共同通信の世論調査で、新テロ特措法を衆議院の3分の1以上の賛成で再議決したことについて、「適切ではなかった」が46.7%を占め、「適切だった」の41.6%を上回った。朝日新聞の世論調査では、「妥当だ」と「妥当でない」がともに41%で意見が分かれた形に。
内閣支持率上昇41% 給油新法の再可決賛否割れる(中日新聞)
内閣支持低迷34% 年金なお厳しい評価 本社世論調査(朝日新聞)
内閣支持率上昇41% 給油新法の再可決賛否割れる
[中日新聞 2008年1月13日 朝刊]共同通信社は新テロ対策特別措置法(給油新法)の成立を受け、11、12両日、全国緊急電話世論調査を実施した。福田内閣の支持率は41.4%で昨年12月中旬の前回調査に比べて6.1ポイント上昇した。福田康夫首相が薬害肝炎訴訟で議員立法による一律救済を決断したことや、対テロ新法成立で重要課題をひとまず片付けたことが支持回復の要因とみられる。ただ「不支持」は42.8%で前回に続き「支持」を上回っており、引き続き厳しい政権運営を迫られる。
対テロ新法を参院で否決後、衆院再議決で成立させたことには、「適切ではなかった」が46.7%で、「適切だった」の41.6%を上回った。対テロ新法は「評価する」44.1%、「評価しない」43.9%が拮抗(きっこう)した。
ガソリン1リットル当たり約25円を上乗せしている揮発油税の暫定税率に関しては、3月末の期限切れ後「延長しない方がよい」が72.2%と圧倒的多数で、「延長した方がよい」と暫定税率維持は21.4%にとどまった。民主党は通常国会で世論を背景に延長反対で攻勢を強めるとみられる。
揮発油税など道路特定財源の一般財源化については「賛成」が52.8%と過半数で、「反対」は37.9%。
支持する政権の枠組みは「民主党中心の政権」が41.5%で、前回に続き「自民党中心の政権」の35.0%を上回った。
内閣支持の理由は「ほかに適当な人がいない」が45.1%で最も多く、「首相を信頼する」が20.5%で続いた。不支持の理由は「経済政策に期待が持てない」が25.9%でトップだった。
次期衆院選の時期では「来年9月の任期満了」が31.8%で最も多く、次いで「今年後半」が29.6%、「今年前半」は22.9%の順。
対テロ新法再議決が「適切ではなかった」と回答した人に理由を聞いたところ「国会の審議が不十分だったから」が48.8%で最も多かった。
各党支持率は自民党が前回より6.8ポイント増え32.0%で、1.5ポイント下がった民主党の27.0%を逆転し、トップに返り咲いた。このほか公明党4.4%、共産党2.3%、社民党1.5%、国民新党0.6%、新党日本0.4%。支持政党なしは30.5%だった。▽調査の方法=全国の有権者を対象に11日午後から12日にかけて、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかけるRDD(ランダム・デジット・ダイヤリング)法で実施した。実際に有権者がいる世帯にかかったのは1470件、うち1027人から回答を得た。
内閣支持低迷34% 年金なお厳しい評価 本社世論調査
[asahi.com 2008年01月12日22時50分]補給支援特別措置法の衆院での再議決を受けて、朝日新聞社が11日午後から12日夜にかけて実施した全国緊急世論調査(電話)によると、福田内閣の支持率は34%、不支持率は45%だった。支持率は内閣発足以来最低だった前回(12月19、20日)の31%からやや持ち直したものの、引き続き低い水準だった。年金問題への評価は前回よりさらに厳しくなっており、低い支持率が続く要因となっている。政府・与党が、特措法が参院で否決された後に衆院で再議決し、3分の2以上の賛成で成立させたことについては、「妥当だ」と「妥当でない」がともに41%で見方が分かれた。
福田内閣の支持率は12月初旬までは40%台だったが、前回調査では年金記録問題をきっかけに急落した。その年金記録問題で、福田内閣の対応を「評価する」は26%(前回36%)にとどまり、「評価しない」が55%(前回46%)と、前回より厳しい数字となった。内閣支持層でも「評価する」は45%で、「評価しない」人が31%にのぼった。
一方、衆院での再議決で特措法案の成立をはかることに対しては、前回調査で「妥当ではない」(43%)が「妥当だ」(37%)を上回っていた。
特措法成立でインド洋での自衛隊活動の再開は決まったが、「活動再開は必要ではない」が今回48%に達し、「必要だ」の34%を上回った。前回調査で「必要ではない」(48%)が「必要だ」(37%)を上回り、今回さらに差が開いた。特措法そのものへの賛否も、反対が40%で、賛成の36%より多かった。
参院で否決された法案を衆院の再議決で成立させるやり方について、他の法案にも使うことの賛否を聞くと、「賛成」は18%にとどまり、「反対」は35%、「どちらともいえない」が44%だった。特措法の再議決には約7割が「賛成」と答えた自民支持層でも、他の法案の再議決については「賛成」が30%で、公明支持層では「賛成」が19%にとどまった。与党支持層でも再議決の多用には慎重な姿勢がうかがえる。
また、薬害C型肝炎訴訟をめぐって、福田首相が12月末、議員立法によって原告が求める全員一律救済を実現する方針を示し、これに沿った法律が成立したが、こうした福田首相の対応を「評価する」は71%だった。ただ、「評価する」と答えた人のうち、内閣を支持する人は40%にとどまり、不支持が41%。首相の決断が必ずしも支持率回復の大きな要因にはなっていない。
こうした中、「いま総選挙をするとしたら」として聞いた比例区の投票先は、民主が36%(前回38%)で自民の25%(同23%)を引き続き大きく上回った。
望ましい政権の形も「民主中心」が35%(同41%)で「自民中心」の27%(同28%)に水をあけている。政党支持率は、自民が26%(同27%)、民主が25%(同25%)だった。
他方、衆院の解散・総選挙については、「早く実施すべきだ」が前回の39%から34%に減り、「急ぐ必要はない」が前回の48%から54%に増えて、12月初旬の前々回調査とほぼ同じ比率に戻った。民主支持層では「早く実施すべきだ」が前回の69%から52%に減っており、全体として解散風が弱まる結果となった。