追加資金400億円は高額預金者の預金を税金で払うだけになるのでは?

「新銀行東京」について、ペイオフの対象となる預金が、法人・個人で9610件、477億円、個人だけだと9523人315億円になるということが明らかにされた。

新銀行東京:清算なら新たに千億円必要 野党は反対姿勢(毎日新聞)

「もし日本最初のペイオフになったら大変だ」ということが言われていますが、しかし、僕はその考え方には反対です。

そもそもペイオフは、一般庶民の生活資金などの保護を目的としたもの。だから、1000万円で頭打ちになっているのです。1000万円を超えるような大口の預金は、要するに余裕のある人たちの資金運用なのだから、運用失敗の場合は自分で責任をとってください、という制度。

今回の場合も、預金の大部分は新銀行東京が1%という高金利で集めた定期預金。つまり、これらの預金は、手許にたっぷりの資金があって、その有利な運用先として、新銀行東京に預けられたものす。しかし、こういう人たちは、新銀行はそろそろ危ない、と思って、定期預金の解約・引き出しをねらっているはず。ですから、いま400億円を投入しても、結局、そういう人たちの預金引き出しに使われてしまうだけではないでしょうか。

新銀行東京がなくなったら、いま融資を受けている企業をどうするんだ? というのも、似たような議論。新銀行の破綻で影響を受ける企業への援助は、それはそれとして、行政がしっかりと手立てをとらなければならない問題です。しかし、それは新銀行東京を存続させるかどうかとは別の話。それを口実にして資金提供するのは、結局のところ、すでに焦げ付いた案件に追い貸しを続けて「不良債権」を膨らませ続けた、かつての“破綻への道”を繰り返すことになるだけ。

もともと、行政が銀行を設立するということ自体が、本来の行政の役割から外れたものだったのです。潔く、手を引くべきです。

新銀行東京:清算なら新たに千億円必要 野党は反対姿勢
[毎日新聞 2008年3月11日 19時53分 (最終更新時間 3月11日 20時08分)]

 経営不振に陥った「新銀行東京」について東京都は11日、事業清算した場合に預金の一斉払い戻しなどに対応するため、新たに都から1000億円の貸し付けが必要になるとの見解を示した。都議会予算特別委員会で明らかにした。都は再建のため400億円の追加出資を検討しているが、清算すればそれ以上に多額の公費投入が必要になるとするもので、石原慎太郎知事は追加出資について「伏してでも理解と協力をお願いしたい」と訴えた。
 一方、野党側は「多大な累積赤字を抱えている負の遺産しかない銀行であり、再建しても中小企業の支援を果たせるとは思えない」と反対姿勢を明確にした。
 同委員会で都側は、事業清算が決まった場合に「取り付け騒ぎ」が起こる恐れがあると説明。新銀行の預金残高は約4000億円だが、有価証券などすぐに現金化できる流動性が高い資産を処分しても約1000億円が不足し、この分を都の貸し付けで補う必要が出るという。仮に破綻(はたん)処理が行われ、1000万円超の預金が保護されないペイオフの対象となるのは法人・個人で計9610件、477億円に上るとしている。
 さらに、都は同委員会で、09年3月期に新銀行の自己資本比率が国内営業基準(4%以上)を切るとの見通しを示した上で、追加出資400億円の根拠を説明。内訳は▽自己資本の維持に必要な80億円▽貸し倒れ引当金だけでは補えないリスク対応に必要な280億円▽風評による損失などのリスクへの備え40億円などとした。
 都は、07年12月の融資先の中小企業約1万3000社のうち、5635社(約43%)が赤字・債務超過企業であるとし、新銀行がなくなればこれら企業の破綻につながると指摘。従業員や家族などに多大な影響を与えるとも主張した。【木村健二】

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