軍需産業と国会議員とが密接に結びつく舞台ともなっている安全保障議員協議会。その役員名簿が明らかになった。共産党の「しんぶん赤旗」が入手した名簿を公表したのだ。
安全保障議員協議会は、守屋元防衛事務次官とも密接に結びついている秋山直紀氏が事務局長を勤める団体で、日米の軍需産業、国防族の議員たちが一堂に会する日米安全保障戦略会議の主催団体の1つ。いちおうホームページもあるのだが、「役員構成」のリンクは「工事中」となっていて、誰が役員をやっているかは部分的にしか分からなかった。
軍需産業と結びつく国防族 安保議員協の全役員判明/自・公・民など23議員 久間・額賀氏が主導(しんぶん赤旗)
軍需産業と結びつく国防族 安保議員協の全役員判明
自・公・民など23議員 久間・額賀氏が主導
[2007年11月19日 しんぶん赤旗]日米の軍需産業界と連携する超党派の国防族議員集団・安全保障議員協議会(会長・瓦力元防衛庁長官)の全役員メンバーが18日までに判明しました。
安保議員協は、2003年から日米軍需産業の支援をうけて、日米同盟が要請する軍事戦略の議論と新型兵器の説明・展示・商談を同時並行で行う日米安保戦略会議(年2回日米で相互開催)を主催し、国防族議員と軍需産業の接点となってきました。
安保議員協は1999年設立。「ガイドライン(日米軍事協力指針)新法案も本国会で成立し日米安全保障関係については、さらなる信頼関係をふかめていかなければなりません」(設立趣意)と、新段階の日米軍事同盟に対応する活動を展開する目的をかかげました。設立時のメンバーは15議員。自民、公明、民主、自由(当時)各党議員がならびました。
今年2月26日に開催の安保議員協の今年度第1回定例会合で示された役員名簿(別表)によると、現在の役員メンバーは23人。
顔ぶれをみると石破茂防衛相ほか防衛相(防衛庁長官)経験者が7人、防衛副大臣(副長官)経験者4人。民主党は前原誠司前代表、松本剛明前政調会長ら党首脳クラス、公明党は歴代安保部会長クラス、といった各党の国防族有力議員が加わっています。
設立時から継続しているメンバーは、瓦会長のほか久間章生元防衛相、額賀福志郎財務相(元防衛庁長官)と、公明党の赤松正雄、佐藤茂樹両衆院議員です。今年2月の会合で額賀氏が事務総長から副会長となり、後任の事務総長に佐藤氏がつきました。
福田康夫首相は2月の会合で退会が確認されるまで理事メンバーでした。民主党の岡田克也元代表も発足当初の一時期、理事でした。
議員協の事務局を担当するのは秋山直紀氏。15日の参院外交防衛委で証人喚問された守屋武昌前防衛事務次官が、久間元防衛相、元山田洋行専務の宮崎元伸容疑者との宴会に同席したと証言した人物です。
安保議員協について自民党幹事長経験者は「発足以来の副会長の久間元防衛相と事務総長だった額賀財務相が主導する団体だ」と指摘します。
安保議員協の主要メンバーは、日米安保戦略会議を共催する社団法人・日米平和・文化交流協会の理事を兼務。一方、同協会理事には三菱重工や山田洋行などの軍需企業首脳やコーエン元米国防長官なども就任しており、日米間の国防族と軍需産業の人脈が重なり合っています。
安保議員協の最近の活動では、来日した軍用機メーカーの米ボーイング社幹部との朝食会を10月10日に東京・帝国ホテルで開いています。6月は「ミサイル防衛関連説明会」など米兵器メーカーとの会合が頻繁に行われています。また安保議員協メンバーには米国軍事関連情報が和訳されて提供されています。
安全保障議員協議会役員メンバー 名誉顧問 綿貫 民輔 国 (元自民党幹事長) 会長 瓦 力 自 (元防衛庁長官) 副会長 久間 章生 自 (元防衛相) 額賀福志郎 自 (現財務相・元防衛庁長官) 常任理事 玉沢徳一郎 自 (元防衛庁長官) 斉藤斗志二 自 (元防衛庁長官) 石破 茂 自 (現防衛相) 井上 喜一 自 (元危機管理担当相) 武部 勤 自 (元党幹事長) 中谷 元 自 (元防衛庁長官) 赤松 正雄 公 (元党安保部会長) 前原 誠司 民 (前党代表) 事務総長 佐藤 茂樹 公 (党外交安保調査会事務局長) 理事 浜田 靖一 自 (元防衛庁副長官) 田端 正広 公 (党安全保障副部会長) 遠藤 乙彦 公 (元党外交安保部会長代理) 末松 義規 民 (元衆院テロ特別委筆頭理事) 今津 寛 自 (元防衛庁副長官) 木村 太郎 自 (元防衛庁副長官) 木村 隆秀 自 (前防衛副大臣) 松本 剛明 民 (前党政調会長) 後藤田正純 自 (元内閣府大臣政務官) 西銘恒三郎 自 (党安保関係団体副委員長) (2007年2月26日 安全保障議員協議会平成19年度第1回定例会で確認)
自は自民党、民は民主党、公は公明党、国は国民新党
この名簿を、日米平和・文化交流協会の役員名簿と比べてみると、国会議員関係はほとんど重なっていることが分かる。