月中間期) 金融機関名 損失計上額 野村ホールディングス 1456 みずほフィナンシャルグループ 約700 あおぞら銀行 58 新生銀行 約190 南都銀行 14 宮崎銀行 14 滝野川信用金庫 73 三井住友フィナンシャルグループ※ 320 三菱UFJフィナンシャルグループ※ 50 住友信託銀行※ 90 あいおい損害保険※ 252 (注)※は中間決算に計上予定。野村は1-9月の合計。単位は億円
■機能停止
邦銀は格付けの高い商品を中心に投資してきたが、高格付けのものであっても格下げが相次いだ。相対取引であるサブプライム関連商品の市場では、ほとんど買い手がつかなくなり、価格が暴落した。前田社長は「最大の反省は、流動性(取引)がなくなるリスクを常に考えなければいけなかったことだ」と振り返る。
新生銀行も9月中間決算の関連損失が約190億円に増え、連結税引き後利益は前年同期比40.3%減の231億円にとどまった。三井住友フィナンシャルグループも9月中間期に約320億円の損失計上を迫られる。さらに“被害”は、地方銀行や信用金庫の一部、あいおい損害保険にまで波及している。■拡大懸念
海外では、米シティグループが2兆円近い損失を計上する見通しとなるなど、有力な欧米銀行・証券会社が相次いで巨額損失を計上している。米国の大手銀行と証券の計9社で、これまでに判明した損失額は4兆5000億円を超えている。
欧米の金融機関に比べれば、日本の銀行や証券会社への影響はまだ小さいといえる。日本銀行の福井俊彦総裁は13日の記者会見で、「日本の金融システム全体として不安を考える必要はない」との考えを示した。
しかし、市場の混乱は続いており、価格が想定以上に下がらないとの保証はない。9月中間決算では約50億円の損失計上にとどまる三菱UFJフィナンシャル・グループも、9月末で200億円程度の含み損を抱える。現在の含み損はさらに増えているとみられ、拡大懸念はくすぶっている。