感動的な悲劇的

東京都交響楽団第655回定期演奏会 インバル指揮 マーラー交響曲第6番「悲劇的」

順番がテレコになりましたが、19日(水)は、インバル&都響の第2弾。マーラーの交響曲第6番「悲劇的」を聴いてまいりました。

マーラーの交響曲第6番は、第1楽章の出だしの低音の弦が刻みつけるように奏でる第1主題と、ティンパニのリズムが印象的。さらに、カウベルが鳴ったり、鐘、鞭、ハンマーが登場するなど、いかにもマーラーらしい、実に多彩な曲です。第4楽章で順調に進んでいたような楽曲が、最後、破綻して終わっていくところが「悲劇的」と名づけられるゆえんですが、電車の中などで聴きながら居眠りしてしまったときに、最後の一撃でビクッと目を覚ますという経験が何度もあります。(^_^;)

さて、この日のインバルの演奏は、情感たっぷりというか、ダイナミックというか、平たく言えば派手派手。マーラーの王道をゆくという感じでした。先日の東京文化会館では、ホルンが浮いて聴こえたり、なんとなく管と弦とがしっくりこない感じで、「何だろう?」と思っていましたが、この日はそんな違和感もなく、堪能させていただきました。(サントリーの残響が長いのにたいして、文化会館は残響が短いので、そういう感じがしたのかも知れません)

第1楽章、第2楽章は内容が似ているだけあって、インバル氏は、楽章間の空きをあまりおかず、まだ会場内がざわざわしているのを気にもせず、とっとと第2楽章へ。(^_^;) 第3楽章から第4楽章も同じような感じで、それだけ、この曲の組み立てにこだわっていると言うことでしょう。

この日の都響は、第1楽章でトランペットの音が出きらなかったのと第3楽章でホルンがちょっとよろめいたのを除けば、さすが!の演奏。ラスト、フライングブラボーもなく、お客さんもしっかり集中して聴けたという感じでした。

ちなみに、先月の日フィル定期が沼尻竜典指揮で同じマーラー第6番をやっていました。沼尻×日フィルのマーラー6番は、どちらかというと抑えめの演奏。この日のインバル×都響の、爆発するような演奏とは対照的でした。どちらが好みかは分かれるところでしょうが、あらためて聞き比べてみて、沼尻×日フィルの6番もなかなかなものだったと思った次第です。

【演奏会情報】 東京都交響楽団第655回定期演奏会 Bシリーズ
指揮:エリアフ・インバル/ソロ・コンサートマスター:矢部達哉/会場:サントリーホール/開演:2007年12月19日 午後7時

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