鹿島が、キヤノンの大分県進出に絡んで、下請けへの架空発注で6億円の所得隠しで、国税局から追徴課税を受けていたことが明らかに。で、そのカネは、県の公共事業を取り仕切っているといわれるコンサルタント会社に流れたと言われているのだが、その経営者が、実はキヤノンの御手洗会長のお友だちだというのだから、面妖だ。
しかも、工場用地造成費が予算を大きく上回ったのに、キヤノンには予定通りの価格で売り渡し、赤字分18億円を県が穴埋めしていたというから、なんてことはない。県のカネが回り回って、コンサルタント会社に流れたということではないだろうか?
脱税疑惑:大分のコンサル会社、所得30億申告せず キヤノン進出事業、鹿島から裏金(毎日新聞)
脱税疑惑:業者が「大光参り」 広い人脈に県も一目(毎日新聞)
土地造成費超過分 県が穴埋め(NHKニュース)
鹿島が6億円所得隠しで追徴課税 (MSN産経ニュース)
鹿島、受注謝礼5億円隠す=御手洗氏知人側への裏金か?東京国税局が指摘(時事通信)
脱税疑惑:大分のコンサル会社、所得30億申告せず キヤノン進出事業、鹿島から裏金
[毎日新聞 2007年12月9日 東京朝刊]「キヤノン」の大規模プロジェクトを巡り、大分市のコンサルタント会社「大光」(大賀規久社長)が法人税法違反(脱税)などの疑いで東京国税局査察部の強制調査(査察)を受け、大手ゼネコン「鹿島」からの裏金や仲介手数料約30億円を申告していないことが分かった。鹿島も任意の税務調査で数億円の所得隠しを指摘されたとみられる。プロジェクトは投資額約1000億円に及んでおり、同国税局は大手ゼネコンなどを巻き込んだ巨額の資金の流れについて解明を進めている。
プロジェクトは、キヤノンが03年以降、大分市東部の丘陵地帯に建設したデジタルカメラ生産子会社「大分キヤノン」と、プリンター関連生産子会社「大分キヤノンマテリアル」の2工場。
関係者によると、大賀社長は、用地造成と2工場建設を鹿島が受注できるよう営業。受注額の約3%を「仲介手数料」として受け取る契約を結んだ。工場建設では当初、九州のキヤノン関連工事で実績がある「大林組」が有力視されていたが、これを覆した。
工場建設に先立つ造成工事は、県土地開発公社から、鹿島が76億円余の随意契約で受注した。
大賀社長の仲介による鹿島の受注額は、500億円を超えるとみられ、大賀社長側は仲介手数料のほか、鹿島から架空の下請け工事代金や、鹿島が別の下請け業者に水増し発注して作った裏金を受領していた疑いがある。鹿島はこうした不正な資金を巡って、追徴課税されたとみられる。大賀社長が受け取った金は計数十億円に及ぶとみられ、家族名義などで約30億円分の株などが見つかっているという。
大賀社長は、実兄が御手洗冨士夫・キヤノン会長と高校の同級生で、自らも同窓であることなどから、親しい関係にあるという。大賀社長の警備会社が両工場の警備を請け負っているほか、関連会社も含めてキヤノン関連の仕事を受注。鹿島が絡む工事では、下請け業者を決めるなど強い影響力があるという。
大光は、8日までの毎日新聞の取材要請に回答していない。鹿島は「個別の工事や税務についてはお答えできない」としている。
大光は90年12月設立で、民間信用調査機関によると従業員は6人。キヤノン関連工事の下請けや不動産開発が主な業務で、06年9月期の売上高は6億4300万円。■ことば
◇コンサルタント会社
一般的には設計業務や会社経営など、各専門分野での業務支援を目的にした会社。一方、公共工事の入札情報を聞き出したり、特定の業者が受注できるよう働き掛けを行ったケースもある。鈴木宗男衆院議員の汚職事件(02年)を巡っては、大手の「日本工営」幹部が、北方領土の施設工事で入札情報を鈴木議員の秘書に漏らしたとして、偽計業務妨害罪に問われた。「業際都市開発研究所」の事件(02年)では、同社社長が政界人脈などを生かして、業者の受注を自治体に働き掛けるなど「口利きビジネス」を行い、贈賄罪などで有罪が確定した。
脱税疑惑:業者が「大光参り」 広い人脈に県も一目
[毎日新聞 2007年12月9日 2時30分]大手ゼネコンが受注した巨大プロジェクトに絡み、脱税疑惑が浮上した。鹿島から受け取った裏金など約30億円を申告せず、法人税法違反などの疑いを持たれている大分市のコンサルタント会社「大光」。大賀規久社長は、大型工事の仕切り役として知られ、業者による「大賀参り」も行われていた。「口利きビジネス」は東京地検特捜部が02年に摘発した「業際都市開発研究所」の事件と重なり、業際元社長も大光の出資者に名を連ねていた。
キヤノンの巨大プロジェクトに絡み、脱税疑惑が浮上した。大手ゼネコン「鹿島」から受け取った裏金など約30億円を申告せず、法人税法違反などの疑いを持たれている大分市のコンサルタント会社「大光」。大賀規久社長は、大型工事の仕切り役として知られ、とりわけキヤノン関連工事では業者による「大賀参り」も行われていた。「口利きビジネス」は、東京地検特捜部が02年に摘発した「業際都市開発研究所」の事件と重なり、業際元社長も大光の出資者に名を連ねていた。
「大賀さんのところへ行ってくれ」。ある大分県内の建設会社社長は、県発注工事の営業に行った際、県の担当者にこう言われた。別の業者は民間大型工事の下請けに入ろうとゼネコンに行った際、担当者が「大光に行ってください」。そのひと言には、大賀社長が工事の仕切り役であることが明示されていた。
人脈は、同窓の御手洗冨士夫・キヤノン会長をはじめ、元警察官僚、元国税庁幹部、議員秘書らにも広がっている。脱税疑惑の舞台になったキヤノン子会社の2工場。御手洗氏と広瀬勝貞・大分県知事は03年10月、県庁で「キヤノン大分市進出」を記者発表したが、その数カ月前、進出候補地を視察する県とキヤノン関係者の一行に、大賀社長の姿もあった。
大光は90年に設立され、株主名簿には、業際事件で徳島県知事への贈賄罪などに問われ、有罪が確定した業際元社長の尾崎光郎・元衆院議員秘書(62)の名前が残っている。尾崎元秘書は「20年以上前にパーティーで知り合い、そのうち大賀さんが事務所に遊びに来るようになって親しくなった。『会社を立ち上げるから出資してほしい』と頼まれ出資したが、今はけんか別れしている」と話す。
関連会社の監査役には、元熊本国税局長の谷●(やべ)龍二税理士の名前も。「法人会などの地元会合で知り合った。東京に出るので名前を貸してくださいと言われた」という。
●は左上から「立」「口」に「口」「巴」
土地造成費超過分 県が穴埋め
[NHKニュース 2007年12月9日 18時31分]大手建設会社の鹿島が、大分市のキヤノンの工場建設をめぐって東京国税局から所得隠しを指摘された問題で、この工場に隣接するキヤノンの別の工場の造成では、当初の見込みよりも造成費が膨らんで出た18億円余りの差額を、大分県が事実上穴埋めしていたことがわかりました。
この問題は、鹿島がキヤノンの工場をめぐって架空の外注費を支払う手口で、およそ6億円の所得を隠していたとして、東京国税局から追徴課税の処分を受けたものです。この工場の隣にはプリンターカートリッジを製造する別の工場がありますが、この土地の造成についても鹿島が受注していました。この造成工事で大分県は事業費を50億円と見込んでいましたが、工事費がかさんで68億円余りに膨らんだことから、18億円余りの差額を事実上穴埋めする措置をとりました。
工事の発注者は県の土地開発公社で、公社はキヤノン側に去年10月、予定どおり50億円で売却し、大分県は公社に対し、差額分について補助金を出す形で補てんしていました。大分県は「企業誘致は地域間競争が激しく、よい条件を提示する必要がある。差額を負担してもそれ以上の経済波及効果があると考えた」と説明しています。これについて、大分市の市民グループは「キヤノンに工場用地を不当に安く売却した」として、広瀬知事に補助金の返還を求める住民監査請求を起こしています。
鹿島が6億円所得隠しで追徴課税
[MSN産経ニュース 2007.12.9 11:17]大手精密機器メーカー「キヤノン」(東京都大田区)の大分県進出をめぐり、下請け業者に架空の外注費を支払ったなどして、大手ゼネコン「鹿島」(東京都港区)が東京国税局の税務調査を受けて約6億円の所得隠しを指摘され、追徴課税の処分を受けていたことが分かった。このうち一部の金額について、鹿島は国税局の調査にも使い道を明らかにしておらず、使途秘匿金としてさらに重い税率の処分を課せられたという。
関係者によると、鹿島は、大分県が誘致して大分市内に建設されたキヤノン工場建設のための造成工事を、県の土地開発公社から受注し。その上で、工場建設もキヤノンが請け負った。
このプロジェクトをめぐり、国税局の調査で架空の外注費を支出していたことが判明。計約6億円分について「交際費に当たる」と認定されたもようだ。鹿島と下請け契約を交わしながら、実際には工事をしていない業者が複数見つかったという。
これらの支出について、鹿島は、悪質な隠蔽(いんぺい)を伴う所得隠しとして重加算税を含めた追徴課税の処分を受けた。また、国税局の調査に使途を明らかにしなかったものも一部あり、「使途秘匿金」としてさらに重い課税処分を受けたという。
キヤノンのプロジェクトは、デジタルカメラ生産子会社「大分キヤノン」と、プリンター関連子会社「大分キヤノンマテリアル」の2工場。大分県の誘致を受け大分市内に平成15年以降に建設された。建設に先立つ造成工事を、鹿島は県土地開発公社から随意契約で受注したほか、工場の建物建設も同社が請け負っていた。
鹿島、受注謝礼5億円隠す=御手洗氏知人側への裏金か?東京国税局が指摘
[時事通信 2007/12/09-16:49]精密機器メーカー大手「キヤノン」が大分市に建設した工場をめぐり、ゼネコン大手「鹿島」が、受注の謝礼金を経費に装ったなどとして、東京国税局から約5億円の所得隠しを指摘されたことが分かった。裏金の大半は、御手洗冨士夫キヤノン会長の知人が経営する大分市のコンサルタント会社などに渡っていた可能性が高いが、鹿島は最終的な支払先を明かさず、重い税金を課される「使途秘匿金」と認定されたという。
鹿島は、2006年3月期までの2年間で、この約5億円を含めた約6億円を所得隠しと指摘された。経理ミスも含めた申告漏れ総額は30数億円に上り、追徴課税されたとみられる。
キヤノンが、この件についてコメントを発表している。大光・大賀氏との関係については「同郷の知人」「休日などに会食などで一緒になったこともあります」と認めている。
一部マスコミが報道した鹿島建設などの脱税疑惑について ― キヤノン : ニュースリリース
2007年12月9日 キヤノン株式会社一部マスコミが報道した鹿島建設などの脱税疑惑について毎日新聞12月9日付朝刊および同日のNHKニュースで、大分キヤノン株式会社ならびに大分キヤノンマテリアル株式会社の大分事業所の建設にあたり、工事を担当した鹿島建設株式会社および株式会社大光に脱税疑惑があるとの報道がありました。当該工事に関する両社とキヤノンの関係についてご説明を申し上げます。
(1) 大分事業所の用地購入に関しては、鹿島建設とキヤノンとの取引関係はありません。この土地は、大分県から誘致のあった候補地の中からキヤノンが選択し、その後、大分県(大分県土地開発公社)が鹿島建設に土地造成工事の発注を行ったもので、キヤノンは、造成完了後にこの用地を大分県から購入しました。
(2) 建物建設工事に関しては、大分キヤノンは鹿島建設、大分キヤノンマテリアルは鹿島建設および株式会社大林組に発注を行いました。先行した大分キヤノンの工場建設にあたっては、緑化・環境配慮のグランドデザイン、生産職場レイアウトの柔軟性確保に特徴ある柱なし大空間工法、短工期を提案した鹿島建設を、社内の正規の審査過程を経て、施行業者として採用しました。
(3) 大光は、ゼネコンである鹿島建設の取引先として当該工事に参画しています。また、代表者である大賀規久氏は御手洗会長と同郷の知人で、休日などに会食などで一緒になったこともあります。また、大分事業所における守衛業務の委託などの取引もあります。ただし、キヤノンは、報道されているような大賀氏の業者選定への関与は承知していません。
(4) 税務当局からは、通常の調査に加えて、大分事業所の建設について、詳しい内容を聞かれました。キヤノンとしては当然、できるかぎりの協力をして、資料も提出いたしました。その結果、キヤノンの税務処理については、格段の指導もなく、正規の処理で完了しています。これをもってしても、第三者の税務処理について、キヤノンが疑念を持たれるようなことは一切ないことは、ご理解していただけると考えています。