ダニエル・ハーディング指揮 東フィル マーラー第6番

東京フィルハーモニー交響楽団 第36回オペラシティ定期シリーズ

先週1週間の出張の後始末でヘロヘロのまま、昨日は夕方からオペラシティへ。

  • マーラー:交響曲第6番 イ短調 「悲劇的」

マーラー6番は、昨年11月に沼尻竜典&日フィル、12月にインバル&都響と聞いて、これで連続3回目。沼尻氏のが抑えめの演奏だったのにたいして、インバルのは爆発的な演奏。さて、今回は…

マーラーの第6番については、第2楽章、第3楽章の演奏順序をめぐって、いろいろあるようだ。沼尻&日フィルがどうなっていたかは忘れてしまったが、沼尻&日フィルも、インバル&都響も、第2楽章 スケルツォ→第3楽章 アンダンテ の順だった。

それにたいして、この日の演奏は第2楽章 アンダンテ→第3楽章 スケルツォ の順で、それについてプログラムには詳しい考証が書かれていたが、あいにく会場に忘れてきたらしい。都響のプログラムでは、「最近行われている全集版の見直しの中で、逆〔アンダンテ→スケルツォ〕の可能性も指摘されてるようになった」と控えめに書かれていたのにたいして、旧来のスケルツォ→アンダンテという順序はほとんど“捏造”であるかのような書きぶりだった。

改めて手許にあるCDを確かめてみたら、バーンスタイン盤(1988年演奏)もインバル盤(1986年演奏)もスケルツォ→アンダンテの順。まあ、どちらも80年代の演奏だから当然なのだが、これからどうなっていくのだろうか。

で、印象は…というと、そんなに大きく曲のイメージが変わった感じはしなかった。スケルツォを第2楽章とした場合は、第1楽章→第2楽章と基本的に似た曲想で連続していく感じになるが、第2楽章をアンダンテにした場合は、いったん緩徐楽章で曲想を転換したあと、もう一度最初の主題に帰るという感じで、これはこれで4つの楽章の組み立て方として納得される。

あともう1つ、マーラー6番にはハンマーを何回鳴らすかという“楽しみ”もあるが、これは、2回鳴らし終わったところで担当の楽団員が元の席に戻ってしまったので、“3回目はなし”というのが早々に分かってしまった。(^_^;) まあ、最近では、最後にもう1回ハンマーを鳴らす演奏には滅多にお目にかからないので、“楽しみ”というほどではない。もういい加減、“ハンマーを何回鳴らすか楽しみだ”などとプログラムに書くのをやめてはどうだろうか。

さて、ダニエル・ハーディング指揮ということで、早々にチケットは完売になったようだが、はたしてどうだっただろうか。個人的には、パート、パートは金管などやや気になったところがあったのを除けばしっかりやっていたと思う。しかし、全体としてはまとまりに欠け、マーラーらしい盛り上がりがなかったというのが率直な印象。第1ヴァイオリンのソロも少々力不足だったように思われた。

オペラシティ2階L席という横向きの座席だったので聴きにくかったということもある。しかし、それよりも、隣に座ったパパイヤ鈴木みたいな太った兄ちゃんが悪かった。演奏中に大きな体を乗り出して舞台を覗き込んだり、ナップザックからオペラグラスを取り出すためにがさがさやったり、挙げ句の果てには居眠りをして(太った人の多くがそうであるように)クークーと寝息を立てたり…。はっきりいって音楽に集中できなかった。

それから、もともとマーラーをやるにはオペラシティは狭すぎるという問題もある。それなら、15日のサントリーホールの演奏会にいけばよさそうなものだが、今晩は今晩で金聖響&東京シティフィルでプロコ&ショスタコの5番&5番というおいしいメニューがあって、それはそれで捨てがたい…。(^_^;)

終楽章が終わったあと、ハーディングは指揮棒を下ろさず20?30秒もためていた。まあ、終わってすぐにブラボーという曲でもないが、いささか長すぎて嫌みに思えてしまった。

いろんな意味で、不満の残った演奏会だった。

追記:
東フィルの記事によれば、この日、ハーディングは39度の熱があったそうな。切れが悪かったのはそのせいかもしれない。

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