名前を変えたからと言って、負担が軽くなる訳ではない

自民党の財政改革研究会(会長=与謝野馨・前官房長官)が、消費税を社会保障目的税とすること、またそれに合わせて名称も変えて、2009年度から税率を引き上げるべし、という報告をまとめる。

政府税調に続いて、自民党も、消費税増税を打ち出して、いよいよ本格的な増税攻勢。

社会保障目的明確化、消費税の名称変更を…財革研報告原案(読売新聞)

しかし、消費税を全額消費税につかうというが、

  • 現在、社会保障に使われている予算が財政再建、公共事業などに使われる訳で、財政赤字の穴埋め増税となんら代わりがない。「年金の国庫負担を2分の1に引き上げるための財源にする」といって廃止された定率減税だって、結果的には、5分の1程度しか、年金財源に回っていない。社会保障目的税というなら、定率減税の廃止分を、まず年金国庫負担引き上げに充当せよ。
  • 将来、社会保障費がさらに膨らんだとき、自動的に消費税値上げをせざるをえず、消費税増税が嫌なら社会保障は切り下げる、という「究極の2択」になってしまう。
  • 根本的には消費税は、所得の少ない人ほど負担が重くなる逆進的な税制度。わずかな年金しかもらっていない人たちに、「社会保障」を口実に思い税負担を強いるのはおかしい。
  • また、たとえば4000万円で住宅を購入したら400万円も消費税を負担するというのは、国民が安心して生活するための一番の土台である住宅取得を壊すもの。こんなことをやっておいて、社会福祉を充実させるなどと言うのは、根本的に矛盾している。
  • 物価が上がっていかない現在、消費税率が引き上げられれば、零細業者や商店などは増税部分を転嫁できない可能性が大きい。そうなれば、業者にとっては大幅な増税、しかも赤字でも払わなければならないとんでもない酷税になる。

などなど、問題と混乱は必至です。

社会保障目的明確化、消費税の名称変更を…財革研報告原案
[2007年11月21日3時1分 読売新聞]

 自民党の財政改革研究会(会長=与謝野馨・前官房長官)が21日に取りまとめる中間報告の原案が20日、明らかになった。
 消費税を社会保障目的税とすることを明確に打ち出し、原則として全額を社会保障の給付に充てるとした上で、目的が分かるように名称変更も提言した。そのうえで2009年度と10年代半ばの2段階で、税率引き上げを提言している。
 原案では、現状を「中福祉・低負担の状況で、国民全体として受益に見合った負担がなされていない」と分析した。今後の社会保障費が増加することが見込まれることから、「中福祉・中負担を目指すべきだ」と指摘している。
 消費税については「人件費や事務費などに充てるのではなく、『国民にすべて還元する』との原則の下、国民に対する社会保障給付のための財源」と位置づけ、名称変更を求めている。給付と負担の関係をわかりやすくするため、財政を社会保障と非社会保障部門に分割し、社会保障部門では給付に見合った負担を求めることも打ち出した。非社会保障部門の歳出には消費税以外の歳入を充て、歳出の抑制・効率化を目指す。
 消費税率引き上げは、基礎年金の国庫負担割合を現行の3分の1強から2分の1に引き上げる財源を確保するために09年度に一度行う。その後、10年代半ばに再び引き上げる。原案に上げ幅は盛り込まれていないが、最終的な税率が10?13%程度となる方向で調整している。

名前を変えたからと言って、負担が軽くなる訳ではない」への1件のフィードバック

  1. ピンバック: 世界の片隅でニュースを読む

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください