大阪の大手機械メーカー「クボタ」が、請負会社の男性従業員の労災に関連して、実態は「偽装請負」だったとして、労働基準監督署から、労災報告を出さなかったとして是正勧告を受けていたことが明らかに。
このケースでは、「偽装請負」の問題と、労災報告の未提出が重なって起きているので、ちょっと込み入っていますが、要するに、工場で怪我をした男性が、形の上では請負会社の社員だったのだけれども、クボタの直接的な指揮を受けていて実態は派遣労働者(これが「偽装請負」)であると認定されたというのがポイント。そうすると、派遣先で起きた労災だから、派遣先であるクボタにも労災を報告する義務があるのに、報告が出されていなかったということで、是正勧告になった訳です。
クボタは、今年1月に、「偽装請負」を指摘され、「偽装請負」期間も派遣期間と見なして、直接雇用をおこなうように指導を受けています。
「偽装請負」で労災報告せず、クボタに労基署が是正勧告(読売新聞)
「偽装請負」で労災報告せず、クボタに労基署が是正勧告
[2007年12月4日14時46分 読売新聞]大手機械メーカー「クボタ」(本社・大阪市)が、自社工場で昨年6月に起きた労働災害(労災)を報告しなかったとして、大阪西労働基準監督署から労働安全衛生法違反で是正勧告を受けていたことが、わかった。
負傷したのは請負会社の男性従業員。本来なら発注元のクボタに報告義務はないが、同労基署は、事故当時の労働実態は「偽装請負」で事実上の労働者派遣にあたり、クボタにも派遣先としての報告義務があると判断した。
同法などによると、労働者が労災で4日以上休業した場合、事業者は労基署に「労働者死傷病報告」を提出しなければならない。派遣労働者については、派遣元・派遣先の双方に報告義務がある。
同社などによると、男性は、クボタと業務委託契約を結んでいた請負会社の従業員で、大阪市内のクボタ恩加島(おかじま)工場で働いていたが、昨年6月、作業台から重さ数十キロの製品が落下し、右足を負傷。請負会社は同労基署に死傷病報告を出さなかったが、今年2月、男性が加入する労働組合の指摘を受け、提出した。
その後、大阪労働局が同工場を調査。事故当時、クボタが請負会社の従業員に配置などを指示していたとして、事実上の労働者派遣と認定した。これを受け、同労基署が10月、同工場長あてに死傷病報告を提出するよう是正勧告した。
同社は、すでに男性ら請負会社の従業員を直接雇用に切り替えた。偽装請負状態は改善されたが、同労基署は、死傷病報告の不提出は労災隠しにつながる恐れがあることから、厳しく是正を求めたとみられる。
クボタの話「適正な請負であり、当社に報告義務はないと認識している。行政とは見解の相違があるが、指導に従い、死傷病報告を提出した」