すでに3年生に内々定?!

昨日の日経夕刊に、「09年シューカツはや本番 早まる採用、学生は冷静」という見出しで、2009年の大学新卒の就職活動が早くも本番を迎えているとの記事が載っていた。

売り手市場だと言われているが、ともかく3年生のこの時期にすでに内々定が出た、出ないというのは、あまりに早すぎる。協定がなくなって久しいが、はたしてこんなことでよいのだろうか?

09年シューカツ はや本番/早まる採用 学生は冷静
[日経新聞 2008年1月28日夕刊]

 2009年の大学新卒の就職活動(シューカツ)が、早くも本番を迎えている。景気減速の懸念が高まっているものの、企業の採用意欲は依然旺盛。活動は一段と早期化し、すでに内々定を出し始めた国内企業もあらわれた。しかし、学生たちは以外に冷静。例年より志望企業を絞り込むなど、売り手市場の強みを生かしたシューカツを展開しているようだ。

 「ノックは3回ではなく、2回だけ。イスの背もたれにはもたれかからないように」――。16日、中央大学(東京都八王子市)が例年と同じ時期に開いた3年生向けの就職ガイダンスは、担当者らの熱意とは裏腹に空席が目立った。出席率は5ポイント減少し8割台だった。
 「合同説明会やセミナーなど企業の出足がかつてなく早い。学生はもはや説明など受けていられないのでは」と中大キャリア支援課副課長の松村祐明さんはみる。
 学生の売り手市場といわれる09年就職戦線。企業の採用意欲はなお高い。これまでは大学3年の年明け早々に内々定を出すのは外資系の金融機関やマスコミの一部ぐらいだった。ところが中大の松村さんは「今年は国内のIT企業や住宅関係の一部からも、昨年末までに内々定を受けたという学生がいるほど」と話す。
 また、09年卒業予定者向けに学内で開催する企業説明会の参加社数は720社。昨年に比べて120社も増えたという。団塊世代の大量退職などで人手不足感の強い業界が採用予定数の確保を焦り、早々と学生の囲い込みに動き始めている。

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 それを受け、学生も当然例年より早めに動き出している。ただ、目立つの冷静さだ。
 中大経済学部の女子学生は11月後半からOB訪問を始め、志望先を住宅機器メーカーに絞り込んだ。「すでに内定をもらっている友人もいて焦るけれど、自分のペースでやるしかない」と表情を引き締める。
 「専攻スケジュールは例年通り2-3月とする企業が多い」と指摘するのは、慶応大就職・進路支援課長多田重文さん。その分、学生は企業研究などに時間をかけられるはずとみる。
 実際、中大では今春卒業予定の4年生が企業に提出したエントリーシート数は、平均10通を超す程度で、「氷河期世代の3分の1ほど」(キャリア支援課)。来春卒のシューカツではその傾向はさらに強まりそうだ。
 大学生の就職活動に詳しいハナマルキャリアコンサルタントの上田晶美さんは、「早い時期からのOB訪問をしており、学生の多くは有利な条件で専攻に進めると確信している。だからエントリーシートは有望企業を厳選して書いている」と分析する。
 もちろん活動の時期が早まったことで、早々とシューカツに息切れする学生もいる。「何だか疲れました」とため息をつくのは広告代理店志望の都内の男子学生Aさん。
 昨年夏のインターンシップに応募するなどシューカツに全力投球しているが、選考に進んだ企業はまだない。「インターネットの就職活動の掲示板には夏のインターンシップを経験した人は面接に呼ばれていると書かれているのに……」と落ち込む。

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 ここへ来て不安要因も出てきた。米国のサブプライムローン問題に端を発する国内景気の不透明感だ。
 企業の採用活動に影響はないのか。関係者のあいだでは「今年採用を減らす企業は出ない」との見方が一般的だ。採用コンサルティングなどを手がけるレジェンダ・コーポレーション(東京・新宿)の藤波達雄社長は「新卒採用は景気の影響が出るまでタイムラグがある。バブル期も株価が下がり始めてから企業採用を絞るまで3-4年あった」と振り返る。
 ただ、質を確保できない場合は別だ。「昨年は目標数を上回ってもいいと囲い込みをする企業もあったが、今年は要求水準に達する人材が集まらない場合、目標数に届かなくても打ち止めにする可能性はある」。さらに景気の動向次第では目標人数の下方修正もあるとみる。
 厚生労働省と文部科学省の調査によると、今年春に卒業する4年制大学生の内定率は、9年ぶりに80%台を回復(07年12月1日時点)した。
 先行きを不安視する声も聞こえるが、企業の採用意欲が引き続き高いのは確か。そしてシューカツの期間は長丁場になる。ハナマルキャリアコンサルタントの上田さんは「すいすい内定をとる人は多いだろう。途中うまくいかない人もよい結果が待っていると信じて、長期間働ける職場を見極めてほしい」と、エールを送っている。

75%が「内定複数とれる」 採用コンサル会社調査

 2009年シューカツに挑む学生たちの気分は「不安を抱えつつも楽観ムード」。レジェンダ・コーポレーションが昨年12月、大学3年生8300人に行った調査によると、「2社以上内定がもらえると思う」と回答した学生が75%に上った。一方、「1社も内定がもらえない」と答えた学生はわずか2%にとどまり、就職先が見つからない不安が小さいことは鮮明だ。
もちろん、希望の会社から内定がもらえるかどうかは別。「希望の会社に就職できるかどうか不安」とする学生は48%と半数近かった。
 同社の藤波社長は「第一希望の企業は苦戦しそうだが、どこかの企業から必ず内定はもらえると思っている。例年になく楽観ムードがあるのは確かではないか」と分析している。

2009年就活 学生は楽観ムード

●何社内定をもらえると思うか

0社 0.7
1社 22.5
2社 35.4
3社 27.4
4社 5.4
5-10社 6.4
11社以上 0.7

●就職活動で一番不安に思うことは

希望の会社に就職できるか 48.4
自己分析がうまくできない 20
学業と就職活動の両立 12
志望先が決まらない 8.9
志望企業の情報不足 4.6
ほかの学生の動きが気になる 2.6
特にない 1.8
その他 1.7

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