プロ野球のオーナー会議で、機構改革について合意。コミッショナー権限を強化すると言うが、そのコミッショナーの任免権をオーナー会議がにぎり、オーナー会議が名実ともに最高機関となる。
これでは、近鉄・オリックス合併事件のような、オーナーのわがままにたいして、コミッショナーはまったく独立した権限を行使できなくなる。興行的な思惑からオーナーがあれこれ言い出したときに、はたしてプロ野球はスポーツとしての立場を守れるだろうか?
プロ野球オーナー会議、コミッショナー権限強化へ
[2008年1月23日21時01分 読売新聞]プロ野球のオーナー会議が23日、東京・港区のザ・プリンス・パークタワー東京で行われ、コミッショナーの権限強化など、プロ野球協約や社団法人・日本野球機構の定款の改定について、根来(ねごろ)泰周(やすちか)コミッショナー代行が示した素案を了承した。
改定の柱は、<1>日本野球機構と日本プロフェッショナル野球組織を一本化し、セ・パ両連盟と統合する<2>コミッショナー権限の強化<3>オーナー会議を最高議決機関とする――の3つ。
<1>では、独立しているセ、パ両連盟の事務局が、コミッショナー事務局に「部」として吸収される。
<2>については、現在は実行委員会が選任しているコミッショナーを、オーナー会議が選任する。コミッショナーの職権は紛争の裁定など司法的なものが中心だったが、改定後は実行委の決定などに基づき、直接事務を実行できる行政的な権限も加わる。また、3年だった任期は2年となり、現在は任期中の身分が保障されているが、権限強化と引き換えに、オーナー会議によって解任される場合もある。一方、司法的な権限についても、諮問機関として第三者による調査・裁定委員会(仮称)を設置して、より効率的に紛争解決ができるようになる。
<3>のオーナー会議は、日本人選手の海外流出問題や、五輪に野球を復帰させる取り組みなど、主に野球界の抱える重要問題を議論する。オーナー会議との関係があいまいだった実行委員会は、オーナー会議の下部の議決機関と明確に位置づける。審議事項も日本シリーズ開催方式など、試合運営にウエートがおかれ、オーナー会議の求めに応じて再審議もする。
根来代行は「これで、協約改定の議論は終わり。あとは専門家にお願いして立法作業に入る」と10月を目標に、細部を詰める方針を改めて示した。