福田首相が持ち出した「京都議定書の1990年を基準にするというのは見直すべきだ」という議論。唐突だなぁ?と思っていたのですが、実は、財界が基準の変更を要求していました。
それは、経済同友会が1月21日に発表した↓この提言。
真に実効性ある政策でリーダーシップを―ポスト京都議定書の国際的枠組みを含む環境エネルギー政策への提言―(経済同友会)
そのなかでは、次のように述べて、1990年という基準年は日本にとって不利だと露骨に書かれています。
1990 年という基準年の設定は、90 年代に石炭から天然ガスへのエネルギー転換が進んだイギリスや、1990 年に東西統一したドイツに有利に働いたと考えられる。(同提言、2ページ)
で、経済同友会が「妥当だ」と言っている削減プランは、↓このなかのブルーの線、もしくは水色の部分。
しかし、このシナリオは最終的にCO2濃度が550ppmということにですが、これはIPCC第4次評価報告書のA1Bシナリオに相当するようなもの。これだと平均気温は4度上昇すると予測されています。はたしてこれが「妥当なシナリオ」といえるのでしょうか?
このシナリオ、もともとは「地球環境産業技術研究機構」というところが考えた「妥当と思われるシナリオ」ですが、この「地球環境産業技術研究機構」なるものは、以下のように、財界丸抱えの団体(名簿は財界関係者のみ)。客観的な研究を装っていますが、要するに、財界の自作自演です。
会長 今井 敬・日本経団連名誉会長
理事長 秋山喜久・関西経済連合会相談役
理事 井手明彦・三菱マテリアル社長
伊藤謙介・京セラ取締役相談役
犬伏泰夫・神戸製鋼所社長
井上礼之・ダイキン工業会長
宇野郁夫・日本生命会長
岡山紀男・住友電工会長
奥 正之・三井住友銀行頭取
勝俣恒久・東京電力社長
川口文夫・中部電力会長
齊藤 脩・JFEエンジニアリング社長
齋藤 宏・みずほコーポレート銀行頭取
篠原 稔・日産自動車常務執行役員
柴田 稔・東洋紡績相談役
下妻 博・住友金属会長
棚橋祐治・石油資源開発社長
辻井昭雄・近鉄会長
豊田章一郎・トヨタ自動車名誉会長
鳥井信吾・サントリー副社長
鳥原光憲・東京ガス社長
内藤碩昭・三菱東京UFJ銀行名誉顧問
中村邦夫・松下電器会長
西田厚聰・東芝社長
野村明雄・大阪ガス会長
幡掛大輔・クボタ社長
馬田 一・JFEスチール社長
古川一夫・日立製作所社長
三村明夫・新日鉄社長
森井清二・関西電力顧問
矢嶋英敏・島津製作所会長
山田 豊・東洋エンジニアリング社長
脇村典夫・大林組社長