いささか古い話になってしまいましたが、『週刊エコノミスト』新年号(1/1・8合併号)がおこなった特集「激動の2008年を生き抜くために読みたい 『戦略思考』を鍛える本」のなかで、「戦略思考的原点」の謎解きをした大著として、マルクスの『資本論』が紹介されています。
『資本論』を取り上げたのは、同志社大学の浜矩子教授。こんなふうに書かれています。
戦略的に物を考えるうえでの最大の勘所は、なんといっても、敵を知ることである。敵を知るためには、まず敵がどこにいるかを的確に見定めなければならない。この戦略思考的原点に関して、『資本論』ほど完璧な枠組みと視点を持っている著作は他にないと思う。
資本というものは、どのような原理に基づいて価値を生み出すのか。その過程において、誰が誰をどう搾取するのか。持てる者と持たざる者との関係が固定化されていくプロセスが、寸分のスキもなく謎解きされていく。良き戦略家は、謎解きの名手でもなければならない。この珠玉の謎解きの大著あってこそ、体制変革に向かう後継者たちの空前の戦略構築が可能になった。戦略思考に向けてのはじめの一歩がここにある。(同書、77ページ)