「朝日新聞」3月1日付に、「ネットで共産党熱」の記事。先日の派遣労働問題をめぐる志位委員長の国会質問がネットで話題になっていることを紹介している。
また、3月2日付の共産党「しんぶん赤旗 日曜版」によると、キヤノン社内では「インターネットで志位質問を見るように」と指示が出され、幹部がネットで見ているらしい。
ネットで共産党熱 若者ら、志位委員長に「SGJ」(朝日新聞)
ネットで共産党熱 若者ら、志位委員長に「SGJ」
[asahi.com 2008年02月29日23時02分]共産党がインターネットで脚光を浴びている。志位委員長の派遣労働問題をめぐる国会追及の模様が動画投稿サイトに掲載されるや、視聴回数や応援の書き込みが爆発的に増殖しているのだ。多くが派遣で働く若年層によるものとみられ、同党は「ネットカフェ難民」など若者の低賃金労働問題に取り組む姿勢が共感を集めている、と受け止めている。
2月8日の衆院予算委員会で志位氏は、日雇い派遣労働者から寄せられた訴えを紹介し、「人間を消耗品のように使い捨てる究極の非人間的な労働だ」と追及。福田首相から「私も日雇いは決して好ましいものではないと思っている」と派遣労働問題の改善に前向きな答弁を引き出した。
その2日後、参加者が自由に投稿できる動画投稿サイト「ニコニコ動画」にこの質疑の模様が投稿され、以来、志位氏を称賛する書き込みが後を絶たない。「やるじゃねーか共産党」「委員長SGJ(スーパー・グッド・ジョブ)」
視聴回数はこれまでに計2万1000回。書き込みは2万2000件を超えた。動画は4回削除されたが「消されたら投稿運動」が自然発生して掲載が続く。別の動画投稿サイト「ユーチューブ」の共産党専門チャンネルでも、同じ動画の視聴回数は4万件。党広報部は「異例の反響。過酷な労働条件や低賃金にあえぐ若者の琴線にふれたのでは」と驚きを隠さない。
同党では総選挙に向けて「若年層の支持につながるのではないか」との期待も膨らむ。ネット掲示板「2ちゃんねる」でも話題になっており、「(共産党の)名前を変えれば支持する」といった皮肉もあるが、「比例は共産党に決めた」との前向きな受け止めが目立つからだ。
同党は、志位氏の質問が先月17日にあった京都市長選での善戦にも影響したと分析。党幹部の一人は「若者の不満のマグマは大きい。若者の支持があれば、比例票は相当伸びる」とみており、派遣労働問題への取り組みを通じた若者への働きかけに力を入れたい考えだ。
「しんぶん赤旗 日曜版」の記事は、これ。
社内指示「幹部は志位質問見なさい」
[しんぶん赤旗日曜版 2008年3月2日]派遣労働者が正社員の代替になっている、と追及した志位和夫・日本共産党委員長の衆院予算委員会質問(2月8日)。キヤノンの実態を取り上げたことに、キヤノン社内に激震が走っています。(岡清彦記者)
志位質問をインターネットで見たというキヤノンの幹部社員が、日曜版編集部に情報を寄せました。その内容とは―。
「御手洗冨士夫会長が、志位委員長から参考人招致を要求され、社内で大騒ぎになっている。キヤノンが直面している危機、といってインターネットで志位質問を見るように指示がでた。幹部がネットで見ている」
社内がぴりぴりしているというのです。
同幹部社員は、「派遣社員を解消するスピードを早めるようにともいわれている」といいます。
実際、キヤノンは2月20日、ことし中に国内のグループ企業の19事業所で働く派遣・請負労働者の正社員化などを通じ、5000人の直接雇用に踏み切る方針を固めました。
昨年につくった5000人雇用計画を1年前倒しで達成したために正社員比率をさらに引き上げるとしています。
志位委員長が、具体的に取り上げたのがキヤノンの100%子会社で、複写機のトナーカートリッジなどを生産している長浜キヤノン(滋賀県長浜市)です。
本史の取材によると、19人が働くあるラインでは、正社員は4人で、派遣労働者は15人でした。志位委員長が質問で指摘したように、派遣労働者が正社員の代替になっていることを裏付けました。
こうした事態に、長浜キヤノンは24日、新聞折り込み広告で、「Canon 正社員大募集」の広告を出しました。2月末から3月初めに欠けて3回の選考会を開きます。
月給は15万?21万5000円で、昇給、賞与(年2回)ありといいます。
派遣会社の時給1000円、昇給、賞与なしとくらべ労働条件は大幅に改善します。
長浜キヤノンの関係者は、厚生労働省が調査に入る予定だ、としています。志位院長の追及に福田首相は「実態がどうなっているか、厚生労働省に確認させたい」と答弁していました。
長浜キヤノンで働いたことのある男性は、「これまで、健康保険や厚生年金に入れなかった派遣会社があったが、『(志位質問後)社会保険が適用されるようになった』と労働者は喜んでいる」と語っています。
ところで、キヤノンというと、昨年、滋賀のキヤノン長浜工場で、産廃の違法投棄が見つかった。汚泥と廃トナーをコンクリートで固めて、地中に不法投棄していたのだ。そのため、六価クロムやフッ素による土壌汚染が発生している。産廃の撤去は昨年11月に完了しているが、キヤノン本社は、地中投棄を中止はさせたものの、回収指示はしていなかったようだ。
長浜キヤノン、地中から産廃、ゴミ2千トン(滋賀夕刊)
長浜キヤノンが産廃不法投棄 工場敷地から鉛 環境基準の71倍検出(近江毎夕新聞)
汚染対策終えたと長浜キヤノン 当初発表の鉛検出数値は「検査ミス」(近江毎夕新聞)
長浜キヤノン、地中から産廃、ゴミ2千トン
[滋賀夕刊 2007年11月28日]環境改善工事で、撤去処分
長浜キヤノン(長浜市国友町)による廃棄物の違法処理問題で同社は28日、敷地内の環境改善工事を完了した、と発表。地中から大量の産業廃棄物や大型ゴミが見つかった。
同社の内部調査によると2002年7月から03年11月にかけて、製造工程から排出される脱水汚泥(推定46トン)やプリンターのトナー(同20トン)をコンクリートに混ぜ、工場内の道路舗装に使用したり、敷地内に埋設。県道西側の三角地からは国の環境基準の71倍にのぼる鉛やフッ素を大量に検出した。
また、その後の調べで美化活動で回収した電化製品やタイヤ、パレットなどを埋設していたことや工場西側の敷地内で環境基準を上回る六価クロムを検出していたことも発覚。周辺自治会は同社の説明遅れや行政の対応に不信を募らせていた。
湖北地域振興局は今年3月、同社に対し廃棄物の撤去を指導、周辺地域の地下水の監視計画を提出させた。
今年4月から2万平方メートルの敷地で、地中1?4.5メートルの土壌を掘削したところ、スラッジ・廃トナー66トン、タイヤ・電化製品33トン、木パレット100トンのほか、産業廃棄物を混ぜたコンクリートなど計2000トンが見つかった。
また、土壌汚染を再度、調査したところフッ素23、鉛1、ホウ素2、六価クロム3区画で検出。産業廃棄物や一般廃棄物は業者により廃棄処分。汚染土壌約3万トンも撤去、処分した。
同社はこの不祥事を受け5月、計画していた新工場建設の中止を決定。今後は周囲への環境を考慮し、監視井戸と雨水のモニタリングを継続する。
長浜キヤノンが産廃不法投棄 工場敷地から鉛 環境基準の71倍検出
[近江朝夕新聞 2007年03月07日]長浜キヤノン株式会社(森謙二・代表取締役社長=長浜市国友町)が廃棄物処理法に違反して、工場から排出された脱水汚泥推定46トンと廃トナー推定20トンをコンクリートに混ぜて工場内の道路舗装に使用したり、工場敷地内に埋めていたことが、6日までにわかった。
同社の敷地内土壌から溶け出た状態の鉛が環境基準の最大71倍、フッ素が同8倍弱検出されたことから、同社が不法投棄の事実を明らかにしたもので、投棄は武藤勝・前社長時代の平成14年7月から翌年11月まで、1年5カ月に及び、親会社のキヤノン株式会社から「コンクリートへの混入は将来的に土中に溶け出す恐れがある」と指摘され中止したものの、その後、コンクリートの回収や土壌汚染対策など、何らの措置も取らず放置していた。
長浜キヤノンでは、同社の緑化や警備を担う協力会社が、産廃処理業者の処理手法を真似てコンクリートへの混入を行ったと釈明し、当時、同社の中枢部は「自社敷地内でのコンクリート処理は問題ないと誤まった考えでいた。廃棄物処理法違反の認識はなかった」という。またコンクリート混入処理以外に、土中埋設されていた事実は、昨年11月から行った土壌汚染調査の過程で判明したという。しかし当時、社では太陽電池製造過程で排出される脱水汚泥と、プリンターカートリッジ製造過程で廃棄される廃トナーの総量を把握しており、廃棄物すべてを工場内の道路(幅10メートル、延長120メートル)用コンクリートに混入するのは常識的に不可能と認識していた可能性が強い。
不法投棄問題は、国内最優良企業とされるキヤノン100%出資のグループ会社の一つで、「地球環境との共生」などを理念に掲げる同社の「裏の顔」を浮かび上がらせる結果となった。フッ素は環境基準の8倍弱 鉛検出の理由は不明とキヤノン
長浜キヤノンが6日に公表した土壌調査結果によると、環境基準を上回る鉛、フッ素が検出されたのは、工場敷地約21万5600平方メートル中、県道東側の姉川沿いの三角地約4万6700平方メートル。
調査地点494カ所中、77カ所の土壌から最高濃度0.71ミリグラム/リットル(土壌の環境基準0.01ミリグラム/リットル)の鉛、同20カ所から最高濃度6.3ミリグラム/リットル(同0.8ミリグラム/リットル)のフッ素が検出された。土中のフッ素含有量最多は土壌1キロ中、7500ミリグラム(同4000ミリグラム)だった。フッ素検出は今年1月末、鉛検出は今月2日に県に報告し、地元の長浜市国友町、虎姫町宮部区には5日に初めて報告していた。
敷地周辺の井戸9カ所と工場内の同4カ所の井戸水調査では鉛、フッ素いずれも水質環境基準を下回っていたという。フッ素は、脱水汚泥が原因の可能性が高いが、鉛は工場の全工程で発生する可能性はなく、検出された理由は不明という。
同社では「早急に廃棄物と、汚染土壌の撤去に取り組み、今後は廃棄物処理の実態調査を毎年行い、毎月の推移を把握する仕組みや処理手続きをコンピュータ管理する電子マニフェストの導入に取り組む」としている。
鉛の検出については検査ミスだったことが明らかになっている。しかし、キヤノン本社は、不法投棄を止めさせはしたが、すでに投棄された産廃の回収は指示しなかった。
汚染対策終えたと長浜キヤノン 当初発表の鉛検出数値は「検査ミス」
[近江朝夕新聞 2007年11月30日]長浜市国友町の工場敷地内に大量の産業廃棄物を不法投棄していた長浜キヤノン株式会社(森謙二・代表取締役社長)は今年4月2日から11月9日までの約8カ月間で、土中に埋められていた廃棄物など約1537トンと、汚染土壌約1万4900立方メートル(2万9517トン)を回収し、このほど適正処分を終えたと発表した。県と長浜、虎姫両市町には22日、地元自治会役員には27日報告した。
その一方で、不法投棄の事実を同社が公表した今年3月に「工場東側の土壌中から検出された鉛が最大で環境基準の71倍だった」とする内容は異常に過大な数値で誤りだったと発表した。検査機関がサンプルに誤まって鉛成分を含ませてしまったのが原因といい、汚染土壌回収中に行った再調査では土中の一検査地点のみから環境基準の2倍、1?中0.02ミリグラムが検出されたという。
長浜キヤノンでは鉛が異常に高濃度で検出されたのは不自然だとして、今年6月下旬ごろ、検査機関に調査を求めていたところ、サンプルの土から析出した液を吸引する真空装置の黄銅製バルブのニッケルメッキが剥げており、バルブの亜鉛が析出液に溶け出していたことが判明した。検査機関のミスは今年9月に県に報告していた。
しかし、当初調査で、環境基準の最大8倍近い濃度で検出されたフッ素は、再調査の結果、さらに広い検査地点で検出され、当初は検出されなかったホウ素が検査区域の2地点から環境基準の最大3倍、1リットル中3ミリグラム検出されたのを始め、六価クロムも3地点同2.4倍の一リットル中、0.12ミリグラム検出された。
同社によると、回収した廃棄物は▽工場から出たスラッジ(脱水汚泥)と、廃トナーを混ぜた敷地内舗装コンクリート=約1334トン▽スラッジ、廃トナー=約68トン(うち土と混入して分離不可能分約66トン)▽河川不法投棄とみられる廃プラスチック類=約32トン▽工場で使用され土中に埋められていた木製パレット=99トン▽鉄パイプなどの金属くず=約3トン。
回収した汚染土は約1万4901立方メートルで、掘り起こしたものの、汚染がないことを確認して戻した土は1万5595立方メートル。一連の対策に要した費用は約10億円。回収した汚染土壌は北九州市のセメント工場に送り、焼成して無害化したのちセメントに混入するという。
長浜キヤノンでは、敷地外への汚染拡大はないとしたものの、今後1年間毎月1回、工場敷地境界に掘った監視井戸14カ所で水質検査するとともに、年2回、側溝の雨水を検査するとしている。
産廃法で禁止されているスラッジと廃トナーのコンクリート混入処分と、同コンクリートの工場敷地内使用は、武藤勝・前社長時代の平成14年7月から翌15年11月まで1年半におよび、親会社のキヤノン株式会社から「コンクリート混入は将来、土中に漏れ出す恐れがある」と指摘され、中止したものの、その後、回収などはせずに放置していた。コンクリートへの混入作業を行っていた長浜キヤノンの協力会社が、廃トナー、スラッジの一部をそのまま土中に埋めていたことも後に判明。スラッジなどすべてをコンクリートに混入処分することは不可能と承知していたにもかかわらず同社は「土中埋設は知らなかった」と釈明していた。また平成15年8月にも工場西側敷地内でも環境基準を最大3倍弱上回る六価クロムを検出していながら県に報告していなかったことが今年4月に判明し、周辺住民を不安に陥れていた。
同社では不法投棄に至った経緯の調査を続け、責任関係者の社内処分を行うとしている。
ちなみに、長浜キヤノンは、1997年3月にISO14001を取得している。