キヤノンが、グループ企業19社で、2008年中に、派遣社員、請負労働者5000人を直接雇用に切り替える方針を固める。
キヤノン自身は「計画通り」というだろうけれども、先日の共産党志位委員長の衆院予算委質問では、大分や滋賀の工場ではパートを含めても直接雇用は半分以下、半数以上が派遣社員や請負労働者であるという実態を暴露されたばかり。本来、派遣労働は臨時的・一時的なものでなければならない。志位委員長の具体的事実をあげての追及に、舛添厚労相も「いささかでも違法状態があれば、そこに調査に立ち入る」と答弁せざるを得なかったほどだった。
キヤノン、08年の直接雇用5000人に=派遣・請負の正社員化加速(時事通信)
鹿島の裏金問題 「不適切な取引ない」 キヤノン会長会見(西日本新聞)
大分優遇進出 キヤノン、知事に“献金” パーティー発起人も(しんぶん赤旗)
ところでキヤノンの有価証券報告書などをみると、グループ全体では従業員は約12万人(2006年12月現在、そのうち日本国内は約5万人)。しかし、このほかに、約3万人の臨時従業員がいる。これには、期間従業員、パートタイマーおよび派遣社員が含まれる。これらの数字の変化を調べてみると、次のようになる。
従業員数*1 | 臨時従業員数*2 | |
2003年12月 | 102,567 | 10,722 |
2004年12月 | 108,257 | 14,013 |
2005年12月 | 115,583 | 20,005 |
2006年12月 | 118,499 | 30,394 |
2007年6月 | 127,338 | 39,848 |
*1 従業員数はグループ全体。海外を含む。
*2 臨時従業員数は、従業員数に含まれない。
つまり全体でも従業員は増えているが、それ以上の割合で臨時従業員も増えている、ことが分かる。2003年12月と2007年6月との比較では、従業員は全体で24,771人増えているが、臨時従業員は29,126人増で、それを上回っている。臨時従業員のうち、どれぐらいが派遣労働者なのか、また請負労働者がどれぐらいいるのかは、これら資料からは判明しないが、この間キヤノンが臨時従業員を大きく増やしてきたことは明らか。
キヤノン、08年の直接雇用5000人に=派遣・請負の正社員化加速
[2月20日20時1分配信 時事通信]
キヤノンは20日、2008年中に国内のグループ企業19事業所の生産現場で働く派遣労働者や請負労働者の正社員化などを通じ、5000人の直接雇用に踏み切る方針を固めた。昨年策定した5000人の雇用計画を1年前倒しで達成したため、正社員化比率をさらに引き上げる。
もう1つは、キヤノンの大分進出にかかわる疑惑。進出先の工業団地の整備にかかわった大手ゼネコン・鹿島が所得隠しで東京国税局に摘発された事件なのだが、キヤノンから大分県に工事を鹿島に任せるように働きかけがあったことが疑われている。これも共産党の「しんぶん赤旗」がねばり強く追及してきている疑惑なのだが、18日付「しんぶん赤旗」では、キヤノン会長の御手洗氏が、大分県知事の政治資金パーティーの呼びかけ人となり、キヤノン自身もパーティー券を購入していたことが明らかにされている。
こうした追及に、当初、しらを切っていた御手洗会長自身も、鹿島から裏金がわたったとされる経営コンサルタント会社の社長と友人であることを認めざるをえなくなっている。
鹿島の裏金問題 「不適切な取引ない」 キヤノン会長会見
[2008/02/21付 西日本新聞朝刊 2008年02月21日00時16分]
大分市のキヤノン工場建設をめぐり、大手ゼネコンの鹿島が東京国税局から所得隠しを指摘された問題で、キヤノンの御手洗冨士夫会長は20日、裏金が渡ったとされるコンサルタント会社社長側との取引について「(社内の)調査委員会で徹底調査したが不適切な取引はなかった」と反論した。経団連会長として九州経済懇談会に出席した後、同市で記者会見した。
御手洗氏は社長との関係について「子どものころからの友達。しかし、どういう会社か詳しく知らない。仕事の話はしない」と説明。鹿島の裏金づくりの指摘について「全く関係ない。大変迷惑だ。鹿島の土地造成段階でキヤノンの土地ではない。前段階のことで道義的な責任を取るのはおかしい」と強調した。
造成業者に鹿島を選定するよう県土地開発公社に配慮を求めたキヤノンの文書について「(土地造成の)随意契約には推薦状がいると(県側に)言われたので書いた」と述べ、キヤノンから鹿島選定を要請した文書ではないと説明した。
大分優遇進出 キヤノン、知事に“献金” パーティー発起人も
[2008年2月19日 しんぶん赤旗]
大分県に新工場を建設したキヤノンが、広瀬勝貞知事のパーティー券を購入し、日本経団連会長でもある同社の御手洗冨士夫会長がパーティーの発起人を務めていたことが18日、本紙の調べでわかりました。新工場建設をめぐっては、誘致した県による異例の優遇施策や建設受注の不透明な契約などの問題が噴出。誘致企業と知事の密接な関係が問われます。
問題のパーティーは、東京都選管届け出の政治団体「広瀬勝貞君を励ます集い」が2005年10月31日、東京・港区内で開いたもの。07年の知事選を前にした事実上の選挙資金集めとみられます。一口2万円のパーティー券を3,048枚販売し、6,096万円の収入をあげています。
パーティー券を購入した企業・個人の大半は、政治資金収支報告書に名前が記載されない20万円以下となっています。政治団体の代表は、キヤノンのパーティー券購入について「政治資金規正法の範囲内(非公表の20万円以下)」で協力を受けたことを本紙に認めました。キヤノンも「会社として購入した」(同社広報部)としています。
広瀬氏は経済産業省の事務次官を経て、03年の知事選で初当選。現在2期目。「広瀬勝貞君を励ます集い」は、広瀬知事の資金管理団体「勝友会21」(総務省届け出)に05年11月に1,000万円、06年6月には4,232万円を寄付しています。
御手洗氏は、パーティー発起人の一人。同氏は、集いの冒頭であいさつにも立っています。政治団体代表は、御手洗氏があいさつした経緯について「広瀬氏が昔から知っているからではないか」としています。
政治団体代表は、券購入への協力を働きかけたのは「大分県進出企業が中心ではない」といいます。しかし、同パーティーを報じた全国紙の記事(「朝日」06年10月31日付)では、「(団体代表は)大分県に進出している多くの大手企業に、協力いただいた」と語っています。団体は07年5月に解散しています。
日本共産党大分県委員会と堤栄三県議が、広瀬知事にキヤノン関連のパーティー券購入を含めた献金の有無をただしたのにたいし、同知事は1月24日、「広瀬勝貞に対する政治献金、物的・人的支援などはない」と文書回答していました。キヤノンの大分県進出 2003年に大分キヤノンが、05年には大分キヤノンマテリアルが大分県に新工場建設を表明。マテリアル工場の用地造成には68億5000万円がかかりましたが、県は補助金交付要綱を変えることで、同社は50億円で購入できました。差額は税金での穴埋め。造成は同社の要請で、鹿島建設がすべて随意契約で受注しました。
市民団体、補助金返還求め提訴=キヤノン用地造成で知事に?大分
[時事通信 2008/01/18-18:30]
大分県土地開発公社が2006年に造成した大分キヤノンマテリアル大分事業所(大分市)の用地をめぐり、県が土地取得造成費と譲渡価格との差額18億円余りを補助金として公社に全額補てんしたのは裁量権を逸脱しているとして、おおいた市民オンブズマンは18日、県に対し、広瀬勝貞知事と当時の出納長ら5人に返還請求するよう求めた訴訟を大分地裁に起こした。